ソングライン

制作 : Bruce Chatwin  芹沢 真理子 
  • めるくまーる (1994年7月発売)
4.17
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  • Amazon.co.jp ・本 (500ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784839700782

ソングラインの感想・レビュー・書評

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  •  オーストラリア全土に延びる迷路のような目に見えない道のことを知ったのは、アルカディが教師になってからのことだった。ヨーロッパ人はそれを“夢の道”あるいは“ソングライン”と呼んだ。あぼリジニにとって、それは“先祖の足跡”であり“法の道”であった。 7ページ

    「それはもしかして光のせいではないのですか?」私は言ってみた。「オーストラリアのまばゆさが、人々に暗闇を求めさせるのでは?」
    「アルクが言ってました。あなたはいろいろなことについて、ありとあらゆる種類の興味深い理論をおもちだと。」 81ページ

    白人は、と彼は口火を切った。アボリジニが放浪者であるがゆえに、彼らに土地を保有する制度はないと誤解した。これはまちがっている。アボリジニは境界で区切られたひと塊りのものとしてではなく、ラインあるいは“道”の複雑なネットワークとして領地をとらえた、というのが本当のところなのだ。 97ページ

     私は自分の人生の“旅”の季節が終わりつつあることを予感していた。定住生活の重苦しさが覆いかぶさってくる前に、これらのノートをもう一度開いてみなければ、と思っていた。私を楽しませ、あるいは私の心をとらえた思想の断片や引用文、人々との出会いなどを書きとめておかなければならなかった。それらが私にとってのもっとも重要な問い、人間のなかに潜む放浪性について、光を投じてくれるのではないかと思ったからだ。 276ページ

     アルカディは、こうした考えが「人間はやがて土地になり、その場所になり、先祖になる」というアボリジニの観念によく似ていると言った。
     一生をかけて自分の先祖のたどったソングラインを歩き、歌うことによって、人は最後にはその道となり、先祖となり、歌そのものとなったのである。 307ページ

     人生は橋である。その橋を渡れ、しかしその上に家を建ててはならぬ。
     インドのことわざ 310ページ

     そのとおりだった。彼らは申し分なかった。ユーカリの木陰で死に向かって微笑みながら、彼らは、自分がどこへ行こうとしているのかを知っていた。 491ページ(最後の1文)

    本書のなかで彼は問う。なぜ人は放浪するのか。なぜ所有を嫌うのか。なぜ故国を捨てるのか。あるいはまた、人はなぜ都市をつくり、定住するのか。なぜピラミッドのような巨大建築物をつくるのか。なぜ戦争するのか。 494ページ(解説文)

  • とてもおもしろかった。知らないことを知るおもしろさ。
    小説風な部分より後半の思考メモ的な部分が良い。

    なるほどなぁとひたすら感心するし、知識も増える。

    物知りな恋人の話を楽しく聞いている気分になった。

  • オーストラリアに広がる、祖先の生きた“夢の時代”を歌った先住民族の歌。
    それは今も残る大地を歌った歌。

    その歌に引き付けられるようにチャトウィンはオーストラリアに足を踏み入れる。

    彼の手帳モレスキンから、オーストラリアから、この本から、“放浪すること”が浮かび上がる。

  • アボリジニの人々はヨーロッパ人たちがオーストラリアに住みつくずっと前に住んでいた。彼らは歌を持ってして、彼らの世界を構築する。

    ストロースは世界のどこの人々には、似たような神話構造があるとのべていたが、チャトウィンはアボリジニの神話構造(ソングライン)をおってゆく。

    彼らの内部世界をみるのも面白いが、ほかに関連する白人とその関係もおもしろい。

  • 2009/9/28購入
    2018/3/18読了

  • 未読

  • 生きること=旅=物語(フィクション/ノンフィクションの枠を超えた)になっていく。それにしてもソングラインってすごくよい言葉だよね。

  • 紀行文の体裁をとってはいるが、創作の部分も多い不思議なカテゴリーの小説。ダウンアンダーに縦横無尽に張り巡らされた「ソング・ライン=歌の道」アボリジニたちにとって自分たちの夢(祖先)の世界でもあり、出会った人、起きたことを全て歌にして残した現存する神話。アボリジニが二重父系社会というのを初めて知った。また、彼らの夢は絵などに具象されたときに凡人にはとてつもないスケールの抽象画になること。チャトウィンは、人類とは旅する人・・・という掘り下げで幾つかのソングラインを私たちに紹介してくれる。とにかく魅力的な文章。

  • どこかで見かけたら必ず買うべしのもはや絶版本。チャトウィンのオーストラリアもの。定住と放浪
    防御と攻撃について。

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