なぜ重力は存在するのか 世界の「解像度」を上げる物理学超入門 (マガジンハウス新書 024)
- マガジンハウス (2024年7月25日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784838775255
作品紹介・あらすじ
ニュートン力学から相対性理論、
量子力学まで……
「宇宙を支配する力」に
迫る知的探求の旅!
本書では、カルフォルニア大学バークレー校教授で
理論物理学者の野村泰紀さんが、
「ニュートン力学」や「相対性理論」
といった古典物理学から、
「量子力学」などの現代物理学
に至るまでを概観しつつ、
「重力はなぜ存在するのか? 」
という謎に迫ります。
宇宙を動かす根源的な仕組みや、
自然界を支配する法則への理解がぐっと深まる、
読むだけで世界の「解像度」が上がる一冊です。
【本書の内容】
◎月は「落ち続けている」から落ちてこない
◎「重力」は“時間”と“空間”の歪み
◎地上も宇宙も「同じ法則」で運動している
◎光さえも進めなくなる「ブラックホール」
◎自然現象はたった「4つの力」で成り立っている
◎重力と一般相対性理論を統合する「超ひも理論」 …etc.
※本書は、YouTube チャンネル『ReHacQ─リハック─』で配信された動画を元に、
追加の取材・再編集を行い、書籍化したものです。
感想・レビュー・書評
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紙の本
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近年の物理学の進展を通じて、私たちは未知の世界に対する理解を深めています。ニュートン力学やアインシュタインの相対性理論といった伝統的な理論は、今なお重要な基盤でありながらも、新たな理論や発見が続々と生まれています。量子力学やAIの発展により、私たちの探求心は一層刺激されるばかりです。分からないことが増えるほど、その探求の過程が楽しく、日々の進化にワクワクしています。
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近現代400年の物理学の歴史を一般向けに解説したもの
YouTubeでReHacQをみて感動し、復習のつもりで手に取ったが、それよりも更に詳しい内容。
動画より難しく感じるが、それでもここまで初心者向けにわかりやすく概略をまとめてくれているのは貴重。 -
久しぶりに学術的な本を読みました、物理学の歴史・発展について、数式を使わない解説をしています。数式が沢山あると敬遠されるとのことで筆者である野村氏は気を遣われてるようですが、私としては結果の式くらいは書いておいてほしかったなと思いましたが。
受験勉強をしていて浪人したおかげで、物理の最後の方で習う内容(当時の最新の物理学)から、最近確立された内容まで細かく、でも分かりやすく書いてあり、物理学の面白みを感じました、でも新たに勉強するにはハードルが高いようですね。
このような分野を突き詰められた方々が、ノーベル賞を受賞されていることもわかりました、最新物理学を応用して人間が幸せになれる技術開発をしていただきたいと感じました。
以下は気になったポイントです。
・極端な精度(10-7 mm)が必要なない場合には、量子効果を考慮する必要はない、こういった場合にはニュートン力学を使えば十分です。つまり「ニュートン力学は不要になった」というわけでは決してなく、自然現象には、量子効果を無視できる領域があったということ、そしてその量子効果を無視できる領域の中で私たちは生きてきたということ(p6)
・ガリレオは斜面で球を転がす実験を何度も繰り返し、その結果「重力による落下運動では物体が落下する距離は、落下時間の2乗に比例する」ことを発見した(p23)ガリレオは自然科学の研究において、実験という手法に加えて、新たに観測という手法を取り入れた、ガリレオの登場以降、自然科学は「理論・実験・観測」の三位一体で発展を遂げていくことになった(p27)
・惑星の軌道が円だとすると、地動説による予測結果と観測結果が完全には一致しなかった、地動説が広く受け入れられなかった理由の1つも、そこにありました、ケプラーは重大な結論に辿りつき「惑星の軌道は円ではなく、楕円である」という第二法則である(p33)
・ニュートンが故郷で過ごした1年半(1665-66)は、創造的な休暇と言われている、この時に、「微積分学」「光の理論」「万有引力の法則」の3つの大発見を全てこの期間に成し遂げた(p38)万有引力の法則は、天上の世界も地上の世界も同じ物理法則に従っており、自然の背後にある物理法則に天上・地上といった区別はないことを示す、非常に画期的なものであった。ニュートンは、重力の法則を明らかにすることで、文字通り「世界の見え方」を一変させた(p50)
・ライプニッツの微積分学が支持されている理由は、難解な微積分学の理論を、記号を使って簡略化させたから(p64)
・私たちが便宜上につけている名称で、可視光・紫外線・赤外線も、またX線もガンマ線(放射線)も電波も全て電磁波であり、その速度は全て同じ秒速30万キロメートルである(p72)
・20世紀以降の物理学の3本柱は「相対性理論」「量子論」(光量子仮説:波と考えられていた光の正体は、実は「粒」でもある)「統計力学」である(p81)
・特殊相対性理論が当てはまる特殊な場合は、物理現象を見る観測者が「等速直線運動」している場合で、静止している場合もそれに含まれる、一般相対性理論は、加速度運動をしている場合にも使える理論である(p89)
・最初にアインシュタインがたどり着いたのは、時間の進み方は見る人によって違う、より正確には「時間の進み方は対象を記述するのに用いる慣性系によって異なる:という結論であった(p96)
・時間の進み方は、誰にとっても同じであると考えれてきたが、実は時間は絶対的なものではなく、見る人の立場によって伸びたり縮んだりするもので、ある人にとっては同時に怒ることが、別の人にとっては同時に起こらない場合がある。時間とは相対的なものであり、これは時間の本質的な性質である、とアインシュタインは結論づけた、これが特殊相対性理論の神髄である(p100)
