新宿で85年、本を売るということ (メディアファクトリー新書)

著者 :
  • メディアファクトリー
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840151085

作品紹介・あらすじ

フロア面積1450坪、蔵書120万冊。1927年以来、同業者も憧れる意思ある店として、演劇人の登竜門たるホールとして、混沌の街・新宿から独自の文化を発信し続けてきた紀伊國屋新宿本店。「意思ある書店」の原点。

感想・レビュー・書評

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  • 今更だけど、紀伊國屋書店ってのはやっぱすごい本屋だわ。
    創業者の田辺茂一氏の魅力的な生き様も、日本の文化を担ってきた本屋としての歴史も、その強さもすべてが、なんというか圧倒的で。
    紀伊國屋で働いている人たちの「ここの社員である」という矜持にひれ伏しそうだ。

  • 紀伊國屋新宿本店。フロア面積1450坪、蔵書120万冊、1927年の創業以来、新宿から独自の文化を発信し続けてきた「意思ある書店」の原点を解き明かす。

    店名からして歴史を感じるも、本屋と言えばすぐに名前が出てきそうなほど身近で有名な紀伊國屋書店。日本のみならず海外にまで出店している。そんな隆盛を誇っている書店にはどんな原点があったのだろうか。そう思い本書を手に取った。
    この本の中で著者は、創業者である田辺茂一が本屋として成功した要因は「薪炭問屋であった家の資金と不動産」「利益率の高い洋書の輸入販売」「大学図書館を中心とする外商」にあると述べている。戦争の時代を経験しながらも本を売り続けるためにはやはり他とは違う要因があったのだ。さらに田辺茂一は「書店の風景が好きだ」と言っており、私はその言葉が印象に残った。自身が本好きなだけではなく、同じように本が好きな人間が嬉々として店に並んでいる数々の本を眺め、手に取る様子、その空間が好きだからこそ、どんな困難に見舞われても本屋を続ける意欲が消えることはなかったのである。
    今ではネットショップを運営したり電子書籍を扱ったりと、時代に合わせた業態を見せているが、日本屈指の本屋であり「本を探し求める人の最後の砦」として、これからも身近で頼れる書店であり続けてもらいたいと思った。

  • 紀伊国屋書店の新宿本店を中心にその歴史と関わった人たちの綴る。

    新宿本店には書店だけでなくホールも構え、演劇人の聖地となっている。紀伊国屋書店の発展には創業者の田辺茂一という、かなりぶっ飛んだ「文化人」の個性と、それを実務面で支えた松原治氏、2人の協力と絶妙なパランスがあったことが伺える。

    戦争を経験した世代による起業と軌跡は、「全てを失った」ところからのスタートであるだけに実にエネルギッシュだ。

  • 永江さんという書き手は前に「私は本屋が好きでした」という本を読んで好感を持っています。

    で、再び本について。そして日本の20世紀について?の本ということで、外れ無しですね。

    要は田辺茂一さんという創業者の伝記でもあり、でもそういうことだけではなくて紀伊国屋書店という会社の物語。

    私事ですが、郊外住みの中学生の頃に「都心」といえば沿線の都合で新宿であり、映画を見るのも新宿であり、紀伊国屋書店新宿本店は憧れの場所でした。スマホもネットもありはせぬ1980年代のことです。手塚治虫さんのサインを貰ったのも、初めて洋書を買ったのも紀伊国屋書店。初めての演劇はこまつ座で紀伊国屋ホール。渥美清さんの舞台挨拶を見たのは新宿松竹でした(紀伊国屋書店の真裏)。

    高度成長とか、バブルとか、色々環境がありますから。別段創業者が偉人だったとか思いませんが、少なくとも儲けようというだけではやっぱり、ああはならないんだな、という。

    そういう視点に立脚して、変に褒めずにでもそこに愛があって共感があって。そして紀伊国屋書店という「装置」への身をよじるような好感が匂い立つ文章。創業者亡きあとの書店の戦略部分も、海外のこととか、大阪のこととか、興味深かった。

  • そうだったんだ、紀伊国屋。実は最近紀伊国屋率(ポイントカードを出す回数が)が少しずつ高くなってる。

  • 紀伊國屋の現在にいたるまでをギュッと凝縮した一冊。

  • 2013年3月27日購入。
    2021年8月31日読了。

  • 紀伊国屋書店の創業から現在までについての変遷が書かれた本。
    紀伊国屋書店に関わる人々が魅力的。著者の推測で書かれている部分もあるけど、それも含めてとても興味深く、楽しく読んだ。紀伊国屋書店で働く人たちの思いも素敵だ。
    新宿紀伊国屋は一番お世話になっている本屋さん。これを読んで、ますます愛着がわく。

  • この本を読んでいると紀伊國屋の本店に行きたくなるから不思議だ。永江さんの紀伊國屋書店への愛着が伝わってくる。自分の仕事である大学図書館を主要な顧客として据えたことが発展の大きな礎になったという。いい時代だったんだなと思う。

  • 大好きな本屋の本。

    創業の当時から電子書籍の時代まで、新宿紀伊国屋の奇跡を描いている。‘新宿”という文化、書店経営、田辺茂一という人まで、内容は多岐に渡る。新宿紀伊国屋が好きな人が書いたんだなという感じが伝わってきて、非常に共感が持てる。引用がやたら多いのはご愛嬌。
    中村屋、伊勢丹、高野と並ぶ新宿のランドマーク。ただ目立つだけでなく、意味と役割が調和したお店っていうのは素晴らしい。

    新宿紀伊国屋本店で購入。

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著者プロフィール

1958年生まれ。ライター。書籍輸入販売会社のニューアート西武(アールヴィヴァン)を経て、フリーの編集者兼ライターに。90~93年、「宝島」「別冊宝島」編集部に在籍。その後はライター専業。「アサヒ芸能」「週刊朝日」「週刊エコノミスト」などで連載をもつ。ラジオ「ナルミッツ!!! 永江朗ニューブックワールド」(HBC)、「ラジオ深夜便 やっぱり本が好き」(NHK第一)に出演。
おもな著書に『インタビュー術!』(講談社現代新書)、『本を読むということ』(河出文庫)、『筑摩書房 それからの40年』(筑摩選書)、『「本が売れない」というけれど』(ポプラ新書)、『小さな出版社のつくり方』(猿江商会)など。

「2019年 『私は本屋が好きでした』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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