エムブリヲ奇譚 (幽ブックス)

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レビュー : 102
  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840145060

作品紹介・あらすじ

和泉蝋庵の旅に出ては必ず道に迷う奇妙な道中記。旅本作者と仲間たち湯煙の向こうに現れるのは極楽の温泉かこの世の地獄か。

感想・レビュー・書評

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  • まだ誰にも知られてない温泉を求めて旅をする和泉蝋庵と荷物持ちの耳彦を巡る9編の短編集。先ず装丁が凝られていて手元に置いておきたくなる造りが嬉しい。
    そして、内容は大切に残して置こうと思えるホラーというジャンルばかりに捉えられた物語を越えて、人のおどろおどろしさ、浅ましさ、儚さを曝した話がありながらも、人がもっている愛おしさに、切なさを掬いとって見せる話はやはり見事と言うしかないです。
    あと、蝋庵の迷い癖に呆れながらも付き添い育む2人の仲、掛け合いも気持ち良かった。
    乙一の作品も沢山読みたいけど…この作品のシリーズ化を希望してやまない。力を注いで欲しいです。お願いします。もっと読んでみたいです。

  •  迷い癖のある和泉蠟庵の浮世離れした美しい容貌と物言いが、物語を盛り上げる一方、耳彦のとても現実的でいい加減な暮らしぶりが旅先での出来事をますます怪しく感じさせます。

     どの話でも、人の本性・本能を思い知らされるけど、蠟庵の存在がそれを重たく感じさせなくて、とても読みやすかった。ほとんどが一気読みでしたが、読み終えたときはこういうのが読みたかったと強く感じました。やはり私は、黒乙一さんの方が好みだと思いました。

     この本は、装画も綺麗で装丁も凝っています。
     スピンは、作品の雰囲気とぴったり。嬉しくてニコニコしながら読んでいました。。ホラーなのに。

  • 趣味はたき火。に毎回笑いそうになるからやめろ。

    内容も好きだがなんといっても装丁!今話題の名久井さんが装丁だったのだが、栞紐も山本タカトの絵も遊び紙(だったかな?)も質感もすばらしい!装丁もよくないと、なかなかハードカバーは買いづらい。

    迷子癖のある旅本作者和泉蝋庵とのふしぎな道中の連作短編集。
    怪談風味だが、著者らしいコメディ要素がちょこちょこ入っているので、所々笑いをこらえるはめになった。楽しい思い出のない耳彦の呟きとか禿達磨とか。

    怪談話はゾッとするし、残虐的な描写もあるが、不遇に苦しめられる人間への愛が感じられるから、印象はやさしい。一番好きなのはやはり、最後の『「さあ、行こう」と少年が言った』かな。
    ……でも、私は蝋庵先生の道中にご一緒したくはないなあ。

    小豆ちゃん……(´;ω;`)ウッ

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「今話題の名久井さんが装丁」
      だから凄く気になっているのですが、怖いのはパスなので、、、
      でも「趣味はたき火」は面白そうだな。
      「今話題の名久井さんが装丁」
      だから凄く気になっているのですが、怖いのはパスなので、、、
      でも「趣味はたき火」は面白そうだな。
      2012/11/09
    • ミヅキさん
      グロ怖いので、耐性ないとけっこうきついですよ。。
      「趣味はたき火」は著者紹介にある一言です。この方割と有名な作家の別名義なので…ここにふざけ...
      グロ怖いので、耐性ないとけっこうきついですよ。。
      「趣味はたき火」は著者紹介にある一言です。この方割と有名な作家の別名義なので…ここにふざけ要因が見えちゃってるな、と。
      2012/11/17
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「耐性ないとけっこうきつい」
      うーーん、多分ダメだわ。。。
      「有名な作家の別名義」
      そうでしたか、、、「焚き火」で探せば遭遇したりして!
      「耐性ないとけっこうきつい」
      うーーん、多分ダメだわ。。。
      「有名な作家の別名義」
      そうでしたか、、、「焚き火」で探せば遭遇したりして!
      2012/11/22
  • 奇妙な場所に迷い込んでしまう癖を持つ旅本作者和泉蠟庵と荷物持ちとして旅に同行する耳彦が遭遇した不可思議な出来事を纏めた連作短編集。身の毛もよだつ不気味な話、人間の業の深さを感じさせられる心が痛くなる話、目頭が熱くなる切ない話、多様な色合いの話を堪能。山白さんの生み出す生み出す文章のリズム、独特の世界観に今回も魅せられました。

