知的生産の技術とセンス ~知の巨人・梅棹忠夫に学ぶ情報活用術~ (マイナビ新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784839947033

作品紹介・あらすじ

本書では、元祖ライフハックと言っていい、知の巨人・梅棹忠夫先生が提唱された「知的生産の技術」を、私たちができる限り活かせるように再解釈し、周囲にある道具や環境に適用できるよう、アップデートを試みました。さあ、「知的生産」という人生の武器を手に入れましょう!

感想・レビュー・書評

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  • 民族学者で「知の巨人」と言われた梅棹忠夫氏が著し、ベストセラーとなった「知的生産の技術」のアップデート版。
    梅棹氏の言う「知的生産」とは、「考えることによる生産」で、そこから生まれるのが「情報」だそうだ。音楽を演奏したり、料理を作ったりするのが、「情報」の生産であり、読書や将棋を楽しむのは知的「消費」に分類される。「知的生産」のための第一歩が「考えて(文章を)書く」ことで、その技術が現代に求められているという。
    梅棹氏が紹介したのは、現場でのフィールドワークを徹底して行い、そこで得た情報をいかに蓄積、分類し、論文や書籍の執筆、企画の作成といったアウトプットに活かすという技術。ツールとして参考になるのが、すべてを同じフォーマットで記録する「京大型カード」であったり、氏が高校生の時代にとっていた「発見の手帳」。
    また、氏の著した技術は、自ら情報を生み出し、価値を獲得していくという攻めの技術であると同時に、現代においては情報の稚拙な扱いによる事故を防ぐ守りの技術でもあると本書の著者はいう。
    著者によるアップデートは、情報爆発の時代と言われる現代にあって、大量に押し寄せてくる情報を取捨選択するフィルターすなわち個人のセンスを持つということ。
    抽象的な表現が多いように思える内容だったが以上が骨格だろうということはなんとなく理解できた。
    だが、情報整理のためのブログやツィッターについての記述、様々なアプリ紹介にはついていけず、退屈な読書になってしまった。むしろ梅棹氏の元祖本を読むべきだったと感じた。

  • 知的生産のバイブルともいえるロングセラー、梅棹忠夫氏の『知的生産の技術』を現代に合わせてアップデートしようと試みた本。同著作を読んだことはあるが、著者についてはほとんど知らなかったので、本書で本文やコラムを通して梅棹氏の人生や人となりについて学べたのは興味深かった。
    本書では知的生産のためのインプット、アウトプットについて現在ならではのツールやサービスが紹介されている。しかし、本書の目的は情報整理の正解を伝えることではない。どんな時代でも変わらない知的な行為――好奇心を胸に発見を記録し、発信していく――におけるセンスを磨くよう勧めている。ツールは常に進化し続けるが、基本的な考え方は変わらないからだ。(この辺りは「おわりに」に書かれている。)
    現代ではウェブを通してだれでも情報を発信できるようになった。しかし、それで有名になったりお金を稼いだり出来る人はほんの一握りだから、とか、自分には発信するほどのすごい情報はないから、などといってアウトプットをしないのはもったいない。今はあらゆる人が知的アウトプットをすべき時代だと断じている。その意味で、現代人必携の書。
    とりあえず卑近な学びとしては、PocketとEvernoteを本書の勧める方法で使おうと決めたこと、noteというサービスが面白そうだと感じたこと。

  • 知的生産とは、インプットを基に自分の考えで再構成したり新たなものを加えてアウトプットすることだという。仕事柄、アウトプットを日々することが求められているが、それに必要な心構え、インプットを適切に自分の引き出しにしまっておく方法などがよくわかる。本書の中でも挙げられていてよく分かった例は、読書・映画鑑賞は知的生産ではなく、演奏・文筆は知的生産であるという。梅棹氏の「知的生産の技術」で挙げられた京大ノート・小札による整理術をベースに、現代に利用できるEvernoteなどの使い方は参考になる。個人的にはEvernoteではなく、OneNoteを使っているが、同じような使い方を実践してみようと思った。
    さらに、知的生産を通して、代替不可能な存在になることの大切さがふれられていた。本当にそうありたいと思った。「誰でもいい」「いなくなってもすぐに代わりがいる」ではなく、「いないと困る」存在になりたい。そのためには、アウトプットを日々積み重ねる努力が必要だと感じた。

