パスタマシーンの幽霊

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  • マガジンハウス
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感想 : 165
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838721009

作品紹介・あらすじ

「クウネル」の人気連載-深々と心にしみる短篇小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 川上さんに関しては、恋のような憧れのような不思議な感覚をいつも抱かされる。透明感があって、頭が良くて、穏やかそうで、もし私が男性だったら彼女にぐいぐい惹かれてしまう。でも同性だから分かる。この人はきっと、激しい人だ。

    コロボックルの山口さんと普通サイズの人間 誠子の初々しい交流、中林さんに振り回されるアン子と呆れながら見守る修三ちゃんのコンビ、「ざらざら」でおなじみのキャラクターのスピンオフ作品の他、恋人のお祖母さんの幽霊に出会う表題作、「蛇を踏む」のような川上ワールド全開の「海石(いくり)」など楽しい短編がたくさん。なんて贅沢。個人的には「ざらざら」より好きかもしれません。

  • 川上弘美のエッセイ集『パスタマシーンの幽霊』は女性視点の恋に関する話題が中心の短編集です。でも、主人公が好きになった、振られたといった情熱的な恋愛モノではありません。誰かが誰かを好きになったり、振られたり、つらい目にあったときの、一緒にいた時の気持ちであったり、その時の友達のやりとりであったり、そんなことを散りばめた作品集です。

    いんちき霊感商法の商品として売る石を毎日河原で拾う染谷さんの話(「染谷さん」)。霊媒師の彼女はわたしの気持ちを見抜いているかのように、「割りなさい」といって生卵のセットを渡してくれます。「わたし」は卵を割るにつれ、だんだんと興奮してきて、割り終わった後には高揚感を感じるのです。

    表題作「パスタマシーンの幽霊」は、彼氏の家にあるパスタマシーンに女の影を感じ取った「あたし」の話。でもそれはばあちゃんの形見だそうです。そして死んだ後も出てきて次々パスタをつくってくれるといいます。ここが彼の単なる言い訳なのか、本当のことなのか?「あたし」は彼氏の家に行かなくなり、連絡も来なくなったので、別れることします。別れて半年後に、ばあちゃんが出てきます。そして料理を教わり、少し上達したそうです。彼氏に対抗する気持ちはまだ思いがあるということなのでしょうか?

    急にモテるようになって複数の人と身体を合わせるようになったけれど、万年筆で彼らの名前を試し書きしてときめかないことに気づいた話、都合のよい女として扱われていることをはっきりと指摘してくれるゲイの友達の話など、切り口が多彩な物語が満載です。

    この多彩な切り口は川上弘美の人生とリンクしているのでしょうか。エッセイのような雰囲気ですが、実際にはきちんと小説になっている。けれどもこの人生視点は普通の人には表現できない、そんな複雑な状況が見えてくるのは気のせいなのでしょうか?

  • 「川上弘美の文章は美しい」
    どこかで誰かが書いていたこと。
    そのことはずっと頭のすみに記憶されていた。
    私が最初に読んだ川上さんの本は『センセイの鞄』
    その時はそのことをそれほど感じなかったけど…
    この本を読んで「川上弘美の文章は優しい」と思った。
    小川のようにさらさら~と心に流れこんでくるような感じ。
    大きな波も、とつぜん深みにはまるようなこともないけれど
    安心して流れに身をまかせてみようと思えるような・・・
    川上ワールドにもう少し入り込んでみたくなった。

  • 久々に読んだかも、の川上弘美。22篇から成る短編集。決してHappy endのお話ではないけど、ふーっと息を抜いちゃう感じ。中林さんと修三ちゃんのがイタかった。

  • まるく柔らかい雰囲気がとても好きです。日常生活で知らず凝っていたものが解きほぐされていくようでした。

  • ファンタジーあり、恋愛あり、青春と喪失、成長、なんでもありの短編集。
    小人のヤマグチさんと誠子さんのお話がいいなぁ。
    うぶで清い人たちの恋愛話だ。

    誠子さんはただの平凡な人かと思いきや、ほかの話で魅力的に描かれていて、さらに誠子さんが好きになった。

  • 恋愛感情とか、友情とか、一括りで言い表せない心の繊細なヒダの部分にある感情を丁寧に拾い集めてしたためた…と言うような、じんわり心温まる22の短編集。心霊っぽいもの、都市伝説っぽいものなど、不思議な要素もあったりして面白かったです。コロボックルの山口さんと誠子さんの恋の行方が気になります。アン子とおかまの修三ちゃんの2人が出てくる話しも良かった。みな読後感が良かったです。
    川上弘美さんの作品は最初に読んだ芥川賞受賞作品『蛇を踏む』がよく分からなかったのでずっとその後読んでこなかったのですが、もう少し他の作品も読んでみたくなりました。

  • やさしい涙を流せそうな気がしてくる。ちょっと家に置いておきたい。
    タイトルと表紙の表現も好き。

  • *絶賛を博した第一弾『ざらざら』につづく最新短篇小説集。深刻な感情がユーモアに転換され、そのあとに〈しん〉とした淋しさが残る名品22篇*

    相変わらずのこのふわっと感、とっても不思議で優しい短編集です。「ざらざら」と併せて読むと更に効果倍増。なぜなら、おなじみの杏子と修三ちゃん、中林さんまで再登場するから。誠子さんとコロボックルの山口さんの恋模様もたまらない。細々でいいから、ずうっと続くシリーズであって欲しいなあ。

  • 悲しい話でも苛つく話でも、川上さんの手にかかれば「ホワン」としたところに着地できるので、読後感が心地よい。すごいな。

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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