- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840120920
感想・レビュー・書評
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情景の美しいホラーという感じで好みでした。
中のしおりがあるものに見えて、一瞬ドキッとしました。 -
…おばあちゃん、まるで後を追うみたいだったね。病院で、返事をしないおばあちゃんにむかって、話しかけてたよね。「ねえ、音楽は聞こえてる?」(「死者のための音楽」より)。怪談専門誌『幽』の連載で話題騒然の作家、待望の初単行本。
(BOOKデータベースより)
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恒川作品に似ていて、でもさらに暗く、若しくは切なく、哀しくした感じでした。
どのお話も結構好きです。
「長い旅のはじまり」
父と娘、母と息子、夫婦。彼らと和尚の不思議な話。
「井戸を下りる」
井戸に下りた男の昔話。
「黄金工場」
とある工場からでる、廃液。その液に触れたモノは…。
「未完の像」
仏像をつくりたいと願う少女。彼女が彫ったものは、まるで命を得たように。
「鬼物語」
ある村に住む村人たちと、その近く森に住む鬼の話。
「鳥とファフロッキーズ現象について」
父と娘で暮らしていた家に、黒い鳥が加わった。鳥には不思議な力があり、ある事件を境に日常は一変する。
「死者のための音楽」
ずっと音楽が聞こえていた母と、娘の話。
装丁も素敵でした。 -
乙一と言われれば、気づくこともあるが、全く別人のようでもある。基本は白乙一。
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表題作と鳥の話が良かった。
乙一らしいどこか飄々とした描写のなかに、細かな心理を感じられる。 -
乙一さんがツイッターにて別名義で出したとおっしゃっていた怪談短編集。読んでみて納得。確かに乙一さんの作品で味わえた雰囲気がこの作品には広がっていました。怖いけど切なく、心が温かくなる短編集でした。
お気に入りの作品は、未完の像、鬼物語、鳥とファフロッキーズ現象について、死者のための音楽。 -
どの話にも、必ず死者が出てくるのですが・・・不思議と、おぞましいとは感じませんでした。
むしろ、読んでいると心が静まってくる感じがして・・・文章が、とても淡々と書かれているからかもしれません。
現実と非現実の狭間にあるような場面は、人それぞれの解釈ができるのではないでしょうか。
明るい話ではないので、結末を自分なりに想像をすると切なくなりますが、それがむしろ心地良いです。
特に印象に残ったのは、「黄金工場」と、「死者のための音楽」でした。
黄金工場は、自分の罪を認めている女性が好ましく、なぜか冷静なお母さんが文章の雰囲気にとても合っていたので気に入っています。
死者のための音楽は・・・泣きました。
最後のページで、涙腺崩壊しました。
私にも、いずれその音楽が聞こえるだろうか・・・なんて思ってしまいました。
不思議な印象があり、心が静かになってゆくような、そんな本だと思いました。 -
おばあちゃん、まるで後を追うみたいだったね。病院で、返事をしないおばあちゃんにむかって、話しかけてたよね。「ねえ、音楽は聞こえてる?」 怪談専門誌『幽』連載に書き下ろしを加えて単行本化。
乙一が中田永一と同じく別名で書いた短編集。怪談専門誌に連載していただけあって怪奇な設定にところどころ黒乙一を感じさせるが、物語はみな切なさの残る白乙一作品で、その微妙なさじ加減がいい味わいを出している。もっと話題にもなってよさそうなのに…と思う。
(B) -
別名義との噂なので読んでみた。ホラーというか哀しいおはなし。