舞姫(テレプシコーラ) 第2部 5 (MFコミックス ダ・ヴィンチシリーズ)

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  • Amazon.co.jp ・マンガ (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840137294

感想・レビュー・書評

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  • 感動の最終巻。
    ローザンヌ・コンクールの最終日。
    風邪でダウン、どこからもオファーもないとはらはらさせつつ、最後に嬉しい評価を受ける六花。
    新しい表現や、振り付け師の才能を求める~バレエの未来へ。

    六花の振り付けの才能も、その場だけのことではなかったとわかる結末。まぐれじゃなかったんですね! いぜんから富樫先生の尽力もあってのことだったんですねえ。

    ローラ・チャンの意外な決断も。
    小学生の時には嫉妬もあり無神経に感じられた六花のことが、実はすごく大事な思い出になったんでしょうね。
    成長した六花に出会えて嬉しかったんだなあと察しがついて。
    あまりにも苛酷な経験をしたローラは「嬉しい」と素直に感じなかったかも知れないけど。
    (もしかして六花の頼りなさに自分がついていないとと不安になったとか)
    ローラの踊りに明るさ無邪気さだけはない。そういう所も少しは変わっていくのか…

    とはいえ、ここで終わっちゃうと思ってなかったので、当時はガックリ。
    第一部に比べて短すぎるし~まだまだ六花とローラ・チャンの成長と踊りを見たかったのに!
    残念でたまりませんでした。

    おそらく当初から考えていたのだろう構成と、描くのが大変なんだろうなあ…と思いやって、ため息つきつつ。
    休んで元気が出たら~後日談をもう少しやってくれないかしら?とか、ちょっとだけ期待。

  •  第2部を読んで、私がこの話で見たかったのは空美ちゃんと六花の友情物語だったんだなあとしみじみ。
     正直に言いますが、1部後半はげんなりしました。3巻まででてっきりこの話は「容姿に恵まれない天才バレリーナ空美と彼女をライバル視して実力を伸ばす千花の二人を軸に、同級生の空美と姉の千花に憧れて二人とは違う己の才能を開花させていく六花が語り部のお話」と思ったんですが、空美ちゃんは早々に退場、千花ちゃんもあんなことになり、結局これは主人公六花の成長を描いた作品だったとわかりました。

     六花が成功したのはいいんです。いいんですが、六花が幸運に恵まれていたのに対し、千花が不運すぎたのがあざとすぎて嫌でした。そもそも空美が失踪したのも(悪気はなかったし、不安要素があったとはいえ)六花が口を滑らしたせいだし、それが一因で千花へのイジメが激化(足の怪我の原因になった事故は、本当に『事故』だったのか疑いたくなる)、その後は相次ぐ手術ミス。対して六花は友達に誤解されそうになってもあっさり仲直り、先生には目をかけられ、姉の喪失も乗り越えて一人前に……
     繰り返しますが、六花が成功したのはいいんです。でも構造的に六花が千花と空美を踏み台にしたふうになっているのが、すごく嫌でした。六花が「姉とバレエでの成功どっちを選ぶ?」と聞かれたら、間違いなく「千花ちゃんが生きてる方がいい」と答えるくらい普通の子なだけに、尚更。

     金子先生の言った「多少周囲に迷惑をかけてでも泣き言を言って自分の苦境を訴えることも大切」なのはわかるし、共感できる。多分これはこの作品のテーマなんだろう。でも「すぐ泣き言を言う甘え根性な子」が成功して「泣き言も言わず努力を続ける勤勉な子」が成功しないのは、テーマを際立たせるためとはいえ、やっぱり不愉快でした。


     で、1部はウンザリしてたんですが……2部でようやくすっきりしたというか、六花ちゃんのともすればイライラする欠点が、空美ちゃんといっしょだと全然気にならないことに気づきました。空美の格好良さを引き立ててるというか、まさしく王子様とお姫様。そうか、六花ちゃんの王子様は空美ちゃんだったのか。
     六花は本当に甘ちゃんで、考えなしで無神経で、優しいけれどそれがときに傲慢で、でも、その無神経で浅慮な優しさに、誰が救われたかと言われれば、それは空美ちゃんなんだろう。空美ちゃんが六花を助けたりしたのは、当人にすれば借りを返したくらいの気持ちだったのかもしれないけれど、空美の人生で彼女を助けようとしてくれたのは、多分六花だけなのだ。

     2部では千花に見守られるという形で自分の欠点を改善しようという六花の成長も見られ、1部では(六花とは別の意味で)傲慢で無神経な面ばかりだった茜ちゃんのいいとこも見られてスッキリしました。これで終わりとあとがきにありましたが、正直私が見たいのはこれからの展開なので是非続きが見たいです。空美の過去もまだ明かされてないし、六花の才能も認められ一同集結でこれからが本番だろうがああああああ!!

     恋模様の方は、千花ちゃんが好きだった大地くんが代償のように六花ちゃんを気にしてるのは個人的にびっみょーなので、がんばれ茜ちゃん。六花ちゃんには断然拓人くんを押すけど、2部で強力なライバル登場。がんばれ拓人くん。

     でも、やっぱり、空美と千花のバレエを見て「二人に私の振り付けを踊ってもらいたい」と六花の才能が開花する展開が、見たかったなあ。

  • 悲惨な少女時代を送り、第三巻で忽然と姿を消した空美ちゃん。
    いつか上手くいくと信じていたのに自殺してしまった千花ちゃん。

    第一部はそんなこんなでモヤモヤして終わってしまったけど
    第二部はハッピーエンド!あーよかった!!

