世界から猫が消えたなら

著者 :
  • マガジンハウス
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784838725021

作品紹介・あらすじ

僕の葬式。僕の枕元に集まる人はどんな人たちだろうか。かつての友達、かつての恋人、親戚、教師、同僚たち。そのなかで僕の死を心から悲しんでくれる人は、何人いるのだろうか。僕と猫と陽気な悪魔の7日間の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 主役は猫でなく、余命いくばくもない30歳の僕。
    悪魔に出会い、世界から1つ物を消すことで1日の時間をもらう。自分の周りから大切だと思っていた物が1個ずつ消えていく。消えるものと一つ一つ向き合うことで、生きてきた日々も振り返り、大切なものや事に気づいていく。
    一つ物を得ると一つ失う。貪欲にすべてを得てはいけない。
    命と引き換えに、本当に大切なものを知ったということなんかな?
    よくわからなかった。映画、みてみようと思う

  • 短いストーリーでしたが、色んな想いがギュッと詰まった作品でした。
    結論とかは特に無く、どちらかというとあやふやな感じでしたけれど、これで良いんだと思える内容です。

  • 泣けるはずの本だけど学校で読んだので泣けなかった・・・。泣きたかったなぁ・・・( ;A;)
    内容は好み!


  • なにか、悪いことが起きなければ気付くことが出来ない
    ことがある。

    失って初めて気づくことがある。

    それでも主人公は大切なものを失う前に、
     自分を失う前に大切なことに気づけた。
     
    そして、大切だということを伝えに行く主人公は
    とてもかっこよかった。


    猫とは言葉が話せない。
    飼い主がごはんが欲しいのか、と思っても
    猫は昼寝がしたいのかもしれない。
    公園に行きたいのかもしれない。

    飼っているからといって、身近にいるから、
    ちゃんとわかってるとは限らない。

    話せないものの気持ちを今一度考えてみよう。



    読書感想文としては書きやすい。いい話。
    好みの問題だ。

  • この世界からひとつだけ、何かを消すかわりに
    今にも消えそうな自分の命を、1日永らえさせられるとしたら。

    自分で消すものを選べるのなら、オレオレ詐欺とか、学校の裏掲示板とか、戦争とか
    喜び勇んでいろいろ考えついてしまいそうだけれど
    消す対象は、悪魔が気まぐれ且つ意地悪に選ぶとなると、話はずいぶん違ってきて。。。

    脳腫瘍で近いうちに死ぬとわかっても、「死ぬまでにしたい10のこと」の中に
    「ガンダムに乗る」とか「ナウシカとデート」とか、能天気なことを書く、30歳の僕。

    世界から、最後にどうしても通話したい相手もいない電話を消し、
    親友や別れた彼女との大切な思い出だった映画を消し、
    町の小さな時計屋という父の生業も顧みず、時計まで消しながらも
    そばに来てみゃあと鳴き、抱きしめるとフーカフーカとあったかくて柔らかい、
    猫のキャベツを消すことは、どうしてもできない。

    電話のときも、映画のときも、時計のときも、人間の関係性とか物の存在意義とか
    時間という概念が生み出した不自由さと引き換えの安心感とか
    どこか他人事のように、消したものについて冷静に考えを巡らせていた僕が
    母の形見でもあり、心のよりどころでもあったキャベツを消すとなると
    うろたえ、迷い、仕舞い込んでいた記憶を甦らせ
    「何かを奪って生きていくのは辛い」と気づく、その身勝手さが
    人間らしくて、ほろりとします。

    極彩色のアロハを着て、やたらとノリがよく、
    きのこの山のあまりの美味しさにチョコレートを消す予定を取り下げる悪魔と
    死を目前にしたとは思えないほど緊張感のない僕が繰り広げる会話は
    こんなんでいいの?!と思うくらいあっけらかんと明るいけれど
    「世界にあるほとんどのものは、あってもなくてもよいもの」なのか、
    いつのまにか考えさせられてしまう物語。

    拾ってくれたおかあさんの膝で、いっしょになって時代劇を見ていたせいで
    悪魔からのサービス☆で、人間の言葉をしゃべれるようになっても
    僕のことを「お代官様」と呼び、ござる言葉でおしゃべりする
    猫のキャベツがとてつもなく可愛くて、思わず本に頬ずりしたくなります。

  • あなたは死にます。
    でも、なにかを1つ消せば、寿命を1日延ばすことができます。
    そんなことを死神に言われた限りなく不幸せで、限りなく幸せな数日間のお話。

    好きな物語でした。

    便利なものが消える時。便利なものと引き換えに失ったことに気づく。
    好きなものが消える時。好きなものの周りにあった大切なことに気づく。
    当たり前が消える時。当たり前が消してしまっていた本質に気づく。

