- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840209441
感想・レビュー・書評
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初めて読んだ当時はイマジネーターの意味が理解できずにいたけど、今は腑に落ちる。心とは何か、その欠落は埋まるのか、とか深いテーマもあるけれど、前作に引き続いて恋愛が大きな役目を果たしていて、青春小説としても味わい深いのがいい。正樹と綺が相手のために能動的に行動していくところは、イマジネーターから言われて動かされていた仁と対比になっていてよかった。未来ばかり見ているから、自分だけが可能性だと思っているから、足元をすくわれるという話も胸に刺さる。
ちょうど最近「見かけはもっともらしい理屈の姿をして、人に考えさせないようにしてるシステムって社会にあるよね」ってことを考えていたので、タイムリーな話でもあった。自分では考えてるつもりで、与えられた正しいとされる答えに沿って生きてるだけ、というような。作中でブギーポップが触れてるけど、社会に適応していることは結局そういうことで、その不自由な精神の中で何を大切にしたいのか、何を望むのかってところが肝心なんだろうね。そして、その意志が人を繋いで、心を形作る。
あと、霧間誠一のこの言葉も好き。
「自分は正しいか、と自問するより、自分のどこが間違っているのかと考える方がずっと事実に近いはずだ、ほとんどの人間はいつでも正しいことはできていない」
社会では正しさばかり求められ、主張や行動する時は完璧でなければいけない、みたいな風潮がある。相手が間違いを起こせば、正論と机上の理屈で責めて終わりの正義中毒。でも、実は間違っていることを前提にした方が建設的になれるのではと感じられた言葉だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「ブギーポップ」シリーズの第3弾であり、「イマジネーター」編の後編です。
スプーキーEの配下として活動していた織機綺(おりはた・あや)は、深陽学園にやってきた帰国子女の谷口正樹(たにぐち・まさき)に出会います。彼女に恋心をいだいた正樹との交流を通して、彼女はしだいに心を動かされていくことになります。しかしスプーキーEは、正樹の想いを利用してブギーポップをおびき寄せようと考えます。さらに飛鳥井仁の親戚で彼のことを慕う衣川琴絵(きぬがわ・ことえ)も、スプーキーEに心をあやつられますが、そのことが伏線となって飛鳥井とスプーキーEが接触することになります。
正樹と綺が出会うシーンが何度も語りなおされ、その場所で同時に進行していたべつのドラマがすこしずつ明らかにされます。そして、これらの複数のストーリーがやがてひとつにまとまり、結末を迎えることになります。多少ぎこちなさを感じるところもありましたが、よく練られた構成だと感じます。 -
きたないはきれい
で
きれいはきたない
が言いたかった事なんだとしたらしっくりきたな。
心は他者と交わる事で変化するので、不足に手を加えてもすぐに元に戻る、あるいは変化してしまう。 -
ボーイズアンドガールズみたいなお話。
心の欠落を接木のように埋めることが出来れば話は簡単だよね、と。
そして統和機構の話は本当に長いよなぁ… -
あ、面白い!よくできている!PART1読んだときはどうしようかと思ったがこれならまた続きを読んでもいいかもしれない。買ってこなきゃ
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面白いとは思うが、なにか物足りない。
『ライトノベルに大きな影響を与えたシリーズ』であるらしいため、恐らく他の作品から参考にされすぎて目新しさを感じられないからかも。 -
交流と無意識と順応、とかは関係なく、女の子と一緒にいるために頑張る男の子の話。ブギーポップシリーズ第二弾part2。再読。世界を作り変えようとするイマジネーター組、イマジネーターたちとは別に世界を監視する統和機構、事件に翻弄される者たち、普通でありながら友達の為に事件と相対する者たち、奇異な位置から事件の解決を図る凪やブギーポップたちと視点が転々と移り変わる上、説明も抽象的な比喩が多く全体像を掴もうとすると疲れる。前述した王道的な青春ストーリーを基軸として読んだケド飛鳥井先生たちの視点の物語も感慨深いものがある。ナイトウォッチ三部作を読むとまた違った読み方が出来るのだろうか
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