[読んだ理由]==================
「統計学が最強の学問である」と同じ著者だったので。タイトルだけ見るとありがちな自己啓発本かと思うけど、この著者なら客観的なデータの裏付けを持った話であることに期待して読んでみた。
[読んだ後の感想]==============
触れている話題の範囲が広くて、1つ1つの内容はどうしても深くはない。その点以外は凄く分かりやすく腑に落ちやすい展開で読みやすかった。仕事観から家庭の考え方、幸福論?まで、幅広く学問的知識を広げられたので読んでよかった。
[備忘録]======================
■第一章:なぜ、いくらがんばっても給料が上がらないのか?
労働者は不当に搾取されているわけではない。搾取されているのであれば転職すれば良い。
やり方が同じである限りは、頑張れば頑張るほど、生み出す価値の平均値は徐々に薄まっていく(収穫逓減の法則)。
利益を出すには、同じやり方のまま頑張るのではなく、「新しいやり方」を生み出すことが不可欠。それは、皆さんがまだ持っていない種類の知恵。例えば最新の学問的知識たち。
「新しいやり方」は、複数の知恵やアイデアの化学反応で生まれる。
かつての日本の経済成長の元は、読み書き算盤といった知恵。それがいまどきその程度では他国と差別ができなくなっている。一方で大学レベル以上の学問の知恵は日本にまだまだ不足している。
個人として、きちんとした姿勢を常に身につけ、それを周りと共有する姿勢を持ち続けることが重要。また、知識やアイデアが十分にストックされたり、使われたりしている場に居続けることも重要。
給料の低さを愚痴る時間を、きちんとした学問の知恵と、異業種における知恵を学ぶことに費やして、「新しいやり方」を生み出していこう。
⇒最新の経済学についてのおすすめ本「ソウルフルな経済学」ダイアン・コイル著 インターシフト刊
■第二章:なぜ、お金が貯まらないのか?
お金が賜らないのは「お金の感覚」が穴だらけだから。
タンス預金は銀行の破綻よりもはるかにリスキー。
損失嫌悪バイアスと、現状維持バイアス。リスクを避けすぎるリスク。
「毎月の投資積立額」=「現在の収入」-(「現在の収入」-「理想的な節約状態」)÷2
リスクヘッジの一環としての投資のあり方を実践しよう
1:悲観的な経済ニュースのインデックス
2:第一の投資先と逆相関するインデックス
最近流行りの投資先は選ばない。自分のスキルや勉強のための投資が、一番効率が良くて景気も悪くならない。
⇒行動経済学のおすすめ本:「予想どおりに不合理」ダン・アリエリー著 早川書房
■第三章:どうすれば楽して出世できるのか?
まじめに頑張って仕事をしているだけの人は情熱を感じる天職をこなす人には勝てない。
天職を見つけるために、自分に正直になって「意義」と「喜び」と「得意」はなにか考えなおしてみる。
MPSプロセス(Meaning,Pleasure,Strength)
自分は特に、どんなことに意義を感じるのだろうか
自分は特に、どんなことに喜びを感じるのだろうか
自分は何が得意なのだろうか
⇒
「もしあなたが神様やスーパーマンだとしたら、社会や自分をどのように作り変えるでしょうか。逆にどのような社会に作り変えられてしまったらひどい憤りや悲しみを感じるでしょうか」
「あなたが大富豪で生活のことを全く心配しなくても良くなったとして、いわゆるレジャーや贅沢にも飽きてしまったら何をし始めるでしょうか。あるいはどれだけお金をつまれても絶対にやりたくないことは何でしょうか」
「一生一つのことだけをやり続けなければいけない、と言われた時に、何をやり続けることだったら苦にならないでしょうか。逆に何をやらせ続けられたら苦痛を味わうでしょうか」
VIAテストやストレングスファインダーを使って自分の強みを理解する。
http://www.authentichappiness.sas.upenn.edu/
試しに自分の美徳をすべてつなげて「私の天職は○○することです」という文章を書いてみる。
一時的に収入が下がったりすることがあったとしても、天職に携わることが出世のために一番重要。
ポジティブ心理学のおすすめ本:「世界でひとつだけの幸せ」マーティン・セリグマン著 アスペクト刊
■第四章:どうすれば職場の人間関係はうまくいくのか?