    なにかが消える時。なにかを生かしていたことに気づく。
    そして、自分が消える時…自分に気づく。

    「世界から猫が消えたなら」
    甘かったなぁ。ぜんぜん違う物語を予想していた。
    お母さんの死ぬまでにしたいこと10のリスト。
    とてもステキな10のリストでした。

    子どもたちに伝え、贈りたくなる本でした。

  •  参った。泣けた。泣けました。家族とか動物とか、死とか、そんなテーマの作品読んで泣かずにいられますかい。涙腺決壊ハンパなかったです。

     もし自分の余命があとわずかだと知らされて、目の前に悪魔が現れて、「あなたは明日死にます。けれど、あなたの大切なものと引き換えに、寿命を一日延ばしてあげましょう」といわれたら・・・?

     彼が悪魔から消されたものは、電話と映画と時計。
     確かに、電話も映画も時計も、人間がこの世を生きていくには、そこまで必要のないものなのかもしれない。 
     けれど、「「僕」は気づく。これらの必要のないものたちに、自分はいかに支えられ、形作られていたのかということを。

     そして、泣けたのは「死ぬまでにしたい10のこと」
     死ぬまでに何がしたいのかを書き出すリスト。
     このリストには、自分が死ぬまでにしたいことを、誰しも書くはず。
     あそこへ行きたい、あれが見たい、あの子に会いたい・・・

     けれど、「僕」のお母さんは違った。

     「私が死ぬまでにしたいことは、全部あなたにためにしたいことだったのです」
     
     ああ、人は気づかない。大切なものに、最後まで気づかない。何よりもしなくてはいけないことを、どうしても後回しにしてしまう。
    大切なものは、こんなにそばにあるのに。そばにあるからこそ、先延ばしにしてしまう。いつ会いに行っても会える親よりも、不在着信が入っていた久し振りの友人や彼女を優先してしまう。ああ、ああ。気づいてからでは遅いのだ。いなくなってからでは、遅いのだ。

     この作品を読んで、手紙を書かなくては、と思いました。大切な人たちに。普通のあのハトの切手ではなくて、色とりどりの記念切手で、大切な人たちに手紙を書かなくては。と。

     大切なものは、得ている間に、大切にしていきたいと、そう、強く思いました。

  • ああ、そうなのか。
    最後のほうになって、ふと腑に落ちました。
    人は誰でもいつかは死ぬもの。
    その日が、急に来ることもありえる。
    それは、特別なことではない‥

    自分の寿命を一日延ばすために、引き換えに何かを消せるか?
    素直なトーンで軽めに描かれ、じわじわと心に入ってくるストーリー。

    世界から猫がいなくなる話なのかと(一瞬でも)、考えるのも嫌で~最初は敬遠していました。
    逆に、猫を消すことだけは出来ないという話だったんですね。
    それならわかるわ!(笑)

    30歳の郵便配達員がある日、脳腫瘍で余命数ヶ月と宣告されてしまった。
    1週間後に死ぬこともありえると。
    戸惑う主人公の前に、悪魔が現れ、寿命を一日延ばす代わりに、何かを消せばいいという取引を持ちかける。
    何を消すかを選ぶのは悪魔で、些細なものというわけにはいかないのですが。

    主人公とそっくりの外見で、ずっと軽いのりの悪魔という設定。
    チョコレートを消そうとしたが、食べてみたらおいしすぎて消せないというのが可笑しい。
    電話、映画、時計‥
    大事なものが消されてしまう前に、好きだったものを思い出したり。
    消した後で、世界があまり変わらないのはやや物足りないですね。
    そこが書きたい部分じゃないんだってことでしょうね。

    この主人公、かなり孤独なんだわ。
    恋人とは別れ、親友もいない。
    母親をなくした後、父親とは口も聞いていないという状態。
    もともと無口で仕事一途な父親とは、あまり気が合わなかったのですが。
    というより、お母さんがよすぎたんだな、これは。
    父親になにを言う気もしなかったのが、しだいに気持ちは変わってくるのでした。

    電話が消える前にかけた最後の電話は、別れた彼女へでした。
    喧嘩別れしたわけではないけれど、別れただけあって、いささか辛らつな彼女。
    でもその彼女に、亡き母が手紙を託していたのです。
    母も「死ぬまでにしたい10のこと」を書き始めたけれど、それはすべて「あなたのためにしたい10のこと」だったという。
    そのことに気づいた母は「あなたの素敵なところ10」を書き残してくれていたのです。

    5歳のときに、母が飼い始めた猫の名前は、レタス。
    その後に来た今の猫キャベツと、二人暮らしで4年になるのです。
    キャベツはすごく可愛い。
    いうまでもなく普通に可愛い。
    (猫が出てくることを売りにしているような本でも、いやわかってないんじゃないというケースもごく稀にあるけどそういうことはなく)
    それだけでなく、突然しゃべることが出来るようになった時期にも‥

