- Amazon.co.jp ・本 (391ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840200011
感想・レビュー・書評
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この本自体は1997年。
くだけた文体にしっかりした内容のギャップに驚くが、最新の見解をぜひ聞いてい見たいと思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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クルーグマン教授の経済入門
概要を抑える分には非常に有効だと思われる。
インフレと失業率、所得配分、日本とアメリカの関係、年金問題や医療制度、低迷する日本経済の根本的な原因など、
話は多岐に渡るが、どれも非常に分かりやすく理解しやすい。
本書の端々で日本の厚生省の優秀さや、輸出入に対する戦略の巧妙さを、評価する記述があった。
医療費について言えば、日本は世界でも低水準な国らしい。にも関わらず世界一の長寿国。
世界から見ればその設計をした厚生省は非常に優秀であったと見える。
当時の日本は巨額の貿易黒字国。
大陸の隅っこの小さくて資源が少ない島国は、企業に恵まれた。
トヨタ、ソニーを筆頭に、日本メーカーは高品質な商品を世界で売りまくった。
品質は世界トップの水準で、今までにない、人が望むものを創造していた。
鉄の棒が車になり、walkmanになり、結果貿易黒字となった。
日本という国は、輸入と輸出のバランスが他国と比べて全然違ったんだとか。
「日本の経済規模で、輸出がこれだけあれば、このくらいは輸入しているだろう」という概算を遥かに超えて、輸出が多かった。
グルーグマンは、これを政府の戦略だと言っているが、本当に意図したものだったのだろうか。
私は、それは国の性質によるものだったのではないかと思う。
世界のどの国も、その国の色というものがある。
例えば、アメリカで生まれ育った人は、民主主義と資本主義を重んじ、北朝鮮のような独裁的で閉鎖的な国に強い違和感を感じるかもしれない。
北朝鮮で生まれ育った人は、国家主席を敬い、排他的だが、仲間意識や団結力が他国より高いかもしれない。
では日本で生まれた人はどのような性質を持つのか。
どの国より貯蓄率が高く、誠実、控え目で仲間意識が強い。
企業であっても同じことが言える。
資源が限られた中で、切りつめて、工夫して、洗練していったのが日本の伝統的なメーカーの在り方ではなかっただろうか。
外国の既存企業など到底及び付かないほどの価格競争力を高め、それだけでなく世界と渡り合うために異常なまでに完璧さを追求してきたのではないか。
だから、輸入が少なくても、輸出が多すぎても、そんなもの政府の戦略でもなんでもない。
外からでは想像すらできないような、日本を支える企業の努力が、世界平均なんかと比較すると異常値であった。
ただそれだけのこと、と思うのであった。
参考までに、日本人の性質に対するICU副学長の見解。
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0727&f=national_0727_129.shtml
外国企業の日本進出の話。
今日、多くの外資企業が日本で商売をしている。
日本の経済規模(世界第3位。当時は2位)ほどあれば、それは当然。
コカコーラ、P&G、マック、みんな日本各地でお目にかかれる。
だが、これらは割と稀な成功例。
日本で外国企業が商売をしようとするとき、
最も攻略が難しく、最もその存在に気付きづらい問題がある。
それは、「しがらみ」とか、「空気」とかそういうもの。
ドメスティック率なる指標があったとすれば、世界でもTOP10に入るんじゃないか。
ここまで発展を遂げて、そういられるのは、ある意味すごい。
どういうことか。
日本人は日本人と商売をする。ということ。
日本人は日本企業のものを買う、ということ。
フォードやGMの車はちょっと。それより今だったらプリウス、一昔前ならスカイライン?
