もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら (幽BOOKS)

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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840139144

作品紹介・あらすじ

ノンフィクションの第一人者が自らの不思議体験を綴る、怪談実話エッセイ。怪談専門誌『幽』連載「日々続々怪談」ほかに書き下ろしを加え待望の単行本化。衝撃の文豪怪談実話「三島由紀夫の首」収録。

感想・レビュー・書評

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  • 全然怖くなさそーなタイトルなので、すっかり油断していた。
    めちゃくちゃ怖かった。
    はっきり言って、今、涙目で震えあがっています。
    こんなビビリな人間が読むべき本ではなかった・・・

    とくに、三島由紀夫と川端康成の話がまったく意味不明で、何が何だかよく分からないけどチョー怖かった。
    病院に人が多いって話も怖かったよぅ。
    は、は、は、早く忘れねば。ガクガク

    あと、じんわりと、昭和という時代が怖いと思った。
    著者は何気にとってもお金持ちのお嬢様なようで、過去の思い出にお手伝いさんとか従業員が名脇役よろしく印象的に登場するのだが、彼らがみな自分の幸福は一切追求せず、一家の影としてその生涯のすべてを捧げて肉体を酷使しながら献身的に働いている様子なのが、なんだか私には哀しく、とても怖く感じた。
    話の本筋はそこではないせいか、聞いてはいけない話を聞いてしまったような、見てはいけない部屋をのぞいてしまったような、そんな暗く重いイメージだけが後味悪く残像のように残っている。これも早く忘れなくちゃ。

    ところで、死期が近いことが分かる人って、意外に多いような、割とよく聞く話のような気がするのだけれど、なぜなんだろう。やはり重要なイベントだから、死を迎える人は体が準備を始めるんだろうか。
    私の姉も、子供の頃、近所で葬式があると分かると言っていて、実際に言い当てていたと思う。
    しかし、家族の中で、霊感も霊体験もない私が一番怖がりなのは確かだ。

  • 私には全くの霊感がないから、こういう経験は全くないが、ある方は大変だろうな。

  • 三島ファンとしては、やはりなぁーと少し思ってしまったエピソードもあり。他の項目はこれから読む!

  • 本書は、小説や創り話ではありません。
    ノンフィクション作家である著者が、「自身の周辺に起きた変な現象や不思議な体験」を、「読み物としては成立しない危険を孕んでいても、一切の脚色を加えず」「無意識のうちに自分が盗作をしてしまうことを恐れ、誰かがすでに書いたものを参考にするのを止め、書くと思い立ってから十五年間、仕事でどうしても必要にせまられる以外は、いわゆる怪談と呼ばれる書籍はまったく目を通さずに」書き上げた紛れもない”ノンフィクション”です。

    本書を拝見すると著者は、「死者とつながる・出会うことができる」「周りの人間の死期を感じる・知らせを受けることができる」人のようです。
    そして、死者との出会いを怖がったりするのではなく、事実として受け入れ、あの世とこの世とを区別せず自然にお付き合いしたり敬意を払ったりすることができる人、のようです。

    世間一般的には、「怪談」とか「幽霊の話」とか「霊」とかいわれるお話。
    「妙ちくりんな出来事が日常茶飯事的に起き」、「彼らを「お化け」と呼んでよいものかどうか、今回少し迷ったのだが」という著者にとっては、日常のお話。
    「おばけちゃん」に出会ったことはないけれど、「そういうお話を伺うと特段疑念を持つこともなく(伺う相手によりますが)、すっと自分の中で消化」してしまう私にとっては、とても興味深い日常のお話。

    著者が心配しされていた「読み物としては成立しない危険」は見事に回避され、読み物としてもとても面白く、あっという間に読み進めてしまいました。

    「【本書抜粋】お化けだって、生きている」という著者が綴る本書は、私にとって新たな死生観への気づきを与えてくれると同時に、ご先祖様から私、そして次世代を担う子供たちへ・・・人の思いというのは尽きることがないのだということを再確認させてくれました。
    他に類を見ない、とても興味深い良質の一冊です。

  • 非常におもしろいエッセイとして、楽しく読みました。
    怖いってほどではないエピソードばかりですが、夜中にトイレに行く際に思い出すと、ちょっと(ほんのちょっとだけど)ゾクッとします。
    霊感は遺伝するのか?という疑問を出されていますが、そんなことより私は「離婚は遺伝するのか」と思ってしまった……。お父さんもご自身も三度!の結婚、お姉さん、お爺さんも離婚、ご主人も離婚歴のある方……。身内で離婚する人がいると、離婚に対するハードルがぐんと下がるのかもしれません。
    ――ということで結果的には、著者さんの家族についてがとても興味深かったです。普通にエッセイとして読んだほうがいいです。
    この本で評価の低い方は、怪談の部分に比重を置いているのだろうなと思いました。

