図書館の水脈 (ダ・ヴィンチブックス)

著者 :
  • KADOKAWA(メディアファクトリー)
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本棚登録 : 131
感想 : 37
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840110686

作品紹介・あらすじ

学生時代に図書館で暮らし、トンデモ本を読み漁ったことのある売れない作家。本好きで、小説に描かれた世界を旅したくなる若いカップルのナズナとワタル。二つの別々の物語は、『海辺のカフカ』という物語に導かれて一つの流れとなる。そこには光り輝く水脈があった。村上春樹氏の作品をリスペクトしてやまない著者によるトリビュート小説。

感想・レビュー・書評

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  • なんか、とても清々しい気持ちにさせてくれる本でした。

    「海辺のカフカ」を読むカップルと、昔図書館に泊った事がある中年男性の話が並行してあって、途中でそれが繋がる喜び。

    四国で出会うんだけど、そこでもいろんな繋がりがあって、本の話題や作家の話でみんなが1つになれるっていいなって思いました。
    素敵な本に出会えたな~

  • 竹内さんの図書館シリーズを検索してて見つけ出した本。ちなみにいつも利用する図書館では、書庫の中に眠っていた。
    途中、いろいろな本が話題になるもので、それらを知らずに読んでても大丈夫かとちょっと心配したが、とりあえず知らなくても読めた。村上春樹の『海辺のカフカ』が一つ大事なモチーフになっているので、せっかくだからこれから読んでみようかと思っている。
    その『海辺のカフカ』をめぐって、二組の読者が登場する。中年の作家と若い男女だ。
    別々の世界にいた二組が・・というと大げさだけど、交互に描かれていた世界が、この村上作品をきっかけにある場所で出会うことになる。
    この中年の作家は作者本人を彷彿とさせるが、この時期まだこの作家さんよりむしろ若者たちの方に年齢が近いはず。年齢的には今がちょうどその年代になられてるくらい??と思ってしまう。ちなみに登場する作家さんの作品として紹介されている『オアシス』は、この作者さんの実際の既刊本。(私は未読)
    そしてまさか・・と思ったら、若者はやっぱり『カレーライフ』のあの子だったのね?!(ほかの方のレビューにあった。)双子の兄弟の行き先が微妙に違っていたような気がするけど、まあ目くじら立てるほどのことでもなし。
    実在する書名は、巻末に一覧が載っている。にもかかわらず、架空の作者と本が登場して、うっかり実存するのかと、途中、手元のスマホで検索してしまった。そういうのも終盤でいろいろ明らかになるのだけど。
    トンデモ本の記述を読んでいて、ああこれって、Youtube見てたらよく宣伝に上がってくる類の本もそうだよな・・と思った。この作品が出版されたころはまだYoutubeは普及してなかったんじゃないかと思うけど、こういったトンデモ本は脈々と出され続けてるんだろう。今はもうあまり図書館には収蔵されていないかもしれないけど。
    『カレーライフ』の時ほどではなかったけど、途中出てくる食事が美味しそうで、食欲が刺激された。浜松の鰻、香川のうどん・・。

    書庫の中で眠らせておくにはちょっともったいない気がする。

  • 初期の竹内作品から比べると、随分読みやすくなっているなぁ、と、まずはそこに感心した。粗忽拳銃あたりの作品は、薀蓄部分が面白いのだけど、なんとも固い読み応えで、咀嚼に時間と手間がかかって(そこが楽しみでもああったのだが)いたんだが、そういう歯ごたえをかなり抑えた仕上がりになっているなぁ、と感じたのである。

    村上春樹をリスペクトしまくった、村上春樹ファンだけをターゲットにしたような小説である。竹内作品らしく村上春樹薀蓄が(さりげなく、しかし随所にきっちりと)ちりばめられているので、ファンにはたまらんのだろう。

    残念ながら、熱心な春樹ファンはない俺にとっては、この作品の魅力は多分半分も分かっていないと思う。俺の身の回りの村上春樹ファンって合わない人が多かったので、敬遠してたのだけど、そういう食わず嫌いは損しているのかも。

    小説じゃないマラソン系の本は面白かったのだし、喰わず嫌いを止めて読んでみようかな…徳富蘆花とか芦原すなおとかドン・キホーテなんかもきちんと読み直してと、思わせるんだから、竹内さんやっぱエエ小説を書いているんだよ。

  • 2017.9.13

  • 僕が作家になったのは、学生の頃に田舎の図書館で出会ったあの一冊があったからだー。『海辺のカフカ』がつなげる人々の物語。
    作中に出てくる本をどんどん読みたくなる、良質な図書館の棚のような作品。

  • 海辺のカフカを読んで共鳴する男女が徳島に旅行する。そこで、あまり売れていないがかろうじて作家が生業にはなっている男と出会い、一緒に行動することになる。
    村上春樹ファンには一読を勧めたいところ。
    私は春樹ファンではなく、図書館に住んでいた男の話を読みたかっただけ。しかし、作中の作家は一晩図書館の和室に「泊った」だけで「住んで」はおらず、惜しかった。

  • 穏やかな時の流れと濁流のような心の流れ。


    おもしろかったです。




    電車のお供。

  • 一仕事終え、流れでぶらりと旅に出る事になった中年作家。
    本がきっかけで知り合い付き合い始めたカップル。

    この二組が村上春樹さんの『海辺のカフカ』に導かれるように
    四国へと向かい、そこで彼らは出逢い、、、

    そんなお話。個人的には村上さんは苦手なんだけど、そこは
    あまり気にならなかったかな。彼の本の話もたくさん出てくる
    ので、村上さんフリークにはもっと楽しめるのではないかと♪

    別に泣かせる話でもないし、切なさも恋愛の感情の波もない。
    ただなんとなくいい話です。
    合流してからの物語は一気に読んでしまった。
    こんな旅をしてみたいもんだと思わせる一冊ですね。

  • 図書館で一晩過ごせたら…そんな気持ちになった。物語はそれほど珍しいものでも凝ったものでもなかったけれど、最後まで読めたのはおもしろかったからなのだと思う…うん。

  • 『カフカ』を知らないのは残念だが、とても面白い。図書館に泊まるとか、司書さんとか井戸とかわくわくワードがいっぱい。きらきら光る……それを切り取る。確かそういう記述があったはず。好きだなあ。緻密に組み立てられてゆく誠意がある小説。ただ著名な作家と比べると迫力が違うのかも。

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