怪談実話系 書き下ろし怪談文芸競作集 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840123471

感想・レビュー・書評

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  • 豪華作家陣の参加した怪談アンソロジーですね。
    一部の人のものを除いて、いい作品が多かったですよ。
    角川ホラー文庫でもよくこういうの出しますけど、作家の豪華さと怪談に特化したという意味では、こちらのアンソロに軍配が上がるかと。

  • 一階だと言うのに、雨漏りがすると愚痴を漏らす彼氏に眉を潜めた。一階なのに雨漏りがするはずがない。そう言うと、分かってはいるが雨漏りの音がするのだと言う。そしてある日、彼氏の家に泊まるとその雨漏りの音が確かに聞こえはじめ……。
    ***
    昨日読んだ、「ずっと、そばにいる」の改訂前の本。内容はほぼ一緒で、作者は同じだが違う話が二編掲載されていた(しかし、そのうちの一編はこの作者が別のタイトルで出している怪談集で別読んだ記憶が……)。失礼ながら既に読んだ9話は読み飛ばさせていただく。という訳で、実質一編しか読んでないので読了本として投稿するのは悩んだのだが、折角一遍読んだので感想を投稿。完全に読んだ事がないのは、平山夢明の「顳顬 蔵出し」こちらは、作者が収集した短い話が5話。人ならざる者に化かされたような話、ゾッとするような話が混じっている。その中で一番ゾッとしたのは「雨だれ」。一階に住む彼氏が、妙なことを言い出す。一階に住んでいるのに雨漏りがするというのだ。その話を聞いた語り手は、一階なのに何を変なことを、どうせ二階の人間が何かをこぼして水漏れをさせたのだと言ったが、二階は空き部屋で誰もいないらしい。不思議な事もあるものだと、その場は流したのだが、後日彼氏の家に泊まった際に語り手も、寝ている時に確かに雨漏りの音を聞いた。雨漏りの音が聞こえる辺りを手で探るが、濡れている様子はない。ますます変だが、何かあるわけでもないので、その場も特に何もせず寝続けた。それから数日後、彼氏が風邪をこじらせて寝込んでしまった。あまりに辛そうなので泊まって看病をすることに。そして、その夜もまた雨だれが畳を叩く音が聞こえる。どうして、雨も降っていないのに、雨漏りの音がするのだろうか。そう思い、音を聞き続けていると、音が雨漏りの音でないような気がする。耳をそばだてると、雨漏りの音だと思っていた音のあとに、畳をこするような音が続く。さすがに無視しきれなくなった奇妙な出来事に、目を開くと眼前に信じられない光景が広がっていた。 部屋にいると定期的に聞こえてくる、雨漏りの音にまつわる物件ホラー。雨だれだと思っていた音の正体は実は……。というものだがその正体を脳裏に想像すると、怖いというより気色が悪いというのが先立った。読んでみて想像してほしいのだが、いやー本当に気持ちが悪い。過去にここでどういう事があったのかは読んでみれば明白だが、これは下手したら彼氏は取り込まれていたのでは?多分この日彼女である語り手がいなかったら本当にまずかったのではないかしら。後日、不動産屋に何か過去にあったのではないのかと問いただすが、煮え切らない返事。事故物件は間に人が住めば瑕疵に関する告知義務はないとのことだが、あれはどうにかならないのかな……。あっちも商売だし、仕方ないのだろうけど、安い家賃ではないわけだしいやだなぁというのが借り手の言い分だ。

  • 人気作家住人の実話怪談「風」アンソロジー
    京極夏彦の成人はまさに実話怪談風といったタッチでそこはかとなく官能的で恐ろしい
    福澤徹三の見知らぬ女の勘違いとも奇怪な話ともとれる曖昧な感じが好み
    岩井志麻子はいつものような安定の怖い女のお話

  • 読書メモ 2023/01/03

  • 実話怪談でも創作怪談でもなく、”怪談実話系”。ホラーでお馴染みの作家たちが選りすぐって書いた……
    だと思ったんですが、思ったより怪談実話系より創作怪談風だったので拍子抜けしました。
    そして、実は初めて読む京極夏彦のお話が一番怖かったように感じられました。面白いお話を書く人ですね、興味が湧きました。

  • 『幽』なんて雑誌があるんだね。まえがきによると、「極上の怪談エンターテインメント・マガジン」だそうで。なんともニッチそうな… 調べてみたら年2回発行で2004年から続いている雑誌のようだ。
    題名に「実話系」とあるアンソロジーの一番最初の京極夏彦の作品の書き出しは、

    断っておくが、これから記す事柄は実話ではない。

    となっているのにまず笑わせてもらった。
    収められている作品は全部で10個。京極夏彦も含め全て読んだことのない人ばかりだった。面白かったのもあるしそうでもなかったのも。

