るんびにの子供 (幽BOOKS)

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本棚登録 : 90
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840118552

作品紹介・あらすじ

平凡な主婦の、当たり前な毎日-臙脂色のスカートをはいた、久美ちゃんが見えること以外は。嫁と姑の重苦しい日常にちらつく、少女の影は何をもたらすのか。何気ない暮らしにひたひたと入りまじる怪異を描く、怪談文学の神髄五編。『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 第一回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。

    名前を最初に見た時は男性だな。と思ったけど、この内容を知ってる、書けるのは、女性だなと確信したら、やはり女性の方でした。

    祖母ー母ー娘。また姑ー嫁。母ー姉ー妹。介護…など、女同士の心理描写の絡み具合が巧みでスイスイ読めてしまう。祖母率高し(宇佐見さん、おばあちゃん子だったのかしら?)決してこわくない。どちらかといえば自然で何気ない中にひそむものや、静寂を放つ違和がすぅーっと近づいて来るような感じ。

    つわれている言葉や文章も何かきれいで、「春をひさぐ」なんて、今日初めて知ることが出来ました。「るんびに」も聞いたことはあったけど、意味を知ったのは今日でした。

    「るんびにの子供」「柘榴の家」「手袋」「キリコ」「とびだす絵本」 
    選票…岩井志麻子、木原浩勝、京極夏彦、高橋葉介、東雅夫。(この審査員のコメントも面白い)


    「るんびにの子供」は気持ち良かった。(←こう書いてしまうと変だけど…)「手袋」が一番シンクロしたかも。「キリコ」はちょっと変わっていて、ん?変だよ…?と思いつつも騙されてしまった。


    ところどころリンクしているのかな…なんて思ったけど、そうでもないような感じだし…。作品の中の日常に短編の中に出ている人物がぶら~っと歩いていても、おかしくないような風景。面白かった。

  • いやー面白い。宇佐美さん今後ともよろしくお願いします。

  •  5篇の怪談短編集。
     どれも後味の悪い結末だけど、オチがきれいにまとまっているので必要以上に後を引かない。
     怪異はほんの味付け程度で、嫁姑の軋轢、悲惨な老老介護、姉妹間の牽制など、日常生活の中で累積していく疲労感の描写が真に迫っていた。

     ほっと息をついた瞬間に、突き落とすような結末がやってきて、なかなかに翻弄させられる。

     子どもの頃の苦い思い出にメルヘンな絵本の物語を重ねた「とびだす絵本」は、少しだけ他と毛色の違う雰囲気で好きだった。
     認知症によって現実の苦しみから逃れる「柘榴の家」の気味悪さも印象深い。
     しかし一番引き込まれたのは妹に対する嫌悪を募らせていく姉のもとに、徐々に近づいてくる怪異(?)を描いた「手袋」だった。

  • 第1回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。
    奇をてらい狙いすました様なものではなく、日常の延長線上にするりと怪異を絡めていくバランスの良さが私好み。
    結末に捻りを効かせている作品もあり、5編いずれも楽しめました。
    怪異的怖さよりも、人の歪みや悪意といった怖さが際立っていますね。
    表題作と『キリコ』が特に良かったです。
    後者は"キリコ"視点のお話が読んでみたい。
    『手袋』の妹は読んでいて本当にイライラした。
    私もこういうタイプの人が無理なので、身近に、しかも極近しい身内だったらと思うとある意味ホラー。

  • 私の同級生にも「るんびに」という名前の幼稚園に通っていた人たちがいました。やはり仏教の幼稚園だったそうで、いけないことをしたら罰として正座してお経を読まされたというようなことを言っていました。当時はへんてこな名前の幼稚園だなと思っていましたが、お釈迦様生誕の地という意味だったのですね。
    表題作は、池の中から出てきた久美ちゃんという怪異の出だしから、後半は割りと現実的な夫婦・嫁姑のどろどろとした話でした。
    「キリコ」はちょっとコメディというか、シュールな笑いのある話で面白かったです。
    一番印象に残るのは「とびだす絵本」ですが、怪談というよりは幻想的で、しんみりと悲しく綺麗な話でした。
    怪談と幻想文学って、紙一重というか、半分は重なる部分があるのでしょうね。

  • 近所に『るんびに幼稚園』ってあるから気になって
    手に取ったら物語にもるんびに幼稚園が登場!
    インドの神様の名前で全国に同じ名前の幼稚園や保育園があるみたいですね。勉強になりました(笑)

    どの短編もオチがちゃんとしててなかなか面白かったです。
    正直、あまり期待してなかったのでその分、さらによかった。
    軽いホラーって感じかな。世にも奇妙チックでもあったかな。
    他の作品も読んでみたい感じです。

  • 「愚者の毒」にすっかりやられて、手に取った宇佐美さんの2作目。「正しいこと」「分かり易いこと」が大手を振るっているが、理屈では説明できない業や情は本当は目に見えない形でちゃんと私たちの周りに存在しているんじゃないかなと感じた作品。嫉妬、妬み恨み、憎悪、きょうだい格差への嫌悪等々、普段表にすることを憚られる毒々しい感情は積もり積もった時、或いは抑圧され続けた時、どう変わるのだろう。5短編の中で、それぞれ登場人物たちが抱く繊細な感情、予想を裏切る展開に息を飲んで読み終えた。追いかけたい作家さんです。

  • 初宇佐美まこと作品。デビュー作、短編5編。
    きちんと丁寧に読ませる文章力で、とても惹かれた。
    奇をてらう怖さではなく、
    じっとりした心の隙間に入り込んでくるような、
    誰しもが持っているけれど気づかない狂気のような。
    短いお話の中に登場する人々の日々が
    リアルに自分の側で垣間見える。
    だからこそ、潜む怖さに心が共鳴する。
    またまた、私の中で、
    好きな作家に出会えたワクワクする気持ちが起こった。
    今、手元にある作品『角の生えた帽子』は読了、感想は後ほど。
    最新作『少女たちは夜歩く』は読書中。他の作品も読みたくなった。

  • 「愚者の毒」と同じ作者だったので。

    面白かった。
    「るんびにの子供」は『幽』怪談文学賞の短編部門の大賞をとった作品だそうだ。
    確かに単なる幽霊ものかと思ったら、一味違った。

    他の作品もそれぞれ面白かったけど、
    最後の「とびだす絵本」は話が読めてしまったので、残念。

  • ホラーテイストの物語から始まる短編集。

    たどり着いた家で孫のふりをして暮らす逃亡者、妹に嫌悪感を抱く姉、幼い頃に仲の良かった 友達との約束を果たせなかった男…。
    ありがちな設定が多いようにも思われましたが、絶対に何かが起こる、と確信めいたものを感じながら読み進めるのがたまらなく楽しい。
    どのお話も暗さや不穏さがじわりと漂います。イヤミスが好きな方にもおすすめの一冊です。

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著者プロフィール

愛媛県生まれ。2006年『るんびにの子供』で第1回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。17年、ミステリー小説『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉を受賞する。日常に潜む怪異を描き、恨みや妬み、欲や貧困など、人の心の闇や怖さを浮き彫りにしたミステリーが高く評価されている。

「2017年 『角の生えた帽子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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