将棋であった泣ける話 棋は対話なり 指し手が紡ぐ12編の盤上の物語 (ファン文庫Tears)

  • マイナビ出版 (2021年9月13日発売)
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本 ・本 (200ページ) / ISBN・EAN: 9784839976965

作品紹介・あらすじ

将棋を楽しむ人は毎年増え続け、今や指す人だけでなく、
観て楽しむ人(=観る将)や描いて楽しむ人(=描く将)など、
様々な楽しみ方をするファンも増えています。

本書は、様々な形で将棋に関わる人たちを描いた、12編のアンソロジーです。
12編のうち以下の2編は、マイナビ出版主催の短編小説コンテストの優秀賞となった作品です。

『負ける準備は出来ていた』萩鵜アキ
『天地自然』井上尚樹

将棋に興味がない人も、まずは読む将から始めてみませんか。

【一部あらすじ】

『将棋を忘れなかった人』/桔梗楓
「私は誰でしょう?」と、老人ホームに来て質問する若い女性に、彼はいつも違う回答をする。

『勝ってくれ』/水城正太郎
「百折不撓」を座右の銘にする棋士。彼を主役にした映画企画の打ち合わせが始まり……

『成駒のごとく』/矢凪
二十三歳の梓は日曜の朝、作務衣に着替える。趣味である『将棋の駒作り』をするために。

『盤上の記憶』/田井ノエル
病によって夫の桂五は棋界を去った。変わってしまった彼を必死で支える香子だったが……

『負ける準備は出来ていた』/萩鵜アキ(※コンテスト優秀作品)
二十六歳になり奨励会三段リーグ最後の年を迎える僕。最終日、あと一勝でプロになれる……

【ほか7作品収録】
『どこまでも高く駆け昇れ』溝口智子/『一緒に違う場所を見て』日野裕太郎/『白い昼と月の夜のエチュード』澤ノ倉クナリ/『小さな森で眠る鳥たち』朝来みゆか/『ふたりの歩』編乃肌/『一番強い龍になる』猫屋ちゃき/『天地自然』井上尚樹(※コンテスト優秀作品)

感想・レビュー・書評

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  • 将棋界隈で何度か宣伝されていた本だったので、気になって購入。

    5分で読める「泣ける話」っていうのもナンだかなぁという初手(笑)
    そして将棋の駒が名前に冠されているのは、将棋小説あるあるなんだろうか。

    個人的に印象的だったのは「勝ってくれ」。
    この話は「百折不撓」から始まる。
    それだけでニヤリとする人が多くいると思う。
    最年少棋士が中年の星からタイトルを奪取したあとの、NHK杯での一局が、ストーリーの背景に流れ続けている。

    5分で読めるお話に含まれた、見えない所にある深い想いと物語。素敵な構成だと思う。

    もう一つは「小さな森で眠る鳥たち」。
    曾祖父が取った駒を使わなかった意味と、孫たちが遊ぶ「どうぶつしょうぎ」の愛らしさが、こんな風に重なってくるのか!と、最後は驚かされる。

    ゲームとしてだけではなく、そこから棋風や思想を見出すことの意味。
    「盤上の物語」という言葉にワクワクさせられた私にとっては、棋士が織りなす一局から目が離せなくなる理由は、きっとそういう所にあるのだろうなと感じている。

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