文豪さんへ。近代文学トリビュートアンソロジー (MF文庫ダヴィンチ) (MF文庫ダ・ヴィンチ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840131469

感想・レビュー・書評

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  • 人気作家が好きな近代文学作品をモチーフに書き下ろした短編、その作品についてのインタビュー、モチーフになった文豪の作品をワンセットにして収録したアンソロジー。企画がいい!教科書くらいでしか読んだことのない「文学作品」が、身近になった気がする。ほかの文学作品も読んでみようと興味がわく。さすがは当代の人気作家たち。短編がどれもおもしろい。私のお気に入りは宮部みゆきの「手袋の花」。もととなった「手袋を買いに」も、絵本ではなく文章だけで読むと、とても新鮮で美しかった。収録されている近代文学作品は、どれもとても濃密で、読んだ後の充実感があった。文章を読む幸せを感じることができる一冊だった。「アンソロジー」はお得で面白い!

  • 面白かった。
    近現代の作家って、いきなり長編!てなるよりは、
    ちょっと短編、とかの方がとっつき易いような気がする。

    で、今の人たちがそれへのとっかかりを書いてくれてるから、
    いい具合に引き込まれていくんだろうなぁ。

    どのお話もそれぞれ色があって面白かった。
    中島敦、坂口安吾、芥川龍之介が好きだなぁ。すごく印象的。
    中でも芥川龍之介の「トロッコ」がなぁ。
    すごくわかるの。主人公のあの心細さ。
    人の感覚なんていつまで経っても全然変わんないんだな。

    だからきっと、文豪って呼ばれる人たちだって、
    結構近いところにいるんだと思う。そういうのが嬉しい。

  • 6人の作家が昔の文学作品とそれをモチーフにした短編、そして文学作品を語るという企画の本。

    近代文学作品は
     夏目漱石『門』
     中島 敦『山月記』
     葉山嘉樹『セメント樽の中の手紙』
     坂口安吾『桜の森の満開の下』
     新美南吉『手袋を買いに』
     芥川龍之介『トロッコ』
    の6作品。