・私たちは、3次元の空間に、時間軸という1次元を加えた4次元の時空に住んでいる、アインシュタインは、この時空(時間と空間を合わせたもの)が歪むことによって異なる場所の間の慣性系同士の関係が等速直線運動からずれていると考えた(p125)
・ある振動数の光(電磁波)が持つエネルギーの値は、振動数に、ある定数をかけたものを最小単位として、必ずその正数倍になっている、これがエネルギー量子仮説である、その定数は、プランク定数である(p150)物理量は連続的に変化するものであり「不連続に変化する、つまり飛び飛びの値しか取ることができない場合がある」従来の物理学において「物理量は連続的に変化するもの」と考えられてきた理由は、プランク定数が極めて小さい値なので、物理量の不連続性に気づかなかったし、日常生活を送る上では何の支障もなかったから(p152)
・ミクロの世界では、物質の位置と運動量を同時に確定することができない、これが「ハイゼンベルクの不確定性原理」である(p173)ファインマンの思考実験は、ミクロの世界においては、観測という行為が観測する対象物に少なからぬ影響を与えてしまう。私たちは、対象物を観測するとき、対象物に何かを当てて反射してきたものを見ている(p178)
・「場」とは、空間に満ちていて、その空間が持ち得る物理的な性質を決定するもの、電磁場(電場と磁場を合わせたもので、その空間が持ちえる電気や磁気に対する影響を表す)がその一例である(p204)
・湯川秀樹は、陽子と中性子を硬く結びつけている核力は、陽子と中性子が「パイ中間子」という未知の粒子をやりとりしているからだと予言した、その質量を不確定原理などから計算し、電子の約200倍と推定し1934年に発表した。1947年にはイギリスのセシルが宇宙線の軌跡から、湯川が予言した「パイ中間子」を発見した、これにより1949年、湯川は日本人はつのノーベル物理学賞を受賞した(p212)
・素粒子物理学の発展に伴い、素粒子の種類(合計17:クォーク6、レプトン6、力を伝える四種の素粒子、クォークやレプトンに質量を与える「ヒッグス粒子」)が明らかになってきたと同時に、自然の様々な現象は、突き詰めると「電磁気力」「強い力」「弱い力」「重力」の4つの基本的な力で説明できるということ(p219)
・宇宙は約138億年前に誕生したこと、膨張を解析することによりわかっている、理論的には宇宙が誕生して約0.1秒後からの宇宙の歴史は、ほぼ完全に解明されている(p223)誕生から約1秒から3分後に原子核ができ、原子核と電子が一緒になって原子ができたのが、38万年後(p224)宇宙の膨張スピードは減速しているはずと考えられていたが、予想に反して1998年、逆に、50億年ほど前から加速していることが観測から明らかになった、これは大きな衝撃であった。これは、宇宙のエネルギーの大部分は、物質によるものではないことを意味している。この宇宙の膨張を加速させる未知のエネルギーは「暗黒エネルギー=ダークエネルギー:と呼ばれている(p227)
・陽子と電子の間に働く重力の大きさは、その間に働く電磁気力の大きさに比べて40桁程度も小さい、しかし私たちにとっては、重力の方がよっぽど重要に思える。それは、電磁気力は、プラスとマイナスの間で相殺されて、事実上、力が消えてしまう。重力には引力しかないため、マクロな物体を構成する素粒子間の重力は、打ち消されることなく単純に足し上げられるので、マクロな物体では重力が最も重要な力となる(p229)
・私たちが「エネルギーを節約しましょう」といっている時は、実は「エントロピー(乱雑さや無秩序さを示す尺度)を上げないようにしましょう」と言っているということで、それが物理学的に言う「エネルギーを節約する」という意味になる。エネルギーを効率よく使うためには、なるべく秩序ある状態に止め、エントロピーを小さい状況にしておくことが大切である(p245)産業革命時に、蒸気機関を効率的に活用するにはどうすればいいか、という社会からの要請で生まれた熱力学が、統計力学へつながり、それが時間という、私たちの世界の根源的な仕組みにも絡んでいる(p245)
・統計学的に起こりやすい方向、つまりエントロピーが増大する方向に進んでいくことを「時間が進んでいる」と感じているだけである、こうした観点から見ると、時間の流れの一方向性が単なる人間の認識であり、実際には存在しないという見方ができる。時間に方向性があると感じるのは、私たちが世界を認識する仕方に伴う結果である(p247)
2024年12月7日読破
2024年12月8日作成 -
ガリレオから最新研究までの400年の物理の歴史を200ページでなぞる、という構成にかなり無理があるかもしれない。
理系人間なのですが量子論あたりから話について行くのが難しくなり、何度も何度も読み返しながら読了。
とはいえ、観測することもできない中で未知の概念や理論を提唱して実証していく、その繰り返しの中に今がある。感謝と尊敬しかないです。 -
ニュートンに始まる物理学の歴史のお話。知っていることも多かったけど、概ね面白かった。
なお、タイトルの「なぜ重力は存在するのか」については、相対性理論による仕組みとしての説明はあるけど、根本的な理由は語られない。ニュートン物理学→相対性理論→量子力学→超ひも理論(未完成)という歴史の概要説明がメイン。
相対性理論も十分不思議だけど、量子力学ってやっぱり不思議すぎる、という感想を強くするなど。 -
勉強するとか理解するとかではなく(そうすると難しすぎる…)、読み物として楽しめる本だと思います。
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2025年1月12日、グラビティの読書の星で紹介してる人がいた。
やばい。これは読みたい。
重力がある理由とか考えたことないから興味そそられたのは勿論、タイトルの「解像度を上げる」っていうフレーズがいい。 -
難しすぎる。
著者プロフィール
野村泰紀の作品





