赤いヤッケの男 山の霊異記 (幽BOOKS)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840121705

感想・レビュー・書評

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  • 山にまつわる短編ホラー集である。
    この前読んだ『山の怪異譚』は民俗学の話だったが本作はガチの山ホラーだ。これは怖い。読んでいて背筋がゾクッとする話からホロっとする話まで多数収録、山とはやはり異界に繋がる身近な場所なのかもしれない。本書を読んで改めて思った。

  • ホラー系の話をしていたら勧められて興味が湧いてよみました。
    山登りにまつわる伝承のようなお話で、とてもゾクゾクしました。
    単なる怖がらせる話だけでなく、ちょっとホロっとする話もあり読み続けられました。
    どうしてこの現象が起きたのか~と推測される話もあるけど、謎のままのもあります。
    そんな計画もないですが、夜間に一人で山で過ごすのは絶対に無理だなと思いました。

  • 山の不思議な話、実話、怖かったし、導いてくれた話にはぐっときた。
    山登りには憧れるが、なかなか実現できない。

  • 『幽』掲載作は読了済。
    日本の山に纏わる怪談奇談を集めた作品。
    ただ怖いだけのお話だけではなく、何故か心が温かくなるようなお話もあって楽しめました。
    作中に出てくる地名がイニシャルでぼかされているので、何処なんだろうかと考えちゃいますね。
    表題作、「追悼山行」「急行アルプス」「猿ぼぼ」「牧美温泉」が特に良かったです。
    登山用語も作中でさらりと解説しながら語られていくので、登山とは縁の薄い方が読んでも充分に楽しめると思います。

  •  登山家の極限状態からこのような体験をするのかそれとも本当にこのような現象が起きるのか。どちらにしても登山家は山に登ることをあきらめない。その執着を感じる。

  • 怖い話なのかと思ったら、そんなことなかった。
    山で起きたなさそうでありそうな(ありそうでなさそう・・・かな?)話が、語られていました。

  • 山怪談の第一人者による、怪談集。
    うん怖い。山怖い。
    でも登る。

  •  登山好きの著者が、山で自ら体験した、あるいは登山仲間から聴いた、奇怪な出来事を綴った怪談集。
     山というシチュエーションが、すでに怖い。滑落や遭難、急激な悪天候など、想像しただけで背筋が寒くなるようなエピソードに事欠かない舞台だ。そこへ、さらに怪奇現象の降臨である。幽霊様のご登場である。怖くならないわけがない。しかも恐怖におののいたかと思えば、「感動系幽霊話」の不意打ちで泣かされてみたり、まったく油断ならない。
     登山の経験がない方でも楽しめます。
     『新耳袋』の影響で1冊100話の怪談本が乱立する中、この『赤いヤッケの男』は23話の構成だ。そのぶん、1話がやや長い。短編小説程度だ。このぐらいの分量だと、骨格のしっかりした物語が書ける。
     以前も書いたが、日本の怪談における恐怖のパーターンとして、代表的な要素のひとつ「破たん」がある。連続する日常が脈絡もなく、理不尽に破たんする瞬間に、恐怖が濃縮される。だからこそ、出来事を部分的に切り取った短い「断片」でも充分に怖い。掌編サイズを100話集めて1冊の怪談本が作れるのだ。
     しかし、断片のみが怪談ではない。上質な恐怖は文脈にも確実に宿る。この本は、それを証明する1冊である。

  • よく見るとこの表紙怖いです^^;

    全体を通してそこまで「怖い!」という話はありませんでしたが
    実際自分が登山家だとしたら相当恐怖を感じるのではないかと思います。

    実体験として書かれているので、内容にリアリティはありますが
    ところどころ「創った感」があることも否めません。
    しかし、それを承知していても十分楽しめる作品でした。

    一番のお気に入りは「追悼山行」です。
    ぐっときました。

    残念だったのは山の専門用語が分からないので
    重要な場面が想像しづらかったことですね。

  •  山登りと酒と煙草を愛す著者が、長い登山歴を経ていく中で、体験したり蒐集したりした怪異譚を自身のHPに掲載して話題となり、某怪談専門誌への記事掲載を経て、怪談作家としてデビュー。そのデビュー作が本書である。

     「山中異界」をテーマとしているため、通常の怪談集と比較すると明らかに異質に感じる本書だが、これが面白い。登山など全くしない私が、読むだけでその場にいる気になってしまうのだから、その表現力は素晴らしい。
     加えて、どの話もただ怖がらせるための怪談ではなく、何と言うか、至る所から「山」に対する特別な感情が読み取れるのだ。
     この夏、登山を計画している方は、ぜひ本書を携帯して、夜中に読んでみて欲しい。きっと楽しめるから。

     ちなみに私のオススメは…………「究極の美食」

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著者プロフィール

1958年、東京都生まれ。ウェブサイト「北アルプスの風」を主宰。山登りと酒と煙草を愛する。99年、くも膜下出血を発症するも奇跡的に回復する。その後、サイト内にて怪談作品を発表。2004年、『幽』第二号から連載の「山の霊異記」でデビューする。08年に怪談集『山の霊異記 赤いヤッケの男』を刊行。怪談語りにも長けており、さまざまなメディア(怪談TV番組、『R25』、『ほんとにあった怖い話』など)で山の怪談の第一人者として取り上げられるなど活動の場を広げている。

「2020年 『山の霊異記 ケルンは語らず』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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