タイの基礎知識 (アジアの基礎知識)

著者 :
  • めこん
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本棚登録 : 51
感想 : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (246ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784839602932

作品紹介・あらすじ

タイのことを知りたいと思う人が最後まで一気に読めて、基本的な情報がすっと頭に入る。

〇読みやすい・・・研究者がひとりで執筆→全体のまとまりがある。
〇理解しやすい・・・各節2~4ページ。写真・図版・地図を多用。
〇必要最小限の知識・・・詳しくなりすぎない。固有名詞より流れや構造を重視。タイを代表する人物15名のコラムがユニークで役に立つ。
〇読者の立場に立ったレイアウト・・・細部まで気を配り、親切に。

感想・レビュー・書評

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  • タイに行った前後で一読。

    政治状況、国王について、周辺国との関係、日本との関係、国民の気質、宗教観など、ガイドブックでは決して得られない知識を学べた。

  • 地理気候歴史など幅広い分野をカバーしていますが、個人的に印象に残ったポイント:

    <社会>
    東南アジアはベトナム、ジャワ、ルソン(フィリピン)など一部の地域を除いて人口密度の小さい小人口世界であり、土地よりも人の方が重要な資源であったことから、伝統的な戦争における戦利品は人であり、二者関係が卓越した社会が形成された(保護を与えるピーと忠誠を尽くすノーン)。タイ社会は個人主義的な傾向が強く、集団主義的日本社会と比べて「緩い」社会と形容される。また、とりあえず社会の構成員の誰かと二者関係を構築すれば、新参者もすぐ社会の一員になれるという側面があり外国人にとって居心地がいい。タイの「能力があれば出自を問わず登用する」という伝統の基盤となっている。

    <歴史>
    ・ラーマ4世はビルマや中国が列強に敗北するのを見て、 列強と対立するのではなく可能な限り列強の要求を受け入れて良好な関係を構築する道を選んだ。その結果、イギリスと不平等条約を締結し伝統的な皇室独占貿易を廃止し自由貿易を認めた。(このようにタイ経済を握っている存在であったことが、タイ王室が世界一お金持ちの理由?)最大の財源である王室独占貿易から収入を失うことになったので、これに代わる財源として輸出を奨励することになった。当時米は東南アジアの植民地化に伴い需要が増していた。
    ・ラーマ5世は、タイの独立を守るために分権的な国家体制の中央集権化を推進した(チャックリー改革)。結果的に中央集権化の推進と鉄道による経済的統合の成果によりイギリスとフランスが定めた緩衝地帯よりも多くの領土をタイ国の領土として保全することができた。

  • 日本人がなぜタイに惹かれるのか。それは、次の理由があるという。
    ○日本に似た景観-伝統的に稲作に立脚した社会と木造家屋の組み合わせが、深い郷愁に駆られる。車も左側通行。
    ○多様な観光資源-遺跡、寺院、リゾートビーチ、ショッピング
    ○食べ物の類似点-米(但、インディカ種)と魚は食べ物の主役。魚醤の存在。
    ○宗教-国民の9割以上が仏教徒(但、上座部仏教)。日本の神道のような精霊信仰もある。
    ○居心地の良い社会―「ピー・ノーン」(保護・被保護)の二者関係が重要な社会。個人主義的な傾向が強く、よそ者に対しても包容力がある社会。微笑の国(the Land of Smiles)。「マイペンライ(大丈夫、気にしない)」

    タイ系民族を大きく分けると、中部から南部にかけてのシャム(サヤーム)と北部から東北部にかけてのラーオ(ラオスの主要民族とタイ東北部のラーオは元々同じ民族。1893年にメコン川を境に東側がフランスに割譲されたため分断)。シャムは、アユタヤの崩壊(1351-1767)後、トンプリー朝(1767-82, ビルマから独立を回復したタークシンが中国福建省の潮州系華人の支援を得て成立)を経て、ラッタナコーシン朝(アユタヤ王家の血を引くラーマ1世が1782年に開く)を興し、現在に至る。タイではシャムの文化が規範となっており、1939年までの正式国名はシャムであった。

    冊封体制を基盤とする東南アジアの国際秩序は、ヨーロッパ諸国の侵出により崩壊。特にフランスは強欲で、トンブリー朝(1767-87)時のタイの領域は、現在のラオスとカンボジアも含んでいたが、フランスは1863年にカンボジアを保護国とし、1887年にフランス領インドシナ連邦を成立させると、1893年に仏泰戦争を経てラオスを連邦に編入。1863から1907年まで5度にわたりタイはメコン川流域の支配域を割譲している。このため1940年から41年に、「タイ・フランス領インドシナ紛争」が勃発。1941年に日本が仲介役を果たし失地回復している(cf. Victory Monument)。

    「プラーサート・プラウィハーン(プレア・ビヘア)寺院」(9世紀末にクメール人が建設したヒンズー教寺院)を巡るタイとカンボジアの軍事衝突に見られるように、国境線問題は今も顕著である。

  • 最新の社会情勢も含めた基礎知識が分かりやすく記載されている。手元に欲しい。

  • ハードカバーですが、平易に書かれていてとても読みやすかったです。大学の先生が長年の研究を踏まえて体系的にまとめられた本がとても読みやすく、知識を得やすい点で本書は良書と言えます。

  • タイトルにもある通り、この本を読めばタイについての基本的なことは大体わかります。まじめに学術的に書かれているので、多少読むのに時間がかかりました。
    国際関係の中でも特に周辺諸国との関係が興味深かったです。植民地になったことがないという点で、日本との共通点も多いと感じました。

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著者プロフィール

1971年生まれ。中学3年間をバンコクで過ごし、大学でタイ語を専攻した後、タイ研究の道に入る。
横浜市立大学国際教養学部教授。
おもな著書に『物語 タイの歴史』(中公新書、2007年)、『王国の鉄路 タイ鉄道の歴史』(京都大学学術出版会、2010年)、『タイ謎解き散歩』(KADOKAWA、2014年)、『タイの基礎知識』(めこん、2016年)など。

「2022年 『イラストでわかる タイ・ガイドブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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