そなえることは、へらすこと。

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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840143165

感想・レビュー・書評

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  • エッセー講座の先生の本。
    震災の年に出版され、生活物資の買い占めが社会問題になった。2年前の新型コロナの時にも同様の事が起こった。
    著者の三女さんが提唱する「いっしょに、困ろう」という考えに私は賛成する。

  • 図書館で出会う。
    すいすいと山本さんの日常を読めて楽しかった。
    夫婦ふたりだと朝の支度は7分でや、
    お昼は決まって「おそば」どちらかが茹で始めるなど、これは真似しようというものもありました。

  • 大好きな山本ふみこさんのエッセイ(とうとう頭冠に「大好きな」がついちゃったよ。ぷぷ。)
    いっぱい引用しました。
    まだまだ引用したいですよ。「いっしょに困る」とか「他人の幸せを喜ぶ=練習の積み重ね」とか。
    さつさつと、こつこつと台所仕事をし、生活をしながら山本さんが紡ぎ出す言葉に、いつも「はっ」とさせられます。

    今回は震災後初のエッセイ。
    山本さんのエッセイを読んだことがない人、山本さんを知らない人、
    肌が合わない人も、
    「はっ」となるんじゃないかな。
    そんな感じがします。

  • 山本ふみこさんの文章には、はっとさせられるものがいつもたくさんある。さっぱりと身の回りをととのえながら、それでもいろんなことにうんうんと悩んでいる山本さんの率直さが好ましい。以下、抜粋。

    「結果ばかりを追い求めるのは、うまくない。…と思う。うまくないといいより、てんでおもしろくない。(…)結果ばかりを考えない生き方とは?それは積み重ねを味わう、おもしろがる、というのに他ならない。もっと云えば、そうした過程のなかない待ち構えている“うまくゆかなさ”さえ、たいした贈りものなのだということもわかってくる」

  • 読み進めるのが楽しかったです。

  • この本を読んでからもう5年以上たつ。片付けやミニマリズムに関する本は、それなりに読んできて、右から左へ流れていってしまったような気がするけれど、この本のディテールが、今けっこう自分の暮らしの中にあることに気づく。

    たとえば、食器をすすぐ時の水はえんぴつの太さ程度でいい、ということ。つい習慣で蛇口をひねってしまい、かなり威勢のいい水流のもとで流してしまいがちで、かつ「どうせ集合住宅なのだから水道量はほぼ一定だし」などと思わずに、基本的に「あるものを大切につかう」という心がけのもとに使う。ものを大事にすることは「ケチ」ではなく、逆にこうした「ゆとり」があればこそ生まれるということがなあんとなく伝わってくる習慣だ。

    それから服にブラシをきちんとかけてほこりを落とすこと。服につく汚れのほとんどがほこりであり、それさえきちんと取っておけば、洗濯に使う洗剤の量、洗濯の頻度もずっと少なくて済む。洗濯をすることは繊維を荒らすことでもあるわけだから(だから着物はめったに洗わないでしょ)、これも「大切」意識のもとにある行為だ。

    こうした「大切」につながる「節約」から生まれた余裕のようなものを、著者はこんなふうに描く。

    「年をかさねるたびに、荷を持つことにためらいをおぼえるようになり、身軽がどんどん好きになってゆく。それは、暮らしそのものに対しても、同じだ。暮らしの身軽さが余地を生む。
    少し手を(からだを)空けておきたい。
    空けた手で、咄嗟のことに応じたい。
    空けた手で、できるだけ自分のことを自分でしたい。
    空けた手で、誰かの小さな助けをしたい。」

    この本、既に手放してしまったようなのだけれど、やっぱり手元に置いておきたいと思い直している。

  • 震災後買い物に行かなかった話とかいろいろと思い出した。もう9年目。

  • いそいそと読んでしまった、ちょっともったいなかったな。

    震災が起きて三日後の出来ごとからこの本は始まっていくんだけど、スーパーでも買占めが起きていて、それをみたふみこさんは買い物をやめてしまうんだよね。

    私はその買占めの様子を見たら急に不安になってしまって、恥ずかしながらその買占めに参加してしまった。(といっても牛乳一本余計に買っただけだけど)

    みんなが買い占めたら私の分が無くなっちゃう、テレビでも買い占めで商品がなくなるってやってる、だから私も、って。

    思い出すと、つまんないことしたなぁ。

    本当にモノがないのは東京じゃなかったのにね。

    私はこのエピソードがなぜだかぐさっとささって、読み終わっても残っていた。

    あの大きな流れの中でどうして自分を見失わずにいれたのだろう、すごいな、って。

    ふだんから物を多く持たない生活をしてきていたから、そう思えたのかな。



    そなえることは、へらすこと。



    この言葉は好きだ。

    普段の日常は必要なものだけなるべく最低限のものだけにしておけば、有事の際にもその心がきっと役に立つ、という意味なんだと受け取って大切にしようと思った。



    最低限とはちょっと違うけど、毎日お昼は蕎麦っていうのもなんかいいなと思った。

    毎日の献立を考えなくてもいいのか、同じものでもいいんだと気付けた。

    そうだよね、毎日ごちそうをつくるわけじゃないんだから、そんなふうにしたって家族がいいって言うならいいんだよな。

    家事の力の抜きどころを見た気がする。


    ふみこさんのこのシリーズはほんとに読みやすい、寝ぼけた頭でも読めてしまう。

    だからこそ、また今度はシャキッとしたときにも読み直すのが吉な本でもあるよう二思うので、そうしてみようかと思います。

    雨の日の朝に。

  • あ~らビックリ!
    これの前に読んだ『やさしい節電』鈴木孝夫著 と同じこと書いてある!

    ―― 一戸ずつ電気ガス水道を使い、ひとりずつ電気ガス水道を使う。これではエネルギーがいくらあっても、早晩足らなくもなろうし、それを満たすための無理が生じるのに決まっている(すでに、そうとう無理しているのだと思う)。

    ―― 祖父母がわたしに見せてくれた暮らしは、どこかゆるめに組まれていた。扉も窓も閉めきってはおらず、がっちり錠をかけるというふうでもない。

    ただし、鈴木氏は文系と理系を自在に行ったり来たりできる得意分野の広い学者風で、この山本氏はエッセイスト主婦。
    山本氏の方がより感覚的に書いてある。女性には読み易いと思う。

  • 最強につまらなかった。

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著者プロフィール

1958年北海道小樽市生まれ。随筆家。3人の娘を育て、食事をつくり、掃除に精を出し、市の教育委員として奔走し、一人暮らしの親を気にかけ、ときに原発に思いを巡らせ、夫婦喧嘩をし…日々を重ねる。『朝ごはんからはじまる』『まないた手帖』(ともに毎日新聞社)、『おとな時間の、つくりかた』(PHP文庫)、『暮らしと台所の歳時記――旬の野菜で感じる七十二候』(PHP研究所)、『こぎれい、こざっぱり』『台所から子どもたちへ』(ともにオレンジページ)ほか、著書多数。

「2016年 『家のしごと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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