スウィングガールズ【新装版】 (MF文庫 ダ・ヴィンチ や 2-1)
- メディアファクトリー (2011年12月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (295ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840143226
感想・レビュー・書評
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同名映画のノベライズ小説。監督自身が編集用のシノプシスに加筆、小説化した物なのでストーリーは映画作品のまま(笑)。スイングミュージカルの名作映画『ベニーグッドマン物語』や『グレンミラー物語』から有名なスチュエーションをオマージュとして本編にちりばめてあり、ミュージカル洋画ファンも思わずニヤける展開や細かな心理描写は画よりも文字の強みであり、ノベライズの真面目といえるでしょう。数少ない和製ミュージカル作品で、しかも女子高生とスウィングというミスマッチ感を非常に上手く扱い作品として昇華させた好例です。
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この作品も散々映画版で見ました。映画版では、なかなか解りづらい各キャラが思った事などは、小説版の方が理解しやすいです。まあラストの発表会のシーンは是非映画版をオススメします。
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夢中になれるものを見つけてハマる眩しさがたまりませんでした。
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まず本業の小説家には及ばないものの、映画監督である矢口史靖氏の文章力に敬服した。
本書は映画スイングガールズそのままのストーリーだが、映画の中ではカットされてしまっているのか唐突感のあったストーリーも、映像にない出来事や心理描写がされているため、ストーリーに入り込みやすい。
映像原作本を読むといつも思うが、映像は百聞は一見にしかずで状況描写力に優れ、文章にしきれないキャストの表情や微妙な所作が楽しめる。しかし映画には100~120分という尺があるため場面数に限界を感じる。
書籍では尺の枠は取り払われ、ストーリー展開の自由度がある。が状況描写は映像には敵わない。
本書は映画の副読本と捉え、映画を観てから本書を読み、改めて映画を観ると、楽しめるのではないか。
兎にも角にも書籍ではスイングガールズの演奏を聞くことはできないのだから。
内容的には小学生高学年の娘に丁度楽しめそう。 -
『ウォーターボーイズ』の女子版ということで、楽しめる青春物語という太鼓判つきの作品ですが、のっけからかなり濃い方言で会話が展開されるため、慣れるまでのしばらくの間は、とまどいながら読んでいきました。
東北の片田舎の落ちこぼれ女子高生たちがビッグバンドを始めるというギャップが引き立ちます。
全く演奏とは無縁の彼女たちの、野放図じみたサボリの日常から、楽器をにぎる状況に至るまでがまた大変。
女子たちののびのびとしたワイルドさと、真面目で内気な白一点の拓雄のコントラストが面白さを誘います。
自分の目先の利益や楽しみにしか興味がなかった彼女たちが、ふとしたきっかけで音楽と関わるようになって楽器に触れるようになり、演奏を通じて人と音を合わせていくといった初めての楽しみを覚えていく過程。
彼女たちのワクワク心躍るような気持ちが伝わってきます。
決して美しくまとめられておらず、バンドメンバーの弱さも小ずるさもあまさず書かれているからこそ、等身大の彼女たちの挑戦がまぶしく、応援したくなるのでしょう。
自己中心的、短絡的に日々を過ごしてきたのは、めいめいの「自分には何の取り得もない」という消極的な気持ちの反動だということが次第にわかってくると、なおさら一人一人へのいとしさが増してきます。
高校のお荷物のような存在だった彼女たちが、夢中になるものを見つけ、ひたむきに取り組むことで、周りの態度も次第に変わり、全てがいい方向に回り出す好作用。
人にとって、夢中になれることを見つけることが、どれほど大切なことかが伝わってきます。
合奏をしたことがある人なら、だれしもセッションが成功した時のキラキラした感動を体験しているもの。
彼女たちがもがきながらも甘酸っぱさ全開で頑張る姿を励ましながら、気がつけば自分も励まされているような気持ちになります。
自分に重ねながら、楽しく読み終えました。
気になる作中の方言ですが、作者のあとがきを読むと、米沢語とも言い切れない、存在しないもので、架空のスウィングガールズ語と言うべきものだとか。
キャッチフレーズの「ジャズやるべ!」は、正しくは「ジャズやっぺ!」(やんべ?)なんだとか。
ひとたび慣れると癖になりそうな味わい深い、素朴な効果が感じられるものでした。 -
映画になった本だと思ったら、映画のために書かれた本だった。ドタバタ劇だね。あまりにも安易で、映像ありき。
小説ではないなぁ