45分でわかる! 14歳からの世界金融危機 (45 MINUTES SERIES 1)

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  • マガジンハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (93ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838719525

作品紹介・あらすじ

サブプライムからオバマ大統領就任まで。旬のニュースが45分で脳に直接浸透!シリーズ第一弾。

感想・レビュー・書評

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  • 2008年、世界的に経済が大混乱に陥った。いわゆるリーマン・ショックと呼ばれる金融危機のことだ。
    なぜ、世界の金融が混乱し、危機的状況になったのか。
    サブプライムローン破綻から順を追って池上さんが解説してくれた。投資銀行、保険会社、原油価格の暴騰と暴落、銀行の貸し渋り。まさに「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉通り、ドミノ倒しのように連鎖していくことがわかった。

    リーマン・ショック後、世界の経済は立ち直りを見せるが、2020年に世界はさらなる困難と対峙することになる。
    新型コロナウイルスは世界中でとてつもない犠牲者を出し、経済も停滞、後退してしまっている。
    かつて第二次世界大戦に突入した時と同じように、世界恐慌が起こっている。
    落ち込んだ世界経済を復活させようとして、戦争を始める国が出てこないことを祈るのみだ。

  • サブプライムローンの破綻に始まる世界経済の停滞を非常にに解き明かしている。
    45分は早すぎかもしれないが、1時間あったら読める。
    3年前はじめて読んだときは政権交代前であった。その当時は今以上に自分時しいの経済の知識がなかったので、すべて書いてあることを鵜呑みにしまっていた。しかし、時を経て読み直した今少し首をかしげる記述があった。
    特に将来に対する展望についての部分。
    池上さんといえども万能ではないのであろう。
    著者の意見に同意できない部分もあるが、それを除いてもわかりやすさはすばらしく、星四つである。

  • サブプライムローン→アメリカでは担保を手放せば残りの借金は棒引きされる→土地神話の崩壊とともにサブプライムの破綻→サブプライムの債券を購入していた投資銀行に影響→それを購入していた他の問うしっ銀行に影響→債券に保険をかけていたためAIGの経営を圧迫→投資銀行のパッケージを購入していたヘッジファンドに影響→不安の連鎖で解約に備えて現金を確保しようと日本株などを売却→世界同時株安→余った現金が原油先物市場に流れ原油高騰→バイオエタノールの原料トウモロコシの価格急騰→南米などで食料危機→やがて原油・穀物バブル崩壊、リーマン破綻→ヘッジファンドはそれまでの投資をやめて資金を回収した(低金利での日本への債務を返済した)→円に資金が戻り円高をまねく 銀行の貸し渋り→アメリカの車が不況、豊田本田もだめ→

  • なぜバブルは崩壊したのか,世界の視点から学び直せました。

  • サブプライムローンの流れがコンパクトに非常にわかりやすくまとまってて良い。

  • 以下本書よりお気に入りのフレーズです。
    〇「リスクは他人に押し付ける」 (お気に入りというよりは、考えさせられたフレーズ)
    〇金融商品の「福袋状態」
    〇自分への投資が1番確実

    本書では複雑な金融危機を本書ではサブプライムから始まり、ノンリコースローン、不動産バブル、投資銀行、証券化、原油価格の高騰及び下落、リーマン破綻、自動車産業のの失速、金融機関への公的資金の注入といった大事なキーワードは外さずに、複雑に絡み合った糸を紐解くように実にわかりやすく解説しています。

    さらに「リスクを他人に押し付ける」といった強欲資本主義の考えにも言及しています。

    以下、気になった箇所の引用です。

    上司に追及されたら、「だって、格付け会社がトリプルAをつけていたましたから、安全だと思いました」と言い訳が出来ますね。トリプルAになっているから安心して買えたのです。

    金融危機から株価が暴落したことで、投機資金は原油先物市場、そして穀物先物市場に流れ込み、国際的な価格上昇をもたらしました。

    アイスランドでも同じことが起きました。こちらでも「円建てで住宅ローンを借りませんか?」といわれて、「はいはい」と言われる通りにやっていたら、「円高になったので返済額が増えました」と言われて、びっくり仰天。

