小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)

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レビュー : 206
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840120722

作品紹介・あらすじ

都内の中学に通う遠野貴樹(たかき)の元に、転校してしまった初恋の相手である篠原明里(あかり)からの手紙が届く。一九九五年の冬の終わり。明里との再会を果たすため、貴樹は次第に強くなる雪の中を明里の待つ岩舟駅へと向かう-。十三歳のふたりの上に永遠と瞬間が交差し、ふりそそぐ(『桜花抄』)。一九九九年、高校三年の何もかもうまくいかない夏。種子島に暮らす澄田花苗(かなえ)は、東京から転校してきた貴樹に宿命的な片想いをしている。サーフィンで波に立てた日に貴樹に告白すること。密やかな決意を胸に、花苗は必死に波に向かう(『コスモナウト』)。仕事を終えた深夜の帰宅路、貴樹は灯りの消えた高層ビルを見上げ思う。そんなに簡単に救いが降ってくるわけはないんだ、と-。東京での大学生活、就職してからの水野理紗(りさ)との出会い、いくつかの喪失とささやかな再生。そしてまた、東京に桜の咲く季節が訪れる(『秒速5センチメートル』)。一人で作ったアニメーション作品『ほしのこえ』で鮮烈なデビューを飾った、映画監督・新海誠の初小説作品。

感想・レビュー・書評

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  • うわぁ、なんかすっごいデジャブ感のある青春恋愛小説。
    こういうの読んだことあるなぁって印象と、村上春樹ぽいって言われてしまうような表現が散見しているからかと思います。
    でも読みやすいし、初恋を引きずっている割には自分に酔いすぎてなくて、すーっと入っていけました。

    桜の花びらが散る速度は、秒速5センチメートル。

    もともとアニメ映画のノベライズなので、視覚的に印象的な表現が残ります。
    スローモーションで桜の花びらが一面に舞っているような。

    ともに転校生として学校になじめず、互いを心の支えに健気に過ごした子供時代。
    親の転勤であっけなく別れが来てしまい、約1年後にやっとの思いで1日だけ再会するもまた離れ離れに。
    それぞれにそれなりの青春時代を過ごし大人になり、初恋も大切なほろ苦い思い出となって。

    でも、いちばん桜に関係ない、種子島のサーフ少女とやけにカッコ良い遠野くんの「コスモナウト」がいちばん好きです

    • 8minaさん
      tiaraさん
      はじめまして。
      私の場合には映像が先で、ノベライズを読んだのが後でした。
      春桜の花びらが舞い落ちる、小田急線?の踏切、...
      tiaraさん
      はじめまして。
      私の場合には映像が先で、ノベライズを読んだのが後でした。
      春桜の花びらが舞い落ちる、小田急線?の踏切、雪の舞う新宿都心などの映像印象が強く残っています。
      確かに中学生時代の微妙な思い出がよみがえります。
      私も「コスモナウ」が良いかも、打ち上げの轟音、星が輝き始める丘の二人など強い印象でした。
      花苗(サーファー少女)の打ち明けられない想いは切ないですね。
      2013/11/06
    • tiaraさん
      8minaさん、はじめまして&ありがとうございます。

      映画見られてるんですね。
      そちらの評価も高いので気になっています。
      花苗ち...
      8minaさん、はじめまして&ありがとうございます。

      映画見られてるんですね。
      そちらの評価も高いので気になっています。
      花苗ちゃん、切なかったですねぇ。
      第3章でちゃんと気持ちを伝えられたとわかって、彼女の恋は成就せずともきちんと全うできたんだなとうれしく思いました。
      2013/11/07
    • 8minaさん
      tiaraさん
      フォローありがとうございます。
      新海さんの映像は、雲の向こう、星を追う子供たち、今年の梅雨に上映された言の葉の庭を拝見し...
      tiaraさん
      フォローありがとうございます。
      新海さんの映像は、雲の向こう、星を追う子供たち、今年の梅雨に上映された言の葉の庭を拝見しました。
      どれも独特の雰囲気と綺麗な映像です。短い映像ですが、「だれかの眼差し」も印象に残ります。
      「言の葉の庭」のノベライズは今雑誌ダビンチで連載中ですので、まとまれば読んでみたいですね。
      では、たくさんのレビューを参考にさせていただきます。
      2013/11/07
  •  この作品は、いつ触れるのが正解なのだろうか。

     高校生の時に映画版を見て、例に漏れず精神的な痛手を負い、「この作品は一生見ない」と心に決めたものの先日ふとしたことでyoutubeで動画(「one more time,one more chance」の例のアレ)を見てしまい、再びこの作品に触れてしまった。しかしながら、ここでふと「この作品に、時がたった今、もう一度触れたらどうなるのだろう」という興味が沸き、小説版を手に取った。

     結果として、疑問に思った。この作品は、いつ触れるのが正解なのだろう、と。

     高校生では早すぎる気がする。その時期にこの作品からもたらされる心の痛みは、所詮物語としての感動でしかないのだろう。
    「悲しい話」「俺は違う」「もっとうまくやれる」
    この話を胸に刻み、日々後悔なく生きていくにはまだ若すぎる。

