旧怪談: 耳袋より (幽BOOKS)

著者 :
  • KADOKAWA(メディアファクトリー)
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840118798

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代に集められた奇々怪々なお話しを
    時代設定はそのままに
    現代風に読みやすくされた作品。

    原文も載っています。

    摩訶不思議で、すこしばかり恐い趣もあるけど
    やはり、今、この時代に読むには
    少し物足りないような。
    ろうそく、行灯の光での生活にこそ
    染みていく怖さがあるのだと思う。
    今のこの明るい闇には、向かない怖さですね。

    まったくの闇があったからこその
    あの世とこの世、こちらとあちらの
    境界線が曖昧な生活が息づいている。
    そして、それをなんだか愉しんでいるような
    そんな時代を感じることの出来る本ではあります。

  • 冒頭に、この本がどのようなものかが書かれている。
    江戸時代に根岸鎮衛という旗本がおよそ三十年にわたって書き記した「耳嚢」という書物。
    三百年後、木原浩勝さんと中山一朗さんが「新耳袋」という、体験談を聞き集め、怪談として書き起こした作品を出されたこと。
    で、この本は、「耳嚢」の中の怪しい話を、怪談として読めるよう「新耳袋」ふうに書き改めて、原文も併記している、という本!
    江戸時代なのにK君とかGさんなどと表記されて本当に軽く読めた。
    原文では、松平京兆、源蔵だった。

  • 今まで数回、ホラー仕立てのショートドラマ「怪談新耳袋」なるものを見た事があります。
    怪談というくらいだから恐いと言えば恐い。
    中にはホントにゾッとするものもあるけど、全体通しての印象は「え?これで終わり?」という感じ。
    何しろ1話がすごく短いから・・・。
    はっきりしないまま終わって「結局何だったんだろう?」という感想のものがほとんどでした。

    この本のまえがきを読んであれの元となる原作があったという事を初めて知りました。
    タイトルはそのまんま「耳嚢」。
    江戸時代に書かれた書物で30年に渡って書き記されたものだとか。
    内容は作者が友人、知人から聞いた面白い話、奇妙な話、噂話や迷信などを書きとめた備忘録のようなもの。

    そして、この本はその「耳嚢」を現代人でも読みやすく「新耳袋」風に書き改めたものとなっています。
    誰でも読めるように原文を現代文に直しており、会話も現代風にアレンジされています。
    出てくる人物は当時の人々ですが、使われる言葉には当時使ってないカタカナの言葉なんかもあり、人物は全てイニシャル表記となってます。
    そして、物語の後に文中使われた分かりにくい言葉・・・っても大した言葉でなく、「参詣」とか「火鉢」なんて言葉の意味を*印をふり説明されており、さらにその後に原文も紹介されています。

    読んでいて、そして読み終えての感想は小学生の頃読んでいた昔話のシリーズものの不思議な話編を読んでいるような感じ。
    ドラマ「新耳袋」ほど恐くないし、攻撃的でもないし・・・どっちかというともっとゆるい感じがします。
    さらに、やたらとルビが振られている事から小学生でも高学年くらいなら読めるだろう、という気がしました。
    内容的にもあまりに衝撃的な場面もなく、子供が読んでも大丈夫なくらいなものとなってます。

    改めて目次を見て数えてみると35話のお話が収録されていました。
    その内のいくつかを紹介すると・・・。

    「覚えていない」
    開業医のFさんが知人の年寄の元に往診に行ったときのこと。
    問診を終えて老人と二人で縁側に座り、ぼた餅を食べて話していると、衣服の着こなしが爽やかな男性がやって来て老人に暇乞いをした。
    老人は「そうか、そうか」と笑いながら男にぼた餅を差し出した。
    すると男は手を使わずにそのぼた餅を平らげた。
    礼儀正しい言動や衣服の涼しげな着こなしに比べ、あまりにそぐわないその食べ方にFさんは違和感を覚えて後で老人にその事を言うと、老人は平気な顔で、
    「あの人は狐なんです」と言う。

    この話はその後の老人の言った言葉が興味深かった。
    言われてみればなるほど・・・と思う話。

    「つけたのは誰」
    Kさんには一人息子がいた。
    その子は幼い頃から読み書きが得意で6歳になる頃には既に漢字も書けた。
    ある日、その子が半紙に「即休」と書いた。
    あまりに見事な筆にKさんは子供を誉めて、これはどういう意味かと子供に問うた所、子供は
    「これは僕の法名だよ」と言う。

    「効き目」
    勤勉で浪費家でもないのに何故かお金のたまらないBさんはある日知人から巷でちょっとした評判になっている祠にお参りするように勧められる。
    実はその祠に祀られている神様とは-。

    他にも、人間の言葉を喋る猫、夜中になると手が出る竃、頭をもみほぐす小猿の話など。
    どれも本当にあった事じゃないだろう~と思うような奇妙なお話ばかり。
    読んでいると、子供の頃に戻ったような気分になりました。

  • 江戸時代に根岸鎮衛によって書かれた耳嚢から抜粋された怪談を書き下したもの。原文併記もあるため読み比べが楽しい。

  • 帯表
    侍のUさんがお化けを見た!
    帯裏
    夜道にうずくまる者
    便所に入って二十年
    幽霊が狐に相談
    礼儀正しい魍魎
    幽霊が作った団子
    人魂が落ちる
    猫になった奥さん

    『幽』一号(二〇〇四年七月刊)から『幽』六号(二〇〇七年一月刊)に掲載された「旧耳袋」に加筆修正いたしました。
    「もう臭わない」のみ、『稲生モノノケ大全 陽之巻』(毎日新聞社)に掲載されたものです。

  • 読書メモ 2023/01/20

  • 江戸時代に書かれた『耳袋』のちょっと怪しい話や変な話を現代の実話怪談風にわかりやすく書き改めた本です。ちゃんと原文も掲載されているので、読み比べてみるのもいいかも。

  • 35の小話。タイトルがうまいなあ(*´v`)注釈の細かさからみて、子供向けの本かなあと思った。

    原文を読みイメージして京極さん訳を読む。
    ものすごく膨らませているなあ(⁎˃ᴗ˂⁎)

    原文って、箇条書きの骨子みたい。ひたすら句読点で事実を述べていく。だらだらと語り続ける感じ。
    でもきっとリズムを取ってゆっくり語ると臨場感とイメージが立ち上がるんだろうなあ。
    今と昔は文字の読み方もきっと違うんだろう。
    今は言葉を尽くしすぎて、その分読む人の想像力を奪っているのかもしれない。

  • 本書初めの断り書きにあるように根岸鎮衛の『耳嚢』を『新耳袋』の語り口で現代語訳したもの。
    江戸時代の言葉のままでは解釈に気を取られて話自体の雰囲気が感じ取れないので、古文の訳の正確さはともかく怪談の空気を大切にしている。
    古文を受験勉強的に訳すより、こういう訳し方もありかという手段を知るにも役に立つ。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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