    大手企業がお金を借りに来るようになれば、地方銀行にしてみれば、地元にある中小企業にお金を貸すよりは、東京に本社のある大手企業にお金を貸したほうがいいということになるでしょう。
    結果的に、これからは地方の銀行が地元の会社にお金を貸してくれなくなる可能性があります。そういう悪循環がこれから起きる可能性があります。



    以下の項目、最近の出来事のように見えますが、実はすべて1929年前後に起こった事なのです。

    <住宅バブルが発生していた/
    アメリカ人の「借金体質」がエスカレート/
    自動車会社の過剰生産/
    共和党政権が愛想を尽かされた/
    レバレッジ取引が急増した/
    アメリカに世界中の資金が流入/
    底だと思ったらまだ底じゃなかった/
    銀行が次々と倒産/そして全米からお金が姿を消した/
    保護主義という大失敗/
    政府紙幣発行の議論/
    農産物の生産調整/
    高額所得者に対する反感強まる/
    日本でも政権交代が実現した>

    ・・・あまりに今と似ていて驚きます。ということは、80年前に何が起きたのか見ていくと、これからどんなことが起きそうか、予想がつくと思いませんか? 何が失敗だったかを知れば、その失敗をまた繰り返さないですむはずです。

    1929年前後をザーッと45分でおさらいできるように、簡単明瞭にまとめたのが本書です。この一冊でも十分わかりやすいのですが、ベストセラー『14歳からの世界金融危機。』も併せて読んでいただくと、理解は一層深まります。

  • リスクを他人に押し付ける

  • 池上さんらしいのか、45分だからなのか分からないが、結局それは何故引き起こされたのか?という根幹が省かれている。テスト勉強のための抜粋みたいな感じね。

  • タイトルになっている「14歳からの」は、おそらく中学生にも分かりやすく解説しているという意味なんだろうな。確かにとても分かりやすく、飽きないボリュームで丁度いいかも。
    しかし、この企画(45分シリーズ)とあって、容量の関係からか所々で若干言葉足らずな感じはした。それは池上さんが悪いってわけではなく、この企画、編集の問題だろう。

  • 最高にわかりやすかった。腹八分くらいでちょうどいい。
    2008年リーマンブラザーズの経営破たんから始まった世界恐慌は、アメリカ発サブプライムローンの破綻が起因だった!

    2007年サブプライムローンが破綻し、
    合成CDOが暴落、
    実態の暴落だけでなく、複雑なパッケージ化で純粋な損害額がわからないことが金融不安を起こし、
    金融業界に信用収縮が蔓延、
    事実上の取引(証券の売買)が停止し、
    これ以上の暴落をおそれた投資家が手を引き始めて、
    資金の投入先だった株式市場(日米)から資金が撤退、
    ここでまず最初の金融危機が起こり、
    一時的に資金の新たな投機先として先物市場が高騰したが、
    金融危機の深刻化で先物市場からも資金が撤退、物価の下落が始まる一方、
    CDOで巨額運用していたリーマンブラザーズが経営破たん、
    これがその他の金融機関にも波及し、
    銀行は資金回収をはじめ、ヘッジファンドは投資活動を停止
    日本の銀行から借りていた資金を円建てで返金するため円高に
    銀行の資金回収・貸し渋りで自動車ローンや自動車業界が大打撃、
    日本も円高+自動車が売れないという二重苦に、
    原油バブルの崩壊で、オイルマネーの海外投資が停止、世界経済が停滞
    日本は株式市場とCP市場の停滞から企業の資金調達が難航、銀行融資に頼らざるを得なくなるが、日本の銀行も株式市場の暴落で自己資本比率が低下、貸し渋りが発生
    企業の経済活動が停滞し、個人消費も冷え込み、円高は続行
    →円高不況

