夜は一緒に散歩しよ(MF文庫ダ・ヴィンチ) (MF文庫 ダ・ヴィンチ く 3-1)
- メディアファクトリー (2009年8月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840128896
作品紹介・あらすじ
作家の横田卓郎は妻を亡くし、娘の千秋と一緒に暮らしていた。妻の死後、千秋は奇妙な絵を描くようになる。人ではない異形のものを。そして、ある日をきっかけに「青い顔の女」ばかりを描くようになった。千秋はその絵を「ママ」と呼び、絵を描くことに執着するようになる。もうひとつの執着。それは夜の散歩だった。第1回『幽』怪談文学賞長編部門大賞受賞作品。
感想・レビュー・書評
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とにかく不穏な空気が読んでいる途中から漂い祝山を読んだ時の様な不気味さ。けど、どんどんページをめくり先はどうなるんだろうと読み進めてしまった。最後のオチはどこかて見た様な感じだったけど途中の夢に出てきそうな気持ち悪さは、仄暗い水の底からとか、着信アリとか。不条理な感じがとても怖かった
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これは、なんというか不気味。怖いんだけど、なんか途中がねー真ん中あたりからこれ呪われても仕方ないじゃん。っていうなんとも言えない気持ちになる。笑。
怖いんだけど、うちがこの立場でもやっぱり呪い殺すな。と、納得がいく内容で、やっぱ納得いかないほうがやっぱ怖いよね。
なんで?なんで?どして?どして?
っていうのが必要だよね。
そこが途中からしらけさせられるものの、かなり先が気になる展開で、もしかしたら怖がりさんは読めない一冊かもしれません。 -
子どもの描く絵の不気味さなどは端的なタイトルや描写でよく表現できていた。
文章は平易で読みやすく、生理的な嫌悪感を刺激するのも上手い。担当の不潔な風貌など、非常にいやらしく書けていた。
スプラッタな描写でこれでもかと畳みかけてくるより、外堀からじわじわ埋めていくようなうそ寒さを感じる。
中盤(主人公が亡妻の部屋で例のアレを発見するまで)は怖かったのだが、それ以降のどんでん返しで少し冷めた。
青い顔の女の正体が実は……という展開は意外性があって面白かったが、え、そっち行くの??とカテゴリをスライドできなかった。幽霊が出てくるホラー路線と思いきや超自然な方向へ滑っていくので、そこで梯子を外されると「アレッ?」となる。
狭義のホラーにこだわらず、幽霊もクトゥルーもなんでもありな読者向け。
担当の行方など明らかにされてない謎も多く、ラストは後味悪い。
まあホラー小説は後味の悪さもウリなのだが、冒頭の記事を読み返すと、結局指輪は取り戻せておらず本文と矛盾が生じる。それともあの水死体は実は……と、考えれば考えるほど薄気味悪くなる。 -
□ 14254.
〈読破期間〉
2014/12/28~2014/12/30 -
著者初読み。妻を亡くした卓郎は、作家業を続けながら一人娘の千秋と暮らしていた。母を亡くして以降、奇妙な絵を描き続けるようになった千秋は、ある日顔の青い女の絵ばかりを描くようになり「ママ」と呼び始めた...。タイトルの和やかさからは想像出来ない恐怖が詰め込まれている。暗くて悪臭が匂ってきそうな家、何処からともなく降り注がれる誰かの視線...。子供が明らかに異常な執着を見せているのに卓郎の呑気さにイライラしたり、最後のオチは想像出来てしまう展開だけど面白かった。「もぎぃ」って聞こえてきそうで怖い。
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得体の知れない気味悪さで久々に凄いホラー小説に出会えた嬉しさとともに若干薄ら寒くなった。中盤以降その恐ろしさが失速してしまうのが残念ではあるものの(恐怖の元凶が弱いような)文章だけで人を不安にさせるって凄い。からこそやっぱり…もうちょっと期待してしまう。
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妻を亡くし,娘と二人で暮らすホラー作家。
やがて娘は奇妙な絵を書くようになり,夜中の散歩に行きたがり,周りで不審な出来事が起こるようになる。
雰囲気がとにかく怖い。サイコともスプラッタとも違って,本能を直接刺激してくるような怖さ。
(解説の京極夏彦によると,"子供の頃に読んだいい加減でいかがわしい「怪奇全集」の,嘘臭い,それでいて蠱惑的な,混沌とした「コワさ」にどこか通じている。宇宙人とネッシーと地縛霊とカシマさんと一反木綿が仲良く並んでいるような,そんな「コワさ」である")
あとがきを読むと,これが自宅のすぐ近くの話だと知り,さらに怖い。
105円で入手したが,思わぬ掘り出し物。 -
某所で「身の毛もよだつ恐怖小説 ☓☓選」というコラム(☓☓の部分は数字が入ります。10作品ぐらいあったかと記憶していますが)に挙げられていて、なんとなく興味を覚えて手にとった一冊。
うーん、正直そこまで怖くはなかったというのが正直な感想でしょうか。
鬱々とした恨みがヒタヒタと近づいてくる描写は良かったのですが、その恐怖の元凶がいきなりの登場(弱い伏線は序盤にあったものの、本章ではほとんど存在があることすら描かれていません)で、ちょっと拍子抜けです。
あと、登場人物の描き方がイマイチ弱いので、どの人物にも共感を覚えにくかったこともイマイチと感じてしまった一因かもしれません。なんというか、どこか遠くの世界で知らぬ誰かがちょっと怖い体験してるわー、みたいな。恐怖がコチラ側に迫ってこない、というか。
エンディングの「一件落着に見えて、実は恐怖はまだ終わってない」というパターンも、それまで読んできた印象とつなげるとちょっと陳腐に感じてしまいました。
うーん、「身の毛もよだつ…☓☓選」に選出されていたのでこちらが期待しすぎてしまったのかもしれませんね。
でも、正直、ネットのまとめサイトにある「洒落怖まとめ」とかの話のほうがこの作品よりよっぽど怖い話があるよ、と思いました。