- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838731008
作品紹介・あらすじ
美術史で語られるルネッサンス(再生)とは、
イタリアがペストから再生する人々の物語でもあったーー。
絵画の背景にある「経済」という人間の営みを、
人気公認会計士の著者が縦横無尽に解き明かす
最高に刺激的な知的エンターテインメント。
登場するのは、神父、軍人、富豪、商売人、哲学者、貴婦人、
政治家、画家、パトロン、名もなき市民……
そして、レオナルド・ダ・ヴィンチやナポレオンも!
有名無名の彼らが苦悩し、切り開いてきた世界史の舞台裏を
訪ね歩いてみませんか?
感想・レビュー・書評
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いやー,面白い本でした。経済と世界の絵画とのコラボがとても刺激的でした。このような視点で一冊の本を書ける人って,ちょっと変わり者ですね。少なくとも私にとっては,今までになかった視点を与えてくれました。しかもほんとに面白かった。「もっと読みたい」って思ったからね。
「経済と絵画との関連」と聞いて真っ先にわたしが予想したのは「絵の中に何か,経済に関することが描かれているのかも」ということだった。読んでみると,確かにそんな話もたくさんあった。考えてみれば,絵画作品そのものも商品の一つだし,今じゃ金持ちの投資先の一つだとも言えるのだから,経済と結びつくのは当たり前と言えば当たり前。画家という職業は一種の商売なのだから,経済に結びつくのは必然でもある。
自分らしさを追求したい…でも,そればかりじゃ絵が売れない。妥協も必要だけどやっぱりやりたいことはある…画家たちのこういうジレンマの中で,私たちを魅了する絵画が出来上がってきたのかと思うと,これまでちょっと近づきにくかった名作絵画がとても身近なものに感じてくる。
文体も柔らかく,すぐそばにいて語ってくれるような調子。著者の専門分野である経済の講演会も笑いありで楽しいらしい。ぜひ,ライブで聞いてみたいものだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前提情報何も知らなくてもわかるし、さらにいろいろ知りたくなる。
地図と説明と絵がバランスよく、イメージしやすい。流れで理解できるので飽きずにサクサク読める -
想像以上の面白さ!絵が好きで詳しい人でも知らなかったようなエピソードを、その絵が描かれた当時の時代背景を踏まえながら教えてくれる一冊。
そして、コロナ以降に出版されたからか、それぞれの時代の画家や民衆が、何度も困難を乗り越えてきたエピソードが散りばめられていて、今を生きる私たちに勇気や希望まで与えてくれる一冊だった。
ぜひ続編や別のバージョンも出して欲しい!
この本を読むことで、それぞれの名画をより楽しんで鑑賞できるようになった気がする。
特にへぇーっ!と思ったポイント。
・中世のイタリア人はめちゃくちゃ几帳面でなんでも書類にしていた
・絵画の一般公開を始めたのはナポレオン
・質実剛健ぽいイメージのミレーはめちゃくちゃミーハー(出たばかりのカメラで自分の作品集を撮影)
・ルネサンスはペストを乗り越えた復活の象徴でもあった
・「金のために働く」か、「自分のやりたいように働く」か、その答えはルノワールに聞け(見る人を幸せにするために働く)
軽妙な語り口(イケてる男女を描かせたら天下一品の"モテ系"ルノワールと、山やリンゴばっかり描いてる"オタク系"セザンヌとか)も魅力の一つ。
笑えて知識が深まって元気になれる一冊✨ -
絵画が好きで、それぞれの絵や画家のことはなんとなく知った気にはなっていたけれど、時代の大きな流れや経済の動きが非常に分かりやすく書かれていて、これからの絵画鑑賞が更に楽しくなるであるろう一冊だった。
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会計士という美術とは全くの異業種の著者。
だからこそ書ける視点です。著者のファンなのでこの書を手に取る。
コロナ禍であることを強く意識し、疫病とヨーロッパの歴史において
絵画と画家について、著者得意のストーリで新たな視点で展開されており、
いつの時代も、進化していくことが大事であることを得ました。
サブタイトルにもあるように、「勇気」を過去の歴史を名画と経済という
視点で画家をモデルロールとして描いており、
前向きになれる気持ちになれました! -