    ◆サブ・プライムローン
    低所得者向け住宅ローン→非定職者/多重債務者にも住宅ローンを貸せる
    └そのかわり高金利(消費者金融の住宅ローン版)
    └住宅価格の高騰に乗じて、堅調に債権数は伸びる
    └購入した住宅・土地が担保になる
    └ノンリコースローン(非遡及ローン)のため、担保の価値が下がっても、それ以上の債務は負わない→借りやすい
    └ブローカーも存在、超ブラックな人にもサブプライムローンを売る
    └住宅ローン会社は債権を、投資銀行(=リーマンなど)に売る
    └投資銀行は債権を証券化(小口化)し、他の債権とパッケージ化して拡販=合成債務担保証券(合成CDO)
    └格付け会社のお墨付きを得て、さらに拡販
    └ヘッジファンドが購入(サブプライムが入っていると高金利!)
    └保険会社が保証(保険料を支払い、元本保証)、AIGアリコはこれが原因で経営危機に

    →住宅バブルがはじけ、サブプライムローンが不債権化
    →合成CDOの暴落がはじまる
    →紙くずになる前に売却し、資金を引き上げる投資家が増える
    →「闇鍋」すぎて損害額がすぐ判明しない
    →いっそうの不安が醸成(⇒金融不安に)
    →この不安から信用収縮、証券の売買が停止、事実上紙くずに
    →コール市場が停止、ヘッジファンドも投資家からの解約・返金に応じるために、預けていた資金(=日本の株式)を日本から引き上げる
    →日本の株式市場が暴落(2007年)

    ◆原油価格・穀物価格の高騰
    株式市場から引き上げた資金を、返金や新たな投機資金に転換
    →株式市場から先物市場(原油/穀物)に資金が動く
    →原油価格・穀物価格(石油にかわる新たなエネルギー=バイオエタノール)が高騰
    →ブッシュ政権のイラン挑発が原油価格高騰に拍車をかける
    (イランの核開発を公に非難→イランのホルムズ海峡閉鎖宣告)
    →2008年夏には、世界的な食糧価格の高騰で、途上国では暴動が多発
    →金融危機の深刻化で、先物市場からも資金が後退、先物市場のバブルも崩壊
    →物価の下落が始まる

    ◆リーマンブラザーズの経営破たん
    先物市場のバブル化のあと、2008年9月に経営破たん
    └リーマンは、CDOのレバレッジ運用で巨額の資金を運用してきた(少ない元本をより高利な商品に転換していくこと)
    └レバレッジの罠(不良債権化したとき、大損害)に陥り、経営破たん
    └政府(共和党)の不介入と、金融業界全体を包む金融危機で、孤立無援化
    └他の金融機関にも影響が波及、銀行の資金回収・貸し渋り、ヘッジファンドの投資活動の停止
    └これまでヘッジファンドは低金利の日本で資金(円)を借り、外貨(ドル・ユーロなど)で運用していたが、
    └円売りドル買い/円売りユーロ買いから(⇒円安)、ドルを売って円を買い・借りていた資金を支払うことに(⇒円高)
    └海外の円建て住宅ローン(豪/アイスランド)が円高で不良債権化
    └金融不安でアメリカでは地方債まで売れなくなる
    └銀行の貸し渋りで自動車ローン市場も不況、自動車業界・工業会全体に波及
    └原油市場の暴落で中東のバブルもはじけ、オイルマネーを元手にした不動産バブル(ドバイ)や海外投資が停止、世界経済の停滞に

    ◆日本経済にも悪影響
    └日本の株式市場から投機マネーが撤退、株式市場が暴落
    └CDOに日本社債も含まれていたことから、日本の社債(とくにCP=短期社債)が売れなくなる
    └仕方なく銀行からの融資に頼る、銀行に融資申し込みが殺到
    └しかし銀行は株式市場の暴落で自己資本比率が低下中
    └資金需要に対して、資金供給がおいつかない状態に(貸し渋り)
    └メガバンクは株式発行で自己資本比率を上げ、タンス預金回避策定中
    └アメリカでは、オバマ政権から公的資金を導入(銀行株を国が買う)

    ◆オバマ政権の「大きな政府」再興
    ルーズベルトの「ニューディール政策」を継ぐ、民主党によるグリーン「ニューディール政策」で、政府が経済復興に介入
    └ゼロ金利政策、政府による住宅ローン担保証券の買い上げで、お金がまわりやすい国に戻していく(信用不安からの脱却)
    └米国のゼロ金利政策で、日本に資金が流れ円高に拍車、公定歩合下げる
    └日本社債(CP)の政府買い上げで、銀行の貸し渋り対策として国が援助

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著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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