朝に咲くまでそこにいて (MF文庫ダ・ヴィンチ)

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  • メディアファクトリー
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840124157

感想・レビュー・書評

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  • 短編集。

    カエルとの共同生活のお話が好き。
    なんでこんなぶっ飛んだ話を書いたんだろう?と思ってたら、最後にしっかり心掴まれました。チクリって切ない。

    主人公の母親と父親の"ガリバー写真"がすごく微笑ましくて憧れました。いいなぁ。

    短編集だから話が繋がっている訳じゃないのに、この一冊でのイメージが【梅雨】です。朝顔とカエルのせいかな?

  • 表題作のほか2編を収める短編集。
    平凡な生活を送っていたはずが気づけば街金からの借金が膨らみ風俗へ。頭に動脈瘤という爆弾を抱えている緊張感に耐えきれなくなって失踪した中年男性を先生と呼び同居を始めたセリだが‥。
    個人的には2編目の「Frog Sing アイノウタ」が好きだ。無数のカエルに囲まれた家で、カエルの声に悩まされるほど賑やかなはずなのに、物語はどこまでも静謐だ。ユーモラスなファンタジー然とした日常に安心して読み進めていると、思わぬ切なさにやられてしまう。

  • 短編三つが集録された一冊。
    借金から風俗嬢となった主人公のセリは、ある日お客として来ていたおじさんを拾って家に連れて帰った。
    セリの部屋に住み着いたおじさんは体に爆弾(病気)を抱えており、セリは癒えない心の傷を抱えていた…
    前向きになるにもエネルギーが必要で、いらないと思ってもいざ手放すとなると惜しい、分かるぅ。
    恋愛ではないだろう。けれど、胸が痛くなるような、切ないような気持ちになりました。

  • 普通だった女性が、多額の借金を作り深い穴に落ちていく。
    借金返済後も、その穴から這い出せずにいるのは、やり直すことの恐怖から。

    セリが、まともで、本当に普通の人だったから起こった感情なのでしょう。
    自分が狂ってしまったこと、元の自分は簡単には取り戻せない、生まれ直したい。
    なんとも切ない。

    先生との出会いと別れによって、ようやく一歩進むことの出来そうなラストシーン。
    セリの明るい未来を祈ってしまいます。

    他、夫がカエルになってしまった主婦の話、偶然謎の男達の話を盗み聞いてしまった女性達の話。

    私も著者が、気になる作家さんになりました。

  • 3編からなる短編集。表題作と3番目の話が薄くリンクしており、人間への洞察力の強さを感じました。カフカの「変身」を彷彿させられる2番目の話は、少しコミカルな感じかなと思いきや、最後の数行で一気に悲しみと怖さにいい意味で落とされました。再読はないと思いますが、心に引っかかる一冊でした。

  • 星2つよりの3つだなー。
    「不甲斐ない僕は空を見た」を読んだときと似てる、期待外れ感。
    ちょっとだけ文章がまともな携帯小説、という印象。解説での絶賛を鵜呑みにして読むと失望する気がする。

  • ある意味哲学か?

    短編3作です。
    内容は違うけどどの作品も自分の“執着”からどう抜け出すかがテーマ

    ①主人公の風俗嬢が崩れた正気と向き合う
    ②未亡人が無くした夫の幻想と向き合う
    ③恋愛体質な女が自分が追うものと向き合う
    という内容

    作りはネガティブですが性悪説な私は高評価。主題には色々考えるものがあります。デビュー作らしいので他の作品も読んでみたい

  • 執着がテーマになったような恋愛話の短編集。

    恋愛すれば多かれ少なかれの執着は
    そこに発生しちゃうよね。

    FrogSingアイノウタが一番よかった。

  • ☆4

    3編の小説。なんていうか・・・「気になる」小説家(解説でも藤田香織が言ってるけど)だなぁ。なんか切ないような。どうしてかなぁ。
    どの話は「ああああ・・・」って感じ。切ないような、悲しいような、幸せなような。

  • ホストに嵌り多額の借金を抱え、ヘルスで働くことになったセリ。そんな彼女がEDの中年男と二人暮らしをする【朝に咲くまでそこにいて】。
    起きたら、隣に寝てる夫がカエルになっていた――。ファンタジックな内容に思えるが実は・・・。【Frog Sing アイノウタ】。
    ロクデナシの男を好きになってしまう恋愛依存症の後輩、秋吉に自分の友人、美里と聞いた話を語り、「人でなし」にかかわり、人生を転げ落ちる怖さを説く【恋を患うマリアたち】。

    本作を絶賛するつもりはない(僕レベルの読書人が大変恐縮なんだけれども)。だが、「この作者気になるな」、「次回作も読んでみたい」、そう思わせてくれる。僕は『マンゴスチンの恋人』を最初に読んで、気になる作家リストに遠野さんが加わったわけだけれども、まだ彼女の作品を読んだことがない方は本書『朝に咲くまでそこにいて』を最初に読むことをオススメする(いや、『マンゴスチンの恋人』からでも『ディアレスト・ガーデン』からでもいいんだけどね)。本書を最初に読むことで、作者の表現が上手くなっていく(僕はそう感じた)気がするからだ。

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