人と仕事をする上で絶対的に正しいやり方は存在しない。
自分にとって当たり前のやり方を押し付けることが失敗の原因のほとんど。相手や儒教のタイプごとによりよいやり方はなにか考えるべき。
あなたが今までやってきたリーダーシップの発揮の仕方は、いわばじゃんけんのグーだけで戦い続けてきたようなものだとさえ言える。
良いリーダーシップとは「相手が良い仕事をするために必要な物を提供すること」。
「仕事の構造化」「感情的サポート」「自信とやりがい」「ビジョンと情熱」のどれを与えるべき相手と状況なのかよく考えて実践する。
仕事の9つのポジションのどれを誰が担当すべきか、何が足りていないかを考えよう。
創造/革新者、探求/プロモータ、評価/開発者、推進/組織者、完結/生産者、管理/検査者、擁護/維持者、報告/助言者、連結者。
上司など目上の人たちに対しては「専門力」のパワーで立ち向かいましょう。
組織行動論のおすすめ本:「組織行動のマネジメント」ステファン・P・ロビンス著 ダイヤモンド社刊
■第五章:どうすれば仕事はうまく回るのか?
日本的マネジメント(Kaizenや5S)は、既にやるべきことが明確で、同じ定常作業を繰り返す仕事において、一人ひとりがどう頑張るかという知恵。プロジェクトマネジメントはその全く逆に「どのように仕事を行なって目標を達成するか」「どうチームを組んで、できるだけ頑張らずに成果を上げるのか」という考え方。
スケジュールの遅れは絶対に避けようがないが、影響を正しく評価すれば早めに手を打つこともできる
「計画を変更することによる影響」が整理されていればステークホルダー相手にも交渉しやすくなる
プロジェクトマネジメントだけでなく、それ以外のリーダーシップのあり方も大切にする。
プロジェクトマネジメントのおすすめ本:「世界一わかりやすいプロジェクトマネジメント」サニー・ベーカー、キム・ベーカー、G・マイケル・キャンベル著 総合法令刊
■第六章:なぜ、いくら仕事をがんばっても家庭がうまくいかないのか?
毎日お互いの予定を確認して、雑談して、感謝を言葉にする。
マーティン・セリグマン 3つの会話上のテクニック:
1.とにかく相手の発言を確認する。相手の話を深くきこうとする姿勢を常に見せる。
2.話に集中できない原因を取り除いておく。取り除けないなら相手に正直に伝える
3.口論になりそうなときには、話す順番を決めるルールを作る
ネガティブな言葉の5倍ポジティブな言葉を掛けあいましょう。
性格は生まれつきのものではなく日々の習慣ですぐに変わるもの。人間の性格はその気になればいくらでも変えられる。性格とは「習慣」である。
毎日寝る前に3つ、その日あったよかったことを思い出てメモ。これだけで頭のなかで徐々に「ポジティブな志向の習慣」が根付き、ポジティブな言動が当たり前となる。
成功者の多くは強いポジティビティを持っている。
この本に書かれているような科学的アイデア以上に、あなたの仕事で役に立つアイデアを奥様はすでにたくさんお持ちかもしれません。家庭での会話が不足しているということは、せっかく長時間深い話を出来る相手を持ちながら、そうしたアイデアへアクセスする機会を無駄にしているということ。
「実践入門 ポジティブ・サイコロジー「よい生き方」を科学的に考える方法」クリストファー・ピーターソン著 春秋社刊
「理系男子のための恋愛の科学」秀和システム刊
■終章:それでも悩みの尽きない日々をどう生きればよいのか?
幸福感の大半を占める3つの考え方:感謝と許容と気付き。
感謝:他の誰かの人柄だったり、道徳的な行いの素晴らしさを強く認識すること。
許容:自分に害を及ぼした人や過去の体験を許すことができる
気づき:今この瞬間の幸福に気付ける力
夢は「叶えた結果幸せになるもの」ではなく「叶えようが叶えまいが持っているだけで幸せになるもの」。
「人生がうまくいっていないから夢なんて見られない」のではなく「夢を見ていないから人生うまく行かない」