韓国のヒュンダイや中国車の購入には抵抗がある。例え品質が高くて価格が低くても。
特に薬などは、どんなに安くて良い薬を作っている企業であっても、
私であれば、ガイシケイファーマスーティカル的な外国企業の薬より、大塚製薬やなんかを選ぶ。
企業の間でもこんな感じはあって、外国企業が日本に参入する際、
「あれ、こんなはずでは」と思うのだ。
賄賂とかそういうことじゃなくて、国民性。
政府主導で、「外資系と取引しちゃあかん」と言っているわけがない。
欧米の企業は、だから日本政府を疑ったこともあったようで、
「政府が日本人の雇用を守るために規制しているから、俺たちは商売に失敗した」という具合に。
そう言いたくなる気持ちはわかる。
医療制度の話。
面白かった。
アメリカの医療費は世界一高い。
高齢者が増え、米政府が彼らに支払う補助金は、もちろん税金で賄われるわけだが、尋常じゃないくらい大きくなっていた。
高額な医療は、保険の値段を高くする。
その結果保険に入れない人が出てきてしまった。
彼らに対する救済もしなきゃいけないし、高齢者は増え続けるし、財政赤字の主役になりつつあった。
一方で、日本はうまくやっていた。
医療費は世界水準で見ても安い方だし、なにより世界一の長寿国。
WHOからも最高の評価を受けている。(出典wikipedia-診療報酬)
グルーグマンは、医療報酬制度がうまいことやってる、という見解だ。
医療報酬制度とは、初診270点、点滴95点など、医者や看護師の仕事に点数を付けて、
その点数でもって医療費を算出する制度のこと。病院のレシートを見れば書いてある。
今はこの制度についても議論の余地が多々あるし、状況は変わったが、世界的に見ても日本の医療は比較的成功に近いケース。
こんな背景があって、グルーグマンは「さすが厚生省」と言っている。
面白い話というのは、厚生省云々ではなく、アメリカの医療保険の話。
2つある。
1つ目は患者と医師と保険会社の話。
アメリカの保険会社は、医師と患者両方と契約を結んでいる。
例えば。
患者はA社の保険に入っている。
A社の保険はT先生の医療行為に対して保障の対象とするが、X先生の医療行為は保障対象外としている。
保険によってかかることができる医師とそうでない医師が存在するのだ。
ということは、手術成功率90%のT先生と50%のX先生の保険料ってだいぶ違うはず。
超実力社会。
日本では、医者の評判なんてたいして分からないし、事前に確認する術も口コミくらい?
透明性高いのは良いことだと思うけど、どんなもんなんでしょう。
2つ目は高額医療費の話。
アメリカの医療費は世界一と書いた。
盲腸の手術をして1日入院した場合、東京では40万円くらい。
保険適用されて、実際我々が払うのは10万円くらいか。
一方、ニューヨークでは250万円。
250万?!
ちょ、やりすぎでは。。
尋常じゃないくらい高い。
何故こんなことになっているのか。
過誤保障と保険の仕組みが、この原因と言われているようだ。
過誤とは、言うたら誤診のこと。
非常にデリケートな話になるが、
医師の診断が誤りで、あるいは手術に失敗して、
障害が残る、亡くなってしまう、という医療事故は少なくない。
確か医師の診察が正しい可能性は90%と聞いたことがある。
ということは誤診率は10%くらいだ。割と高い。
アメリカは訴訟の国だ。
日本でも当然医療事故に対しての訴訟はあるが、アメリカと比べればまだ発展途上。
さて、アメリカでは医師は常に莫大な請求が来る立ち場にある。
当然医師も自分たちの身を守るための保険に加入する。それがまた高い。
患者は病気になった時に支払う高額医療費のために保険に入り、
医師は診断ミスが招く破滅的な高額請求のために保険に入る。
システムとしてどうかと思うが、双方の道理は通っている。
何もしなければ悪化するのだから、構造を最適化する必要はある。
システムに問題があるのであれば構造改革で解決可能な可能性はあるが、
高齢化が原因だとしたら、完治はしない。
事象と問題を一緒にしてはならない。
高齢化を失くす方法は2つしかない。
1つは子供を増やすこと。
残りは老人を減らすこと。
こんな議論できるわけがないのだ。 -
経済学の教科書というよりは入門解説書。わかりやすいんだとは思うが、ちょっと昔のアメリカの経済を主体に書いてあるので、すんなり理解できないところもある。
住友商事の銅先物取引事件。
日本経済は流動性の罠にはまっている? -
すごいわかりやすく書いてあるんだろうけどちゃんと理解できてない。もっかい読む。
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すごいわかりやすく書いてあるんだろうけどちゃんと理解できてない。もっかい読む。
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これから熟読予定
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貿易赤字なんてどうでもいい。
輸入と輸入で日本は米国でえらい対立をし、
アメリカはそれによって不利益を蒙っている。
国内に多くの失業者がでた。
そんなことは全然関係なく、米国では失業者がそもそも出ますよ。
逆にしても同じです。
と著者は言う。
それは、先進国でも、この二国が貿易によって作り出す外需はせいぜい一割に届くか届かないかの世界だということ。
国内で消費するものが大半であり、
失業者の増加は、国内需要の低下による、調整なのだ。
生産性と失業率に注目して本著の話は展開されていく。
所得を決めるのは生産性だ。
断言されるが、確かに本著を読めば納得の内容だ。 -
in 08/08/25
out 08/09/16