    しかもこの単行本初出の番外編では…。

    続きはあるのでしょうか?気になる。

  • 個人的にこの先も知りたかった。

    終わっちゃった・・・

  • これで終わりなんてやです!六花ちゃんとローラもっとみたい!
    六花ちゃんが、ひいきのようにラッキーなのは、本当にそういったラッキーな人間はいるということを表現したいからなのです。どんなに綺麗でも、どんなに実力があっても、どんなに才能があっても、ラッキーじゃない人はいっぱいいるし、逆になんで!?と思う人がラッキーな目にあっていることはあるのです。
    だけどなんで!?という人が、実は普通にいっぱい努力してたり、普通に不幸をしょってたり、普通に実力があったりして、本当はなんで!?といわれるほどでもないことがある、というのも本当です。岡ひろみは「なんでも良いことに結びつける天才」で「そんなお気楽ばかになれない」って(意味のことを)ライバルに言われてましたけど、それが大事なんです。ゆきちゃんは思考がネガティブだけど、意外にも取りこぼさない思考なんです。ゆきちゃんこれからもがんばって~。第3部まってます。

  • 連載はやや唐突に終わってしまった印象が強いのですが、コミックスでまとめて読むとまた印象が変わって、これはこれでよいエンディングなのかなぁと思います。

    ローラ=空美ちゃんだったのか、そうじゃないかはどちらともとれるように、読み手に任せる表現をしているのですが、個人的にはやはり空美ちゃんだったかなぁと思います。

    もしかしたら、その後の第三部もあるんじゃない? というようなストーリーだったのですが、いかんせん、作者が結構お年を召してらっしゃるのでキツイかなぁ…でもできたらその後も読みたいです。

    全盛期の絵柄と比べるとやはりちょっと画力は落ちたかなとは思うのですが、それでも決めのコマ(ローラの踊りの表現とか)の美しさはさすがだなぁと思います。

    また次の作品が楽しみです…とはいえ、あまり無理されず長く描き続けて欲しいです。

  • うっうっ、良かったー、六花ちゃん本当に良かったね。いやあこんな風に終わるとはね。

    少し前にダ・ヴィンチでの連載が最終回を迎えたと聞いた時は「え?まさか!」と驚いた。だって始まったばっかりじゃん!ローザンヌへ行って風邪ひいて終わり?いったいどんな展開なのか、尻切れトンボだったらいやだなあと思って読み始めたのだけれど、いやいや山岸先生ごめんなさい、そんなはずはないよねえ、余韻を残しつつ物語はきちんと幕を閉じたのでした。

    それにしても、最後の最後までハラハラさせられ通しだった。オファーのカードの件や、表彰式の前の展開のところなんかは、六花ちゃんがどんなヒドイ目に遭うのかと気を揉みっぱなし。それだけに最後は嬉しかったー。心から六花ちゃん頑張れ!と言いたい気持ちになった。千花ちゃんの写真のシーンではこみ上げるものがあった。ずっと忘れられないヒロインだ。

    やっぱり空美ちゃんの物語が読みたいけれど、これで終わりなんだろうなあ。そこらへんもかっこよくて素晴らしい。

  • わぁー、終わってしまった。
    正直寂しすぎて。
    星5つけられませんでした。
    続編希望。
    この後、彼女たちは、
    どんなことになってしまうのー??
    続きが読みたくて仕方ないそんなラストでした。

  • アッと言う間に完結した気がしたのに、10年の長きに渡る連載だったんですね。^^; 最後はビックリの結末です。コリオグラファーに興味が湧きました!

  • ローラの超絶技巧よりも、千花の衣装との類似に驚愕する六花。読者はその後のあまりの展開に驚愕しますけど。私は、六花が準決戦を泣く泣く棄権して、次は第1巻で3位を獲得したYAGPのN Y本戦編を予想していたので…まぁ、いいんですけど。
    果たしてローラと空美は同一人物なのか、別人なのか? 気になりますよね。
    私見ですが、二人は別人だと考えました。第4巻で舞ちゃんが言っていた、お教室で大役に選ばれた時、周りの子たちが離れていった、みたいなことがローラにもよくあって、人種差別とかもあったりして、心を閉ざしていたけれど、六花に出会って彼女の中で何かが変わり始めた。そして、あの世の千花からの使者となったのではないでしょうか? スピリチュアルすぎますかしら?
    第3部が書かれるとしたら、どんなに嬉しいでしょう。そうしたら、ローラ問題に解答を出さないと始められない訳で、そこが難しいのかもしれませんね。

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著者プロフィール

山岸凉子(やまぎし・りょうこ)
1947年北海道生まれ。69年デビュー後に上京。作品は、東西の神話、バレエ、ホラーなど幅広く、代表作に「アラベスク」「日出処の天子」「テレプシコーラ/舞姫」など。

「2021年 『楠勝平コレクション 山岸凉子と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山岸凉子の作品

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