    以前、森見登美彦の『新訳・走れメロス』を読んだ。

    それも、走れメロスや山月記などの話をモチーフに森見ワールド展開したもので面白かった。

    ただ、原作を知らないものが多かったため原作を読んでみたいなと思っていた。

    この本はどこから読んでも大丈夫なので山月記のところから読み始めた。

    山月記は漢文調で書かれた12ページという短い文章であっという間に読み終わってしまう。

    そして、田口ランディがその話をモチーフにした話『虎』と田口ランディのおもう山月記についての文を読む。

    森見さんの山月記が私のベースになってしまっているため、中島敦のほうの感想はああ、原作はこうだったんだ、という感想。

    山月記は高校の教科書によく載っているらしいことが書いてあったが、残念なことに私は学生時代にはめぐり合わなかった。

    意味が通じるのでとざっと読み流してしまうのだが漢字などちゃんと読んで行ったらまた面白そうだと思う。

    『桜の森の満開の下』は首遊びが怖い。ひたすら怖い。

    これも森見登未彦の「新訳 走れメロス」に収録されていた。

    そちらはテイストは残しつつも部隊も現代の京都に移し構成されていたし首遊びはなかった。

    この本でもトリビュートということで夢枕獏が安倍清明を主人公にトリビューと小説を書いている。

    それも、怖くなかった。むしろほほえましい。

    順番としてトリビュート版、それを書いた人のなぜ選んだかなどの説明、原作となっている。

    坂口安吾の原作。

    何となく素朴な山男と我儘な都女の純なラブストーリーを装っているのに誤魔化されそうになる。

    だが、山男は山賊でものすごい数の人を殺めているのに純も何もあったもんじゃない。

    そしてファンタジーと考えても女の感情が不可思議。

    女の夫を殺され半ば強引に妻となり、男の妻たちを殺させて男と暮らし続ける。

    都に移り住むと都人を殺し首遊びに興じる。

    狂ってる。恐ろしい。

    男を愛している風でもないのに、男が山に帰るというと一緒じゃないと嫌だと泣き一緒に帰るという。

    一緒に山へ帰るときに女をおぶって満開の桜の下を通った時、男は背中にいるのは鬼婆だと感じ絞め殺してしまう。

    しかし、首を絞めたのは妻だった女でその屍体があるばかり。

    男がその屍体の桜の花びらをとってやろうと触れると屍体は掻き消えてしまう。

    さて女は鬼なのか人なのか、はたまた桜の精霊か。

    とても素敵な狂気的で耽美的なファンタジー。

    桜の木と屍体の関係は何時誰が始まりなのだろう。

    今までは桜の季節になると梶井基次郎の『桜の木の下には」を思い出した。

    これからはこの物語も合わせて思い出すことになるだろう。

  • 企画として面白い。名作はやっぱり、名作だ。名作を凌ぐようなものを書こうという意気込みのない現代作家の短編は、ある意味前座的で読みやすい。
    目当ては北村薫だったが、それぞれに惹かれた。

    最近よく坂口安吾の名前を目にする。桜の話は迫力満点。ぞっとした。他の本も、読んでみよう。
    漱石も読み直したい。芥川も。

  • 近代文学トリビュートアンソロジー。
    ・【縁側】北村薫/【門】夏目漱石
    ・【虎】田口ランディ/【山月記】中島敦
    ・【あるソムリエの話】貫井徳郎/【セメント樽の中の手紙】
    ・【陰陽師 花の下に立つ女】夢枕獏/【桜の森の満開の下】坂口安吾
    ・【手袋の花】宮部みゆき/【手袋を買いに】新美南吉
    ・【洋館】吉田修一/【トロッコ】芥川龍之介

    この本の良さはなんといっても企画と構成。
    宮部みゆきと吉田修一は良かった。

  • すっごいおもしろかったー!
    文豪の作品と、それを受けて現代の作家さんが書いたはなしと、さらにはインタビューも載ってて盛りだくさんでした。
    なんとなく教科書とかで読んだことのある作品を、こう解釈するのか!なるほど!と目から鱗でした。あとがきで作者が解説してくれるのでよりわかりやすかったです。
    特に山月記がすきなので、なるほど~と思いながら読みました。また別の作品でも第二弾出してほしいです。

  • 近代文学の所謂文豪、所謂名作のトリビュート作品とそのもとになった作品のアンソロジー。

    そんなにトリビュートって感じがしなかったのは、私の中でのトリビュートが森見作品のようなイメージだからだと思う。
    もしくは総じて短いせい?
    なんとなくみんな尻切れトンボのようなまとまらない印象。

    この手の読みやすく手直しされた近代文学の文章がどうにも苦手だなと、読むたびに思う。多少読みにくくて原文のまま読みたい。

  • いい本読んだ。
    現代作家6人が各々好きな近代文学の文豪6人の作品をモチーフに短編を書き下ろし、原作について語る。その後、原作を読んで楽しみ、「そういうことか」と味わえる本。なんという贅沢。
    難解で読みにくいという印象のある近代文学がこんなに面白く読めるとは思わなかったです。
    特に好きなのは『夢枕獏×坂口安吾』と『宮部みゆき×新美南吉』。
    夢枕獏さんが言っていた、坂口安吾作品の絵解きできないが、文章でしか表現できない、文章だけが持っている味わい。確かに素晴らしかった。
    そして新美作品の描写の色彩鮮やかさ。子狐の後ろに新雪が舞って小さな虹が映るのが映像で見えたような気がしました。
    本読む楽しさを改めて感じた。近代文学もいろいろ読んでみたいです。

  • 文豪の作品を読む→触発→現代作家が作品を書く
    さてさて、どんな作品が新たに生まれたのやら…ご注目!(院生アルバイトスタッフ)

  • 複数の作家が、それぞれ好きな作品を選んでアンソロジーを書いている。
    夏目漱石や芥川龍之介など、有名な作家の文章も試し読み出来る。

    身構えて読むから作品も硬くなる。
    フランクに読めば作品も接しやすい。
    というようなことを謳ったのは誰だったか。

    でも、確かに、古い文章も新鮮でした。
    それぞれの作品の面白さというよりは、新しい文章や作品に触れる機会を味わう一冊でした。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。高校教師を務めるかたわら、89年『空飛ぶ馬』で作家デビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞、09年『鷺と雪』で第141回直木賞、15年には第19回日本ミステリー文学大賞を受賞した。エッセイや評論、編集の分野でも活躍している。近著に『八月の六日間』『太宰治の辞書』『中野のお父さん』など。

「2019年 『覆面作家の夢の家 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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