ゼロヨンイチロク (MF文庫 J し 2-3)

著者 :
  • KADOKAWA(メディアファクトリー)
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本棚登録 : 86
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840111072

作品紹介・あらすじ

岸本めぐみは、陸上部に所属する元気な高校1年生。ごく平和な毎日を過ごしているはずが…TVドラマの脚本家のお母さんが突然失踪しちゃった!頼りにならない「専業主夫」のお父さんに代わってめぐみはミステリー好きの級友・通称「明智」とともにお母さんを捜し始める。そんなめぐみの前に、なぜかめぐみを憎んでいるらしい謎の美少女が現れ、ふたりの邪魔をする。いったいこの娘は誰!?お母さんはどこへ行ったの!?清水マリコとtoi8のコンビが贈る新たな都市伝説ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • この人の日常から非日常への導入は見事としか言えない。
    気がついたら、非日常に迷い込んでいた、そんな気分にさせられる。

    キャラの掛け合いがまた少しずれていたりして面白く、
    toi8さんの挿絵と相まってどことなくキャラが愛おしい。

    少女と非日常を描く清水マリコさんはマジで俺のツボを刺激する。

    ただタイトルにもあるゼロヨンイチロクの謎はサラッと説明されてちょっとどうなんだろうと思ったりもした。

  • “めぐみはつい声を高くした。だいたい、あの山から私が電話したときも出ないし、あとで出たけど駅名を言ったら「そこなら自分で帰ってこれるな」とか冷たいし。まあ、お母さんの連絡待つって考えたら迎えに来てとも言えないけど、こっちは心配かけまいと思って、トオのことも言うの我慢したんだよ。部活の子と遊びに行ってたなんて、嘘に決まってるじゃない。お母さんもいないのに、遊びだなんて。
    「大丈夫だよ」
    父はレンジの上に置かれた縦長の鍋を火にかけた。蓋を開け、おたまでぐるぐる中をかきまわした。
    「お母さんなら、心配しなくていいから」
    「連絡あったの?」
    「いや、ないけど」
    「じゃあなんで」
    カレーはすぐぷつぷつ言い出してキッチンにいいにおいが広がった。イライラしつつ、めぐみは自分がひどく空腹だったことを思い出した。”

    岸本めぐみは高校一年生。
    ある日、脚本家である母が失踪してしまう。
    母を捜すうちにトオというめぐみを憎む謎の美少女や、葉茨という謎の男、不思議な力をもつ相川美緒、そして謎の教団E。
    手がかりもないまま謎だらけの問題に直面してしまうめぐみは、最後に母を捜しだすことができるのか。
    ……といった感じの話。
    清水さんの話は不思議で、少し切なくて、ちょっぴりだけど気味が悪い。
    でも、不思議と後味はさわやか。うん。

    “飲み込まれる。心が、止まった時間から動けなくなる。
    反射的に、めぐみは目を閉じ、身体を縮めた。暗い中で、よく知っている声が聞こえた。
    (――めぐみ)
    嘘。
    驚きで、めぐみは恐怖も忘れて目をあけた。しかしそこにはやはり闇しかない。
    めぐみは、声の主を呼ぼうとした。
    そのとき、いきなり頭上から何かがすごい勢いで降ってきて、めぐみはそれに遮られる形で闇に弾かれた。
    「めぐみ!」
    仰向けに倒れそうになるめぐみを、明智が抱きとめる。闇は、落ちてきたそれに削り取られ、歪んで再び霧散した。
    「……さん……」
    唇が、勝手に形を作る。めぐみの意識はどこか、曖昧なままだ。
    薄暗がりの、何もかもぼやけている中で、落ちてきたものがわずかに動いた。
    「あいつ……」
    明智の声に、緊張が走った。めぐみは首を起こし、それを見る。
    夜でもはっきりとわかる、明るい茶の髪。
    ぼろぼろの、壊れた人形みたいなトオが、傷だらけでそこに倒れていた。”

  • 懐かしくて不思議

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