怪談短歌入門 怖いお話、うたいましょう (幽BOOKS)

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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840154291

作品紹介・あらすじ

twitterでさえずられた「怖い短歌」を三人の女性歌人が語りつくす!

感想・レビュー・書評

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  • twitterの怪談短歌コンテスト優秀作品とその選評。ほんの短い言葉の中で表されるさまざまな恐怖を、少しずつじっくりと味わうのにふさわしい一冊です。あまりあからさまでなく見えそうで見えない情景、もツボかも。
    お気に入りの句は「ひたひたひた」だなあ。ものすごく単純なのにものすごく怖い! あと、「宝くじ」も好き。これはユーモラスでもあるし。

  • 絶え間なくうごくマスクの奥に口ほんたうにいい一生だつた
     山川藍天

     今年は「怪談短歌」が話題を集めた。ネーミングは最近のものだが、たとえば近代にも、どこか不気味な、ひんやりした静かさを感じさせる歌はあった。

      めん鶏ら砂あび居たれひつそりと剃刀研人【かみそりとぎ】は過ぎ行きにけり
      斎藤茂吉

     そんな幻想的な「怖い」短歌を、怪談雑誌がイベントとして募ったところ、1600首以上もの投稿があったという。今をときめく「怪談短歌三姉妹」が選をした合評記録も本になり、興味深く読んだ。
     「三姉妹」の1人、東直子が選んだ歌の中より。

      南瓜の切らるる前にくぅと泣くあれは友達だったのだろうか
       込宮 宴

     佐藤弓生が選んだ歌から一首。

      木が風を作り出そうと揺れ始む 散歩をしてはいけない夜だ
       堀まり彗

     どちらとも、擬人化の手法で歌われている。「南瓜」や「木」を、意思ある人間のようにとらえた瞬間、読者の想像力がかきたてられるのだ。意識していなかったものがふいに視野に入ってくることで、感性が揺さぶられるのだろう。
     掲出歌は、石川美南が選んだ歌より。「マスクの奥」に当然「口」はあるのだが、言われて初めて「口」の映像が迫ってくる。そこで発せられたのも、不穏な言葉や呪いではなく、「ほんたうにいい一生だつた」という歴史的仮名遣いでのつぶやき。彼岸を渡る間際の声のようで、物語性が濃厚だ。
     怪談短歌は、生を思いがけない角度から喚起させるところが魅力かもしれない。

    (2013年12月15日掲載)
     年内はこれで終了です。また来年、引き続き書かせていただきます!

  • 短歌自体はちょっと微妙。「悪夢から目覚めてママに泣きつけばねんねんころりあたまがころり」は、えっこれが大賞? って感じ。
    面白いな~と思ったのは「独り身の遅れた春に野天湯で舌の冷たい女と浸かる」と、「僕の名のすぐあとに君の名があった黄ばんだ貸出カードすべてに」。

    一口に怪談と言っても色々あるけれど、この本に書かれている怪談短歌は「日常が侵される怖さ」と「風景・人物・物体の奇妙さ(怖さ)」を、それぞれ表現するものに別れると思う。「僕の名のすぐあとに君の名があった」は日常系で、「独り身の遅れた春に野天湯で」は奇妙系、というように。
    31文字で怪談を作る(=怖さをつめ込む)とすれば、誰でも共感できる、イメージしやすい怖さになるのは自然な流れ。とすると上記の怖さに二極化するのは仕方ないのかも。
    また、この二つを合わせた怖い短歌もある。「父さんがタンシンフニンしたという シチューの肉がそっと震える」は、肉の震える描写の奇妙さと日常が壊される怖さとがミックスされている。

    選者の人も言っていたけれど、怖い短歌より怖い俳句の方がいいかもしれない。怪談はなにより助長でグダグダするのが命取りだと思う。

    あと、この本そのものはさておき、小鳥が集まっているこの装丁がなんだか不気味で、でも可愛くってすごく気に入ってる。

  • 図書館で見つけて、タイトルが気になって読んでみました。さらっと読んだだけで熟読はしてないですが、印象に残ったものをいくつか。

    「鈴ほどの背丈になったわが母がかじった場所から腐ってゆきます」
    「ぼくのためだといいながら涙するママはきれいだどんな人より」
    「ふつふつと刺されることを受け入れてピンクッションは形を変える」

    ぼんやりと恐怖感を刺激されます。

  • 図書館で見つけて『怪談』と『短歌』という
    二つの言葉が頭の中で繋がらない感じが面白かったので
    借りてみた。

    Twitter上で2回行なわれた「怪談短歌」募集企画の
    コンテストの選考会の内容を本にしたもの。
    選者は東 直子さん、佐藤弓生さん、石川美南さん。

    Twitterやったことないので知らなかったけど、
    面白いことしてたんだな~


    第一回 東 直子賞大賞の
    「悪夢から目覚めてママに泣きつけばねんねんころり
    頭がころり」にいきなりビビる。

    そのあと佳作の
    「あやとりの指絡み合う 押入れに誰にも言えぬ
    友だちはいて」

    「ずっと手をつないでいても踏切の途中でいつも
    体が消える」

    こんな世界があったんだ。
    よくある怖い話を短歌にしたものや、残酷なモチーフを
    並べただけだとつまらなくなったりするのが
    奥が深い。


    一番好きなのは石川美南賞・次点の

    「呼ぶ声を聞いて何度もふりかえる
    長い階段だなあと思う」

    怖いというより不思議な作品だけど
    終わらない時の螺旋に入りこんだような、
    気付いてしまうと途端に怖くなる危うい感じが好き。

    短歌の活字にも凝っていていいです。
    あっという間でした。面白かった。

  • 短い故にもやもやじわじわとぞくぞく。
    「怖い俳句」も読まねば!

  • Twitter怪談短歌コンテスト(2012、13年)の入選作と講評・座談会を収録。短歌+掌編小説の構成による「うたう百物語」はやや冗長に思え、「怖い俳句」の紹介作品と比べて怖い短歌には迫力が薄いのではないかと感じていたが、本作に紹介された上位入賞作を見ると、短歌というスタイルでもなかなか味わいのある怖さが表現できるものだと感じた。末尾に紹介されている中井英夫「黒衣の短歌史」を読んでみたい。

  • 短歌は穂村さん関係でしか馴染みがないけど何かで怪談短歌を知って本書を借りた。初心者には短歌の量もほどよいし、解説もあるので読みやすかった。怪談短歌のちょっと不気味な感じが気に入った。

  • 試みとしては面白かったです。東さん、ふっくらされました?☺︎短歌でゾワッとするのもいいけれど、やっぱり怪談は物語が好きσ(^-^;)

  • 短歌の余韻が味わい深くて、通常の恐怖小説や怪談とは違う体験ができました。
    もっとこういう本があればなぁ…

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著者プロフィール

東直子

一九六三年、広島県生まれ。歌集に『青卵』『十階』『春原さんのリコーダー』など。二〇〇六年に『長崎くんの指』(文庫『水銀灯が消えるまで』)で小説デビューし、以後、『とりつくしま』『さようなら窓』『薬屋のタバサ』『晴れ女の耳』ほか多数の小説作品、またエッセイ集『千年ごはん』『短歌の不思議』『七つ空、二つ水』、絵本『ゆき ふふふ』など著書多数。穂村弘との共著に『回転ドアは、順番に』『しびれる短歌』などがある。そのほか、脚本、朗読、イラストレーションなど幅広く活動。一九九六年、「草かんむりの訪問者」で第七回歌壇賞、二〇一六年、『いとの森の家』で第三一回坪田譲治文学賞を受賞。

「2019年 『愛のうた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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