    最初のうちは何が消えても本気で惜しいと思えなかった様子。
    自分が死ぬと考えると、そういう気分にもなるでしょう。
    けれど、本当は‥ 消していいものなど何もない。
    今の自分にでも出来ることは?
    父もキャベツを可愛がっていたことを思い出す主人公。

    あちこちの書評を見てみると、否定的な意見も案外多いのですね。
    死をテーマにしている割には書き込みが薄く、ぐいぐい引き込まれるような描写ではないから?感情移入できなかった人もいらっしゃるようです。
    ‥そういわれれば、そうか‥?
    いや、この内容で描写が重過ぎるのもねえ‥

    わかりやすく、やや淡々としていて、時々ふざけるけど、そこはかとなく哀しいトーンで統一されていて。
    身近なものの大事さを実感する、それはささやかだけれど、大切なこと。
    当たり前のようにたくさんあるものに埋もれて、一番大切なものを見失いそうになることも。
    これはこれでいいと思います♪

  • わかるんだけど、これって他の人は…とどうしても思いながら読んでしまった。
    例えば、電話がなくなったら電話関連の会社勤めしている人はリストラに遭って路頭に迷う人がたくさんでしまうのではないか、とか、そんなようなこと。
    でも、この本が言いたいことはそんなことではなくて、それもわかってはいるんだけど、という感じで、かなりサクサク読了。

    億男公開!ということで、映画に興味を持ったのですが、そういえば川村元気氏読んでなかった!ってことで、積読から引っ張り出してきました。

    自分の人生に納得がいかなかったり、理想と現実の間で揺れ動いてうまいこといかない時に読めるといいのかなと思いました。今の自分にはちょっと違ったかな。
    やっぱり映画の人だな、川村元気氏。

  • どんなに理路整然と述べられてみても
    実際、
    この眼で見たり、体感したわけでもなければ
    俄かには信じがたい事柄がこの世にはたくさんある。

    神はいるよ、
    死後の世界は本当にあるよ、
    宇宙人もいるよ、

    と、言われても
    まだ死んだことも無ければ、神にも会った事が無いので、
    私の
    「そうそう、私もいると思います。」と、いう言葉には若干の(嘘)が含まれている、ということになる。

    ・・・が。

    「この世に存在する全てのものには意味がある。」
    と、いう言葉には、
    私のなかに「嘘」がある事を認めたくなかった。

    たとえ、いしころいっこにしても、小さな蟻一匹にしても、
    (何かあるはず、意味があるはず。)
    だが、
    それが何か?ってのは
    地に足をつけて歩いている間は、わからないような仕組みになってんだろうな~
    と、自分のなかのマル秘ファイルに納めてしまっていたのだが、

    この物語の主人公である青年が自らの身を犠牲にしたことによって、
    その(何か)がわかったような気がしたのだ。

    自らの余命を知り、
    残された時間をもしも、伸ばしたいのなら
    この世から何かをひとつ消せばいいよ、
    と、悪魔にそそのかされ、

    ひとつ、
    またひとつ、
    と、およそ自分が生きる為なら
    失っても惜しくないであろう、と思われるものを次々と消して行く。

    それは、
    たかがなんてことはない「モノ」ではあったり、
    しゃべらない?「ねこ」であったりしたのだが、
    実は青年の人生にびっしりと絡み付いており、
    人生に存在していた無数のヒトやモノのなかから
    何を選択してきたかによって、
    蔓が伸びる方向がいろいろ変わっていたんだ…

    そんな世界をちらっ、と垣間見せて頂いた。

    (それもファンタジー…)と、一括りにしてしまえばそれまでだが、
    この本を選択し、
    読んだ私の蔓もまた、
    方向転換したような気がしたのだが。

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著者プロフィール

かわむら・げんき
1979年、横浜生まれ。
上智大学新聞学科卒業後、『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『君の名は。』などの映画を製作。2010年、米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、’11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。’12年に初の小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞にノミネートされ、佐藤健主演で映画化、小野大輔主演でオーディオブック化された。2作目の小説にあたる本作品『億男』も本屋対象にノミネートされ、佐藤健、高橋一生出演で映画化、’18年10月公開予定。他の作品にアートディレクター・佐野研二郎との共著の絵本『ティニー ふうせんいぬものがたり』、イラストレーター・益子悠紀と共著の絵本『ムーム』、イラストレーター・サカモトリョウと共著の絵本『パティシエのモンスター』、対談集『仕事。』『理系に学ぶ。』『超企画会議』。最新小説は『四月になれば彼女は』。


「2018年 『億男 オーディオブック付き スペシャル・エディション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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