- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840123181
感想・レビュー・書評
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拾ってはならない、蒔絵の赤い櫛・・・「赤い櫛」
白いおしろいの下に隠されたものは・・・「死化粧」
新嫁が迷い込んだ、永遠に続く同じ布団の同じ部屋・・・「八幡の鏡」
握り鋏と巻きつく黒髪・・・「紙縒の犬」
古の大夫に惚れた道楽人の決意・・・「幽霊の身請け」
廓は猫も悩ましげ・・・「遣手猫」
女の誇りが惨状を呼ぶ・・・「無常桜」
狂った女とやってくる鬼・・・「紅葉狩り」
これは現か夢幻か、手に村正を握らされ・・・「木魂太夫」
鬼女の起こした一芝居、現で見れば・・・「手鞠」
えーーっと、松井今朝子の『吉原手引草』の怪談版?
進め方がすんごい似てるんですが。
あと最後の方、少しゴチャゴチャっとしてたかなぁ。
ちょっとそこが気になりましたが、お話自体は読んでて面白かったです。
書き方もうまい。
もとは脚本家なのだそうで。
なるほど、最初の出だしのとこなんか、舞台のセリフとして、芝居っけたっぷりに言ってみたくなりますね。
次回作にも期待したいです。
第2回『幽』怪談文学賞長編部門特別賞受賞。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
じわじわ怖い…
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江戸の吉原にまつわる怪談噺が連作形式で語られていく時代小説。
「八幡の鏡」「鼠の道中」「遣手猫」……中でも一番恐ろしいのは、拾えば命がないという「赤い櫛」。
情感たっぷりと吉原という閉鎖的にあった遊郭の町の雰囲気を味わうことができる。加えて習わしや仕組み、当時の花魁の様を覗き見ることができるという点で怪談としてだけではなく、江戸の一部を担っていた吉原の歴史を知るという部分においても面白いものだと思う。
語り手は変わるが一貫して一人称視点で語られ、基本的に当時の言葉遣いだが読み易い方で、華やかではあるが裏で抱える無常感に包まれた世界を上手く表現できていると思えた。
現代とかけ離れた情景だからこそ浸ることができ、ある意味幻想的でもあるのかもしれない。 -
遊郭を舞台にした怪談話。それぞれの人物がそれぞれの立場から語る形式の連作。華麗で淫靡で、そしてぞくぞくと恐ろしい物語。
最初に登場して、そこからどの物語にも繋がってくる「赤い櫛」がかなり恐ろしいです。こんなもの見つけちゃったら……どうしましょう。しかし一方で、その「赤い櫛」ってビジュアル的にはとても映えるんですよね。他にも遊女の着物や持ち物等、美麗さの溢れる表現が多いので。読んでいると頭の中には華やかな情景が浮かびます。
その華やかさの裏に潜むおぞましさ……遊郭って、たしかに恐ろしい場所なのかもしれません。 -
読む手が止まらないほど引き込まれはしなかったが、なるほどなぁと思いながら楽しく読めた。
ただ、強く印象に残る人や話、場面がなかった。 -
表紙のイラストが何とも素敵で手に取りました。
吉原で働いている人たちから聞く、ある遊郭での怪談話。
『吉原手引き草』に構成が似ているなぁと。
連作短編なのですが繋がりが今一掴めず
どうもしっくりこないまま読み終えてしまいました。
ともあれ全体的には読みやすかったので
暑くなるこれからの季節にあっていて
雰囲気を楽しみました。 -
詳しくは思い出せないけど、雰囲気は好きだった。表紙読みにしては楽しかった。そこまで怖くはなかった気がする。
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赤い櫛のお話からどんどん繋がっていく摩訶不思議な話。
話し手が変わるたび、色々な事実がわかっていき・・・・。
オンナって哀しくも愛おしいイキモノだなあとおもいました。
ラストのほうの描写は、なかなかにエグくて・・・夜に読んだらゾクゾクしてしまうかも・・・。 -
人はみな、自分のためにしか泣くことはできない。