     今となっては、遅すぎる気がする。この時期にこの作品からもたらされる心の痛みは、物語というにはあまりにも重く、感動というにはあまりにも残酷だ。
    「辛い話」「俺は違った、けれど・・・」「どうすればよかったんだ」
    この話を胸に刻んだとしても、日々の後悔を無くすことはもうできない。

     別にこのことは、この作品に限ったことではなく、どんな作品にも言えることなのだろう。しかしながら、人間の心理を丁寧に纏められた綺麗な文章で書き綴ったこの作品を読むと尚のことそのことを考えざるを得ないのだ。

    自分の人生への後悔と、現状への恐怖にも似た不安を感じざるを得ない。丁寧な文章が、まるで綺麗に磨かれた鏡のように今現在の自分の心を写す。

    人によって感じ方が違うのは、物語の醍醐味であり、真骨頂ではありますが、この作品は特にそのことを意識させられました。

    とりとめもない文章になりましたが、それもこの作品から受けた衝撃が大きかったということでどうか多めに見ていただければ幸いです。

    御通読ありがとうございました。

  • 青春かと思えば大人になってからのストーリーも描かれていて、
    何の予備知識もなく読み始めたので
    大きくなってからのストーリーは一瞬別のストーリーが始まったのかと思った。

    学生のストーリーは、切なくやりきれない、一生懸命な気持ちが
    よくわかったけれど
    物足りない気がした。
    逆に大人になってからのストーリーのほうが
    そこへ入っていきたいほど共感できた。
    現実感が充実していたのかもしれない。

  • 映像の方も何度か見ていて、見るたびにもどかしくて切なくて何とも言えない気持ちになる。
    でも、実際はそんなもんだし。普通に生きてたら思い通りにいかないことのほうが多いし。
    あの時手紙が飛ばされなければ、あの時手紙を渡していれば…そう思うんだけど、自分だっていつもたらればを考えて後悔しながら生きているんだよなぁ。
    せめてフィクションの世界くらい思い通りにいって欲しい、うまくいって欲しい、ハッピーエンドで終わってほしい、と思っちゃうんですけどね。
    映像とはまた違った印象です。
    桜が舞うような淡く霞みがかったような。
    小説読んだらまた映像の方見たくなったので今度借りてこよう。

  • ワシはたまに「心が捻挫する」という表現を使います。心が折れると言うほどでも無いけど、なんかちょっと捻ってじんわりとした痛みが続いているような状態。本作を読んでて、特に序盤で感じたのがこの心が捻挫した感覚です。

    誰かを好きになって、あるいは心を通わせて、その相手にとって自分が意味ある存在でありたい、相手にとって存在した理由があって欲しい、という気持ちには個人的に大変心当たりがあって、それを持ってもらうために、それを確認するために行動を起こした若い時分もありました。本作、特に一章ではそのことを思い出して、気恥ずかしさと痛い心とを抉られます。

    同名の映画を、脚本も書いている監督自らノベライズした小説ですが、やはりこの作者の映像は強く心に残るので、シーンの所々で映画がプレイバックします。映像で語られなかったところが分かるかな、という期待は、半分は叶えられ、半分はそうもなりませんでした。

    アニメ映画で見た時、「痛い気持ちになった一章」「作り込まれているのに実は役割が僅かなポイントに感じた二章」「何故この演出になったか分からなかった三章」という感想を持ちましたが、特にこの三章については解読になったかな、と。

    小説としてきちんと成立はしているのですが、やはり映画との相互補完作用の強い作品だな、と感じます。逆の言い方をすれば、映画を見て小説を読んで、また映画に戻ると楽しい。それでもやはり、ところどころに「なんでだろう」は残るのですが、そこはもう、読者/視聴者にゆだねられていると考えるしかありません。

    演出的には特に、アニメで慣れ親しんでいる「新海モノローグ」ともいうべき、美しい情景描写とそれを語るナレーション、その同じ効果を小説の文章として楽しめて、味になっているのが面白いです。真綿で切りつけられるような、不思議な文章なのです。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    都内の中学に通う遠野貴樹(たかき)の元に、転校してしまった初恋の相手である篠原明里(あかり)からの手紙が届く。一九九五年の冬の終わり。明里との再会を果たすため、貴樹は次第に強くなる雪の中を明里の待つ岩舟駅へと向かう―。十三歳のふたりの上に永遠と瞬間が交差し、ふりそそぐ(『桜花抄』)。一九九九年、高校三年の何もかもうまくいかない夏。種子島に暮らす澄田花苗(かなえ)は、東京から転校してきた貴樹に宿命的な片想いをしている。サーフィンで波に立てた日に貴樹に告白すること。密やかな決意を胸に、花苗は必死に波に向かう(『コスモナウト』)。仕事を終えた深夜の帰宅路、貴樹は灯りの消えた高層ビルを見上げ思う。そんなに簡単に救いが降ってくるわけはないんだ、と―。東京での大学生活、就職してからの水野理紗(りさ)との出会い、いくつかの喪失とささやかな再生。そしてまた、東京に桜の咲く季節が訪れる(『秒速5センチメートル』)。一人で作ったアニメーション作品『ほしのこえ』で鮮烈なデビューを飾った、映画監督・新海誠の初小説作品。