    ★3つとしているが、作品ごとに点を付けるなら★2つ~★5つ。
    小池壮彦の「リナリアの咲く川のほとりで」は★5つ。

    京極夏彦 面白かった。★4つ
    福澤徹三 うーん、今ひとつ。怖そうだけど全然怖くない。★2つ
    安曇潤平 ほぼ予想通りの結末なのが残念。★2つ。神奈川のT岳(山頂にS寺の奥社がある)ってどこだろう?
    加門七海 まあまあ。★3つ
    中山市朗 6つの短編。なんかどれもありきたりのような気が。★2つ
    小池壮彦 リナリアって花があるの? 知らないなあ。実話系とはちょっと違うと思うけど面白かった。★5つ。この人の他の作品も読んでみたい。
    立原透耶 3つの短編。2話目は面白かった。2話目は★4つ
    木原浩勝 ありがちだけど面白かった。書き方がうまいのかな? ★4つ
    平山夢明 5つの短編。面白いものも。★2つ~4つ
    岩下志麻子 実話系というよりか実体験系か。怪談というのともちょっと違うかな。あんまり知らないけど変わった女性みたいだね。この人のは読んでみたいと思いながら読んだことがない。★3つ

  • 2015.8.29読了
    水色のトレーナーの話は、加門七海氏の話だと思っていた。立原透耶氏と七海氏は同一人物のペンネーム違いだと思っていた。なぜかそう強く確信していて、疑うことを知らなかった。だから、驚いた。多分どの話よりも一番の衝撃。
    京極先生はやっぱり上手だなあと嘆息した。
    岩下志麻子氏は、「ぼっけえ、きょうてえ」や「岡山女」ほどではなくても、せめて「現代百物語」くらいのレベルを期待したが、力が抜け過ぎているように感じた。
    他は普通の怪談話。

  • 何本か読んだことあった。
    岩井志麻子はいつも同じようなことばっか書き散らして正直もういらない。

  • (本のタイトルが)実話系、となっているのは、実話とフィクションが混じっているから。
    加門七海さん、立原透耶さん、岩井志麻子さんあたりは全部実話だと思うけど(他の著書から判断)、あとはわからないなぁ。話として面白ければどっちでもいいんだけど。

    この本の中で一番ぞくっとしたのは安曇潤平さんの『顔なし地蔵』でした。

  • 「幽」作家10名書き下ろし

    京極夏彦 「成人」
    Aくん(雛人形/缶の中の気持ち悪くてくさいやつ/変な家の子)のことをBくん(編集者/ライターを通して)が怪異の類としていろいろ詮索してる話。

    福澤徹三 「見知らぬ女」
    作者が飲み歩いて見聞きしたいくつかの話からはじまる。
    不倫相手が家族旅行中に勝手に家にしのびこむ女の話など。作者が経験した朋美と真衣(そんな女はいなかった)というホステスのはなし。結局どないやねんという話。

    安曇潤平「顔なし地蔵」
    作者の友人である登山仲間からの手紙。友人ら数人と登山の際に奇妙な地蔵群を見つけてしまい、以後ひとりずつに不幸が襲うという話。手紙を読んだ数日後…。

    加門七海「茶飲み友達」
    作者と家族ぐるみの付き合いである茶飲み友達からの噂話で、名家の椎木が切られたことを発端として起こる様々な怪異を又聞きしながら勝手に推察するスタイルの話。

    中山市朗「怪談BAR」
    大阪に実在する怪談BARで繰り広げられる怪談。廃屋の押入れから/地方のホテルの訳あり部屋で/梅田のカラオケ店で不思議な空間/信楽でドライブ中死体はっけん/タヌキが鹿に
    後半オーナーが聴いた実話。ホストを神戸まで送ったら不思議なことがあって気づいたら死んでた

    小池荘彦「リナリアの咲く川のほとりで」
    作者が子供の頃に経験した「ミオ」という不思議な子と防空壕の中で経験した話。イマジナリーフレンド?戦争

    立原透耶「つきまとうもの」
    手押し車の老婆に追いかけられる話。
    水色のトレーナーの人が夢枕に現れる話。家族とかも見聞きしたりしててリアル。
    夢枕に少女が立つ話。

    木原浩勝「後を頼む」
    聴いた話。自分ちが幽霊スポットになってるとタクシー運転手から聞く。確認したらマジで玄関から亡くなった親族が出てくる、実家に帰る。よくよく考えたらおじーさんが亡くなる時に託して行った祠があるんじゃないかという話

    平山夢明「こめかみ くらだし」
    こめかみそうしに載ってる内容いくつかそのまま。

    岩井志麻子「美しく爛れた王子様と麗しく膿んだお姫様」
    しまこさんが実際につきまとわれたことのある、ぶっとんだ人の話。

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