大学でも勉強し、その後もずっと好きでいろいろな本を読んできている西洋美術史。
この本は時代の流れの語り方がとても分かりやすくて、いままでは暗記的に覚えてきたいくつかの部分がスッと理解できた。
断片として持っていた知識がここでつながって腑に落ちたり。
それにしても「名画で学ぶ 経済の世界史」はちょっと名前のつけすぎで、内容はむしろ逆の「世界経済から学ぶ美術史」です。(個人的にはどっちでもいいけど)
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経済の世界史とあるが、別にそれに限定する必要はなかったのではないかと思う。普通に美術史だ。
経済の世界史かどうかはともかく、美術史としても内容がまとまっていて頭に入ってきやすい上、載っている絵画がフルカラーなので見ていて楽しい。
ツアーの体で文章で綴られているが、時々鼻につく感じはわざとなんだろうか… -
ルネサンスがペストからの再生でもあったとは。今このタイミングで読むと我々のルネサンスはどこへ向かうのだろうと思ったり。絵画と歴史や経済を結びつけた話はあまり読んだことがなくて面白かった。
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会計士の書いた西洋美術史の入門書。
非常にわかりやすく、現代のビジネスマンがとっかかりやすいよう、秀逸な例え話が盛り込まれている。
戦乱に疫病、産業革命と歴史のターニングポイントの都度、人類と共にそれを乗り越えてきた芸術。今、同じくコロナ禍に生きる我々にも、史実が深く突き刺さる。
以下、メモ。
商売のグローバル化によるペストの流行と、金融のグローバル化によるリーマンショックは重なる部分がある。ルネサンスとはペストからの再生である。
聖書の量産化から発展した宗教対立。ノーサイド宣言をすることで、移民のブレインを得たオランダで東インド会社が発足。レンブラントの絵からチューリップバブルの話へ持っていく。質素倹約をモットーとするプロテスタント圏で、かつそれを象徴するチューリップの花が世界最初のバブルの対象となったのは誠に皮肉な話だ。
その同時期、絵画は権威による完全受注制から、マーケットで取引される対象に変わった。これによりサイズのコンパクト化、宗教画から風景画に対象が移っていく。
イタリア追い越せの精神でフランスは芸術家育成学校「アカデミー」を設立。ブーシェは貴族好みのオシャレ作風なロココ絵画を確立する(『ポンパドール夫人』)。
遊びすぎた貴族による「アンシャンレジーム」打破のため、フランス革命が勃発。ロココ文化は凋落。
フランス革命後の統治者がナポレオン。その肖像を書いたのが、ブーシェの親戚だったダヴィッド。
ダヴィッドは直線的で硬質な新古典派を確立。
こういったように、世相が混乱すると、芸術界な毎回古典への回帰を起こす。
なお、ルーブル美術館に絵画がたくさんあるのは、この時ナポレオンが占領したイタリアオランダスペインあたりから絵画を持ち帰ったため。
ナポレオンはこれをルーブル宮殿に保管したが、ダヴィッドの進言により、ルーブル美術館となった。美術品が私的所有物から公共財になった歴史的ターニングポイントである。
なお、この頃パリのアカデミーに通っていた田舎者がミレーだった。
その後、梅毒が大流行。娼婦のせいだと非難が集まる世相の中、マネは、ヴィーナスを娼婦にオマージュした『オランピア』を発表し大炎上。
その後輩が、モネ、バジール、ルノワールの3人組。炎上商法を引き継いだ彼らは、印象派を確立。
古典こそ絵画であるというアカデミーの理念に反抗した。
産業革命下、蒸気機関車を描いたイギリスのターナー。色彩と躍動感、つまりその場にないものを表現したロマン派である。カメラの台頭に対する画家としての反抗の側面もあった。
そしてその後、デュラン=リュエルをはじめとする優秀な画商により、印象派絵画がアメリカで流行。これは、①古典作品より歴史が浅く贋作が少ないこと、②アメリカ人が宗教画より風景画を好んだことによる。
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この著者の切り口は本当に面白い。
お金を絡ませることによって、今まで理解していた歴史とは違う観点で物事が繋がっていく。
そんな体験を一冊を通して実現してくれる。
とりあえず、カナレット、ディエゴリベラ、フリーダカーロの絵画は要チェックですね。
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