    文章がとても読みやすく、わかりやすかったので、この著者さんが私はとても気に入ってしまいました。

  • (2011.10.11読了)(2011.10.06借入)
    著者が、この世のものでない方々を見た、とか、この世のものでない方に出会った人の話を聞いた、とか、いう話が満載された本です。
    著者には、この世のものでない方々が見えるらしいのです。見ているときは、この世の人だと思って見ているのですが、他の人に確認すると、見えないとか、誰もいなかったとか言われて、初めて気がつくのだそうです。
    何をしてもらいたくて、自分の前に現れるのかわからないので、何もしてあげられないといっています。見えたために何か怖い目にあったとかいうことはなさそうです。
    僕の元同僚にも、見えるという人がいたのですが、詳しく話を聞いたことはなかったので、残念です。今度そのような人に出会ったら、この本をネタにいろいろ聞いてみたいと思います。
    それにしても、この本を読んだ後は、夜、トイレに行くのが怖かった。

    書いてあるテーマは以下の通りです。
    「病院にて」「その男の顔」(ピストン堀口)「通じる思い」「三島由紀夫の首」「知らない住人」(換気扇が廻る)「悪魔の木」(マルチニーク島)「兄とコピー」(犬)「謎の笛の音」「元夫の真っ白な家」「坂の途中の家」「バリ島の黒魔術」「霊感DNA」「母からの電話」「「赤い」人たち」「火の玉は何色か?」

    ●あの世の人(3頁)
    「幼いころから、私は不思議な体験をすることが多かった。だが、自分がそういう体験をするのが、何か特別なことだとは考えていなかった。誰にでも起きる現象であり、あの世の人たちはこの世でも生きているのだというふうに、解釈していた。」
    ●日常茶飯事(15頁)
    看護婦さんは病人のお世話が仕事だから、病人が無くなるたびに動揺して悲嘆にくれていたら、仕事は続けられないだろう。
    それと同じように、私の場合、妙ちくりんな出来事が日常茶飯事的に起きる。それにいちいちかかわりあって、その意味を穿鑿していたら、とても本業の原稿書きなどできない。
    ●顔で分かる(50頁)
    どうも私は、死期が近い人に会うと、その人の顔を見ただけで、それがわかってしまうようなのだ。もちろん、偶然の場合もある。だが、必ずしも、そうとは言い切れないケースが多々あるので悩んでいる。
    ●川端康成邸(64頁)
    初めて縁側から廊下を通って座敷に案内されたとき、一瞬、ぞくっとする感覚に襲われた。うまく表現するのは難しいが、なにかこう目に見えない人たちが、あちこちに潜んで、じっとこちらを凝視しているような感じがした。白い冷気が私の全身にまとわりついた。
    ●川端康成夫人の語る主人の自殺の原因(68頁)
    「あのときね、主人はかの子さんのことを書いていましたのよ。書きかけだったんです。原稿が。それを見ましたときにね、私はすぐにわかりましたよ。あっ、かの子さんに連れて行かれたって。かの子さんって、そういう方でした。主人はかの子さんが連れて行ったんです」
    ●三島の遺体を確認したのは(70頁)
    三島と川端の親交はよく知られている。私は後に石原慎太郎の『わが人生の時の人々』という本を読んで知ったのだが、三島が市谷の自衛隊総監部を襲って、バルコニーで演説をしてから自殺をした時、その直後に遺体を確認したのは川端康成だったそうだ。
    ●九年間同棲後結婚(139頁)
    九年間同棲したので、この先も大丈夫だろうと正式に結婚した。ところが、結婚してから藩年目に妻から離婚届けを突き付けられた。
    「同棲していた頃は精神的に自由で、愛があったけど、結婚したとたんに何かが変わったっていうんです。」
    (2011年10月13日・記)

  •  文章が上手い。
     作者の人生を描くエッセイとして面白い。怖いものを目当てとして読むとちょっと違うかも。
     霊との付き合い方。スタンスが面白いのではなく、この人の人との付き合い方のスタンスが面白いんだろうな。

  • ふむ

  • ミニコメント
    ノンフィクション作家の怪談実話エッセイ

    桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/book/528982

  • 霊が見える人の暮らし。最初から見える人には、それが普通で、それが日常。

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著者プロフィール

工藤美代子(くどう・みよこ)
昭和25(1950)年東京生まれ。ノンフィクション作家。旧チェコスロヴァキア・カレル大学を経て、同48年からカナダに移住し、バンクーバーのコロンビア・カレッジ卒業。『工藤写真館の昭和』で第13回講談社ノンフィクション賞受賞。そのほか『国母の気品 貞明皇后の生涯』『香淳皇后と激動の昭和』『美智子皇后の真実』『美智子さま その勁き声』など著書多数。

「2021年 『女性皇族の結婚とは何か』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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