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    傑作アニメ『秒速5センチメートル』の監督が、自らの映画をノベライズしたもの。しかも、映画を公開して全国行脚をしながらこの小説を書いたというのだから、ほとんど映画製作と同時並行のようなものだったのだろう。

    監督自らがノベライズしたのだから、ある意味これが“正解”なのだろうが、映画と小説では若干設定が異なる場面がある。

    自分は映画を観てまもなく小説を読んだので、読みながら映像が思い出されたが、それによってかなりイメージが固定化された気がする。(読者としての想像力を阻害された、と言ってもいい)

    第1話は遠野貴樹の視点で、第2話は澄田花苗の視点で、そして第3話はいわゆる“神”の視点で描かれる。第2話の花苗の心理描写、たとえば進路に迷う気持ちや貴樹が携帯メールを打っているのを見た時の気持ち、突然泣き出した時の気持ちなどは小説のほうが、一人称で細かく丁寧に描写されている。その反面、第1話で雪の中電車が動かなくなってしまって、明里を何時間も待たせてしまって焦りと不安で締め付けられている貴樹の描写は、音楽の効果もあってか映像のほうが何倍も雄弁だ。

    第3話は、映像の場合はPVのような構成になっているが、小説ではとりあえずストーリーを書いている。貴樹の社会人時代の生活と、付き合ってそして別れた水野理沙との物語は小説ならでは。

    しかし、この小説で最も良かったのは、映画の中でちらりと見えた、篠原明里から遠野貴樹へ書かれた手紙が載っていることだろう。14歳の雪の日に、岩舟駅で書いて、結局渡せなかった手紙。
    小説のほぼラスト、挙式前日の明里がこの手紙を読むという形で、読者も第1話を鮮烈に想起させられ、深い読後感を味わう。
    結末は、映画よりも少しだけ明るい希望を感じた。

  • アニメは観たことあったけど
    小説は初めて読みました。
    アニメよりも細かく書かれていて
    あ、そうだったんだ、と
    思う部分が多々。
    切ないけど素敵なお話。
    春とか冬に読みたくなりますね。

  • 映像では分かりにくい登場人物の考えが分かる。
    特にラストシーンはこれを読んで納得しました。
    映画を見た人もそうでない人にも読んで貰いたい。
    そして読み終わったらもう一度映画を見て貰いたい。

  • ◇淡く切ないストーリー。

    ◇映画「秒速5センチメートル」が原作。同映画の監督が小説化したのがこの作品。山崎まさよしの「One more time, one more chance」が主題歌。

    ◇映画版を先に見て、小説を読むのがお奨め。

    ◆映画版では主人公の独白(ナレーション)に違和感を感じた。そのナレーションのために感情移入が阻害されているような感覚である。それが小説版では見事になくなっていた。言葉は一言一句同じであるにもかかわらず、である。映像と小説というメディアの違いで受け取り方がことなるからかもしれない。それを考えると、映画版では余計な独白(ナレーション)など入れないほうがよかったのかもしれない。で、小説版で「あのシーンはこういうことだったのか」とか「こういうことを考えていたのか」と分かるような流れがベストだったように思う。

    ◆映画・小説を通して、「One more time, one more chance」のコンセプトが通底している。自分はこの曲を死別の曲だと解釈していたのだが、思いを残したままの生き別れという解釈も可能であると分かったことが新鮮だった。その意味で自分にとっては「One more time, one more chance」の"一解釈"として認識されている。

  • 映画を見て、よく分からない感情に心を支配されて、涙を流した後、この世界をもっと深く知りたい、と思って読み始めたこの小説。映像ではどうしても表現できない、人物の心情がよく表されていると思います。原作者が書いているので当然といえばそうなのですが、映画の世界観を損なうことなく、しっかりとした世界を文章でも構築できている。映画を見て何かを感じるものがあった人は、ぜひ読んでみてください。 より深く、その感情を理解することができますよ。

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著者プロフィール

新海誠(しんかい まこと)
1973年長野県生まれ。アニメーション監督。2002年、ほぼ1人で制作した短編アニメーション『ほしのこえ』で注目を集め、以降『雲のむこう、約束の場所』『秒速5センチメートル』『星を追う子ども』『言の葉の庭』を発表し、国内外で数々の賞を受ける。自身の監督作を小説化した『小説 秒速5センチメートル』『小説 言の葉の庭』も高く評価された。2019年7月19日、映画「天気の子」公開。その公開前日7月18日に原作となる『小説 天気の子』を刊行する。

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