- Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
- / ISBN・EAN: 9784839700850
感想・レビュー・書評
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一見暗いタイトルにも見えるけれど、ここでの「死」は、長い人生に休みが訪れ身体が自然と一体化する、安らかで肯定的な終わり。
こういうおおらかさ、土くささは私たちが得ようと頑張って手に入れられるものじゃないんだろうな。
私にとって大自然は自分のフィールドとして感じられず、森とかに行くと「特別な場所にお邪魔させてもらっている」ような気分になるけれど、彼らにとって大自然は当たり前のように自分の立っている場所なんだと思う。
こういう感覚を自分の中にも持ちたいなーと憧れながらネイティブアメリカンの世界を覗かせてもらった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アメリカ原住民の思想や生き方、死生観などを綴った詩集です。
人間も大自然の一部であるという考えのもと
大自然と寄り添い、どのように生き、どのように自然に還っていくか。
とても哲学的でもありますが、大切な言葉の数々が綴られています。
翻訳文のみならず、原文も掲載されているので
それも興味深く読めました。 -
ネイティブアメリカンにとって本当に大切なことを、シンプルな言葉で綴った詩。
オオカミの遠吠えが聞こえるつもりで、火を囲んで酋長の言葉を聞いてるつもりで、毎夜ベッドで読んだ。 -
美しい詩集。自然との共生。自然とともに生きること、自然とともに死を迎えること。死生観。
原題は”Many Winters”。
訳者あとがきには
「冬」という言葉は万物凋落の季節、一年のしんがり、「死」を暗示するがこの本では違っている、と指摘。「冬」は「再生」、「甦り」を意味し、万物は、一度死ぬことによって、生を取りもどす。この思想の背景に、歴史を直線的ではなく、「円環的」に見るタオス・プエブロ族の癖が隠されているとも。
仏の世界にも通じる死生観でもあるし、神道・八百万の神にも通じる自然崇拝でもあるような。でもこの本では堅苦しい表現は一切なく、暖かみのある詩が散りばめられている。 -
じわじわくる感じ
特にまえがきからぐさりときた
何か人生のヒントがないかと日々探っているわたしたち
キョロキョロ探し回ってばかりで見えてこない
人間以外の生き物はそんなこと考えない。当たり前のように生きて、当たり前のように死ぬ。
だけども探さずにはいられない、一体インディアンの死生観とはどんなものか
「人生について わたしは、おまえに何を語ってやれるだろう?」
「なんにも。わたしの答えはわたしだけのもの。おまえには、通用しないだろう。」
やられた、おっしゃるとおり -
人々の言葉に生き方や在り方が宿っている。心理的、精神分析的な人生や生き方の物悲しさや愛しさを語っているよう。
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再購入。
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以前に中断してしまっていたため、改めて最初から読み直してみようと思う。
白人たちの侵出によって仲間たちを失い、土地を剥ぎ取られ、わずかな空間に生きながらも、その土地でさえ明日はどうなるかもしれないという状況のなかで、死ぬこととは何なのかを静かに伝える。「今日は死ぬのにもってこいの日」というのは、作品中にある散文のひとつだが、今では定着した極めて象徴的なタイトルだと言えるだろう。しかし原題である「Many Winters」も象徴的な言葉だと思う。冬が何を指し示すかについては、読み手が決めるので良いのだと思う。冬という言葉にネガティビティーを感じるのか、あるいは希望を感じるのかは、人それぞれだからだ。
短い作品だからすぐに読めてしまうと言えるが、ひとつひとつの言葉に込められたものを心と体に染みこまさせるためには、一生を終えるときでも本当にはわからないだろう。いつか現地を訪れ、彼らの暮らしに騒音を立てぬよう細心の注意を払いながら、その自然を体感してみたいと思う。そしてまた本書を手にしてみたい。
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本当は人はこうあるべきなんだと思わされる。
原語の詩も掲載されていて、手元においておきたい一冊 -
丸元淑生の訳がよかったのが改めてわかる。英語の勉強にいい。