縮む世界でどう生き延びるか? (メディアファクトリー新書)
- メディアファクトリー (2013年2月28日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840149259
作品紹介・あらすじ
生物は常に「増えている」か「減っている」。それぞれに適した生き方があり、「幸せ」があるのだ-そう説くのは、前著で働かないアリの驚くべき存在意義を明かした気鋭の生物学者だ。「生」の見方が変わる愉快痛快な生物学第2弾。面白すぎる生物学。社会がわかり元気になれる。
感想・レビュー・書評
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前作が良かっただけに生煮え加減が目立つ。
いったい何が「縮んで」いるのか?そこをもっと考えると面白くなるかも。環境や資源に限界があるというが、昨今の低成長・景気後退は環境や資源の限界とはまったく別物だろう。
以下、本書に書かれていないが読みながら思ったこと
先進国を皮切りに人口は減少しだしている。ある意味ラッキーだが原因が判然としない。r−K選択というが、Kを環境収容力でなくて他のものに求められないか。社会的ニッチみたいなものとか、成長のlow hanging fruitsとか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
社会学については社会学者よりも生物学者に聞いた方がいいんじゃないだろうか。
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季節によって休眠から爆発的な拡大をする蜂の群れ。蟻のように弱いから数で圧倒するアリ。広大な隙間を埋めるには、数を急激に増やすのが効果的。
長生きするものが占め、飽和した環境で、新規参入の機会が少ない場所では生き残るには、大きい強いが最適ではないこともある。
丁寧に質の良い物をつくったほうが生き残れる。幸せになれる。 -
序章終章浮いてる、もっとユーモアに
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生物学入門の本としては一流、
経済を語る本としては五流。
「経済が発展することを前提に理論を打ち立てた」ひとなんていたっけ?
あと国家問題にも首を突っ込んでいるけれど、なんとチープな議論か。
適当に今後の生き方を語り、自己満足の思考をする自己啓発書として読むのがよいのではないかと。 -
世間は一時的にあべのみくすで浮かれてるけど、この先日本の人口が減り続けることには変わりはない。それでも経済的な幸福は追求したいなら、縮小均衡しながらも成長するという定義矛盾そのものみたいなことを志向しなきゃならないわけで、こりゃ相当なブレイクスルーが必要だぞ、何かヒントはないかと思って手に取ったのがこの本。
結果的にはやや期待外れだった。
経済が無限には拡大しないことの理由としてイノベーションの有限性が挙げられているけど、どうしてイノベーションが漸次的に起き難くなり効果も落ちると言えるのか理解に苦しむ。確かに技術革新の効用は一般に逓減するが、イノベーションとは限界効用の制約を打ち破るほどの大変革をいうので、もしそれが起きれば人々の生活は一変し確実に経済成長をもたらすはず。つまり「通常の技術革新」と「イノベーション」とは全く違う概念なのだが、この著者はこの点を理解せずに論を進めてしまっている。
また、「縮む世界=飽和した世界」には少死少産で小型のコロニーがより適していると説き、それ自体は納得できるのだが、現実には「縮む世界」と「膨らむ世界」が短期的に交互に現れるので話はそう単純ではない。「膨らむ世界=不安定な世界」で拡大を競い、大規模化した勢力が突然に「縮む世界」に直面したり、またその逆が起こったりして経済的に苦境がもたらされるのだけれど、そんな時生物の世界で何が起きているのかが知りたかった。また、「縮む世界」にあるコロニー(例えば日本)が適応したとして、「膨らむ世界」で支配的な立場に立つコロニーが現れた場合、本当に日本は影響を被ることなく我が道をのんびり歩めるのか。・・・等々、全般的に本書で採用されているモデルがやや単純すぎるような気がする(シリーズものみたいなので、この辺は自作に期待?)。
なお、日本の経済政策について「GDP総額が減ってもいいではないか、一人当たりGDPが減っていないなら」という旨の文章もあるが、購買力平価でみれば日本の一人当たりGDPの順位は下落している。結局「やっぱロハスでいいじゃん」的な安易な思想が本書に通底するのが一番残念だった。 -
生物全体に関わる進化の話を現在の世界の話と関連させているので理解しやすい書籍であった。
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実世界での経済行動への応用はさておき,形質置換やr-K選択など進化計算への応用の種に心揺さぶられる.
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生物学の見地から人間社会の行くべき道を描いた本かと思いきや、内容の90%は正面から生物学の話でヤラレタ感。だけど確かに僕たちはもっと別の角度から幸せとか社会とかを考えるべき時期なのだろう。上位・下位単位の捉え方とか、ヒトならではの国家と経済社会という所属の分裂の意味とか、どういう風に位置づけるかで解釈は変わってくるだろうけど、少なくとも必要な視点であることは間違いない。