  • 梅棹忠夫先生の「知的生産の技術」をインターネット時代でどう活用するかを紹介した一冊。
    「知的生産」とは梅棹先生が生み出した言葉で、「誰もが新しい情報を生み出し、体系化し、新しい価値を生み出すこと」と定義されている。
    現代では、インターネットを使って情報を誰でも発信できるようになっているが、「知的生産」のためには、どんな情報をどのように探し、選び、自分の琴線に触れたものをどう表現していくのか?が重要。
    それを本書では“センス”と表現しているが、
    「一人称」の情報を繰り返し自分自身にフィードバックさせてゆくうちに、情報に対する感度は研ぎ澄まされていきます。(P179)
    日々繰り返し意識して実行する必要がある。最初からうまくいくわけないんだから、まずはインプットのセンスを磨かないと。

  • "梅棹忠夫さんの名著「知的生産の技術」を現代のツールを使って見直してみたのが本書。
    改めて、原書を読みなおしてみたくなった。
    そのうえ改めて、この本を読むといろんな気づきがあるかもしれない。"

  • 読み終わりました。

  • -

  • 名著「知的生産の技術」を現在版に置き換えようというチャンレンジングな試み。
    久々にこういう技術系の本を読んだ。

    序盤はネタ本と梅棹先生の紹介、後半はEVERNOTEの紹介?
    読む前の期待が大きかっただけに、少々期待ハズレな面も。
    ツールをアップデートした(情報カード→EVERNOTE)した感じ。

    [more]
    (目次)
    第1章 そもそも「知的生産の技術」とは?

     梅棹忠夫とはどんな人物だったのか?
     40年以上読み継がれる『知的生産の技術』とは
     「知的生産」という言葉は梅棹先生が生み出した
     誰もが新しい情報を生み出すために
     現代に求められる「考えて書く」技術
     「知的生産の技術」は今も活かせる

    第2章 「知的生産の技術」を支えたツール

     すべてを同じフォーマットで記録「京大型カード」
     「京大型カード」とはどんなカードなのか
     京大型カードに何をどのように書く?
     思考を筋道立てる「こざね」
     日本語をタイプするのも一苦労だった時代に
     『知的生産の技術』に書かれていないこと
     先の見えない時代にこそ求められる「知的生産」

    第3章 今は知的生産のための“センス"を磨く時代

     デジタルの限界をどう克服するか?
     道具は変わっても本質は変わらない
     すべての基本はフィールドワーク
     巨人の肩に乗る
     3極モデルでセンスを磨く
     個人のセンスってなんだ?
     センスこそがフィルター
     キュレーションには弱点がある
     「売り場を見る」ではもう不十分
     インプットからアウトプットへ

    第4章 「情報」をインプットする場所はどこなのか?

     好奇心が磨くインプットのセンス
     梅棹先生の「発見の手帳」
     自分を情報のフィルターとする
     クラウド時代の情報カード「Evernote」
     Evernoteで作る「発見の手帳」
     情報は整理せずに分流する

    第5章 何をインプットしていくか?

     ウェブとのつきあい方とキュレーション
     フィルターバブル問題
     書籍によるインプットと、電子化による新しい読みの可能性
     電子書籍時代の読む技術
     知的生産の現場としての書斎
     情報インプットの流れ
     名詞的なニッチと、形容詞的なニッチ
     変わる紙のノート、情報カードの役割
     あなた自身がフィルターになる日

    第6章 情報をどうアウトプットしていくか?

     誰もがアウトプットしなければいけない時代
     アウトプットへのハードルが下がった
     これだけある知的アウトプットのプラットフォーム
     「声」を持った発信と、リミックス
     リミックスを加速する発想法
     コラボレーションを可能にするサービスたち
     ログの生み出す力を享受しよう
     こつこつとコンテンツを提供できるサービス「note」
     知的アウトプットの輪を広げる
     わけの分からないことに身を投ずる

    第7章 世界に+(プラス)の影響を与えるために

     世界に+(プラス)の影響を与えるための素養
     登山で磨かれた知的生産のためのセンス
     専門に縛られない
     たった一人で世界を変える
     一人の熱意が伝染する、活動の拠点を持つこと
     かけがえのない人材になろう
     逆境を手なずける
     梅棹先生が私たち=未来に託したテーマ

  • 献本にて頂く。

  • 梅棹忠夫「知的生産の技術」を読んだのは既に数十年前。知的生産とは新しい情報を生み出し、体系化し、新しい価値を生み出すこと。その第一歩は、考えて文章を書くこと。新しい情報を単に生み出すのではなく、先人の情報に新しい自分の価値を付け足していくプロセス。そのためには個人のセンスを磨く必要がある。情報を取捨選択するフィルター。これが知的生産の本質。いつも好奇心を胸に発見の手帳を持ち歩きインプット。ブログなどでアウトプットする。このインプットとアウトプットの循環を続ける。惜しみのない知的アウトプットをする。

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著者プロフィール

海洋研究開発機構研究員。

「2014年 『異常気象と気候変動についてわかっていることいないこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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