    ご本人のTwitterによると、これからもこのシリーズはまったりと続けていかれるとのこと。続編を楽しみにしています。

  • 知られざる温泉や古刹を求めて、旅本作者・和泉蠟庵は諸国を訪ね歩くが、予定通りに目的地へ着いた試しはない。その理由は蠟庵の凄まじい迷い癖。仲間とともに辿り着くのは、極楽の温泉かこの世の地獄か。

    乙一の山白朝子名では2作目。かつての「黒乙一」の系譜なのだろうけど、本作は切なさに磨きがかかったうえ、残虐さもユーモアも兼ね備えている連作短編集だった。読むそばから忘れるライトノベルには違いないが、このタッチは乙一らしい。
    (B)

  •  連作短編9つ。ひどい迷い癖を持つ和泉蠟庵と旅する耳彦。旅先で不思議なできごとに巻き込まれる。

     装丁が話の雰囲気に合ってます。栞の紐が3色の細い紐で珍しい。
    ラストの『「さあ、行こう」と少年が言った』で蠟庵の出生の秘密が語られています。
    『〆』はラストで、だからこのタイトルなのかと納得。

  • さすが、乙一。
    怖い話もあるが、どの話も切ない。
    特に、「ラピスラズリ幻想」は、何度読んでも胸を締め付けられる。

  • 乙一の真骨頂とでも言うべき、自分好みのドつぼ。相変わらず冴えてます。9作とも全部良かったなぁ。1作だけZOOの「SEVEN ROOMS」を彷彿させる怖いのがありましたが、それ程ホラー過ぎず近寄りやすいと思います。装丁も見事です。カバー下は黒字に金文字で、『道中旅鏡』をイメージしたものでしょうか。3本の極細スピンも作品の1篇のイメージ?これはいずれ文庫になるでしょうが、一度は単行本で手に取った方がオススメです。

  • あ~面白かった~
    いいねぇ迷い癖
    変な村に迷い出てしまう癖かぁ~

    初乙一別PN作品☆
    これはブラックでもホワイトでもないな~
    続編が出そうな予感大です
    なんだか読んでて『キノの旅』を思い出しちゃったな
    色々な村が出てくるしさ
    でもグロいとこは違うね~
    一気に読んでしまいました

  •  奇妙なほど迷い癖のある長髪の旅本作者・和泉蠟庵とその荷物持ち・耳彦の連作怪談短編集。
     内容も面白かったけど、装丁がすばらしいです。怖いというよりも、全体的に、ほんのり切ない話。でもときどき、蠟庵と耳彦のやり取りにクスっと笑えたりして。

    ■エムブリヲ奇譚
     耳彦が胎児を拾う話。
     他の短編でも書かれる、耳彦がいつも自分の情けなさを悔いるけど、でも心を入れ替えることができないでいる様子が妙に痛み入るのだった。

    ■ラピスラズリ幻想
     瑠璃を持ったまま何度も転生する女性の話。

    ■湯煙事変
     夜に入ってはいけないという温泉。
     そこで耳彦が、死んだはずの知り合いと出会う話。

    ■〆
     食材が全部人の顔に見える村の話。
     食べ物の見た目がどうあろうと命をもらっているのは同じはずなのに、人の顔に見えたら食べられなくなるものだ。
     これが一番怖かったっていうか、キモかった。。。

    ■あるはずのない橋
     ずっと前に崩れたはずの橋が現れる話。
     突然命を失った人間たちの悲しみ、憤りが、生きている人間への嫉妬となる。

    ■顔無し峠
     立ち寄った村の女が、耳彦を落石事故で死んだ夫だと勘違い(?)する話。

    ■地獄
     蠟庵と耳彦が山賊に襲われ、耳彦が囚われの身になる話。
     人間の干し肉が出てきて、読んだ前日に食ったビーフジャーキーを思い出してオエッとなった。

    ■櫛を拾ってはならぬ
     耳彦の代わりに蠟庵の旅に同行した青年が、櫛を拾ったことから災難に遭う話。
     ……それとも怪談好きすぎて、怪談になりたかったのか?

    ■「さあ、行こう」と少年が言った
     嫁ぎ先でひどくいじめられる女性が、幼い頃の蠟庵とおぼしき少年と出会う話。
     ラストが切ない余韻を残す。

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著者プロフィール

怪談専門誌『幽』で鮮烈デビュー。著著に『死者のための音楽』『エムブリヲ奇譚』『私の頭が、正常であったなら』がある。趣味はたき火。

「2019年 『私のサイクロプス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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