キーリIII 惑星へ往く囚人たち (電撃文庫 か 10-3)

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  • メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840224352

作品紹介・あらすじ

"砂の海を渡る船"を降りたキーリと「不死人」ハーヴェイそしてラジオの憑依霊・兵長は、炭鉱の街に住むことに…。キーリは初めてのアルバイト生活を楽しんでいたが、ハーヴェイはほとんどの時間をアパートの部屋で過ごしていた。ある朝、アルバイトに出かけるキーリを狙うかのように、上の階からフォークが落ちてきた。なんとか防いだハーヴェイは、フォークを落とした張本人の部屋に向かう。しかし、そこは空き部屋になっていて-!?第9回電撃ゲーム小説大賞大賞受賞作、第3弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「砂の海」をわたったキーリたちは、炭鉱の町での生活をはじめます。キーリは、「バズ&スーズィーズ・カフェ」でアルバイトし、ハーヴェイはこの町で情報屋をしている旧知の不死人ベアトリクスのもとを訪れます。

    ベアトリクスは、ハーヴェイやヨアヒムら不死人を率いていたユドという男のゆくえにかんする情報を手に入れます。それは、ユドらしい不死人が12年前に捕らえられ、首都に連行されたというものでした。その一方でベアトリクスは、不死人であるハーヴェイにキーリの人生を巻き込むことは、彼女を不幸にすると告げます。

    そんななかハーヴェイは、首都にある教会の研究施設(ラボ)で不死人たちをあつかっていたという片眼鏡(モノクル)の男・ダニールにさそい出され、彼の暮らす墜落した宇宙船にやってきます。そこで彼は、教会がラボで「核」の模造品をつくろうとしていることを知ります。

    宇宙船を抜け出したハーヴェイは、キーリをベアトリクスに預け、一人でユドを探しに首都の機械都市に出かけることを決意します。

    前半は、バズ&スーズィーズ・カフェやキーリたちの暮らすアパートで起こる心霊現象が中心の物語、後半は、宇宙船に暮らすマッド・サイエンティストの登場するSF的な物語になっていますが、このシリーズの独特の雰囲気の中でテンポのちがいがうまく中和されています。

  • ベッカ!!!!!!!ベッカー!!!!!!!と泣き叫んだことについては、誤解だったのでもう触れないで。

    見開きカラーの漫画にドキッとした人もいるはず。遂に同棲です、本当にありがとうございます。ハーキリ最高です。
    三巻ともなればそろそろくっつく…ように見えて、前の女(ベアトリクス)が出てきたりハーヴェイとキーリが喧嘩したり、不死人なのに殺されそうになったり(いつも通り)、そして最後はまさかのハーヴェイ一人立ちでした。本当にこのくそやろう。
    最初はなんだこの女!!!!!!!と思ったが最後にはビーめっちゃ好き、と懐柔されること間違いなしの不死人いい人祭り。
    ハーヴェイが相変わらずキーリに執着しすぎてニヤニヤできます。最後には本当にこのくそやろうだけど。
    残念ですがこの巻ではくっつきません、続きを買いましょう。

  • 2巻が古本屋に売ってなかったから飛んで3巻。
    キーリが成長している……と同時に、ハーヴェイも成長していました。

    アニメ化しないかなあ

  • ついにライバル登場か…!?笑

    ベアトリクス姉さんも素敵だけどね。


    そしてまたハーヴェイに置いてかれるキーリ…(;_;)
    続きが気になります。

  • キーリⅢ 惑星へ往く囚人たち

    “砂の海を渡る船”を降りたキーリと〈不死人〉ハーヴェイそしてラジオの憑依霊・兵長は、炭鉱の街に住むことに……。キーリは初めてのアルバイト生活を楽しんでいたが、ハーヴェイはほとんどの時間をアパートの部屋で過ごしていた。
    ある朝、アルバイトに出かけるキーリを狙うかのように、上の階からフォークが落ちてきた。なんとか防いだハーヴェイは、フォークを落とした張本人の部屋に向かう。しかし、そこは空き部屋になっていてーー!?
    第9回電撃ゲーム小説大賞〈大賞〉受賞作、第3弾!


    ***


    今回もハーヴェイは痛い目にあいます。ていうか命の危機?
    キーリは階段から突き落とされたり暴走宇宙船から落とされたりと、なんだか落とされまくりです。

    今回のお話は旅ではなく定住。つーかハーヴェイって部屋借りれたんだ…。
    というかキーリにアルバイトさせておいて自分は家でだらだらとか、それヒモとかいうやつですやん。駄目人間ですやん←
    しかもキーリに内緒で美女と密会なんて…ねぇ?

    あながち間違ってない解釈なのが怖いな…。

    まあ彼は賭けで生活費を稼いでましたし(それはそれで駄目な気もしますが)、密会にも訳がありましたし。しかもキーリのこと思っての行動だったし。
    ですがそれですれ違うのはもはや定番ですね!


    作中でおそらくハーヴェイの〈核〉がぱきっとかいいましたが、不死人て核をどうこうすれば普通に死ねるのでは?
    でも取った核を別の死体に埋め込んだら爆発したとか言ってたので、個人個人で違うのかなぁ。
    それとも不死人が核に適応するように造られてるとか。どうも不死人イコール人造人間説が頭から離れません。

    つーかもしキーリに何かあったら不死人にするだろうとか狂気的なこと考えてたハーヴェイさん素敵!もはや既に依存状態じゃないですかうきうき!←

    そういや今回女性の不死人が登場するのですが、ハーヴェイに似ているというよりかは(外見は)ベッカを大きくした感じ。
    でもスーズィーに何処と無く似てると言われていたし、ベアトリクス自身も認めていたので、なんだろう、生き様みたいなのが似るんだろうか。似た境遇同士で。

    ベアトリクスに言われたからか、自分がキーリにしてしまったことの重大さを考えたのか、ハーヴェイはある結論を出します。
    明らかにキーリ泣くと思うのね。悲しむと思うんだよね。でもなんか帰ってくる気はあるみたいで、壮大な家出計画みたいな、そんなかんじなんでしょうか。

    その間キーリどうすんのかな…ベアトリクスが面倒見るのかな。
    なんだかんだで上手くやっていけそうな二人な気はするのです。

    ていうかベッカに似てる理由はあるのかなぁ。どうなんだろうか。

    ちょちょいと不死人についてもわかってきたり、知らずに離れ離れになってみたりな今後が気になるよ☆5!

  • ハーヴェイと兵長の掛け合いが好きだったなぁ
    それにしてもこの絵師さんすごい勢いで絵が劣化したように思うんですがそんなことはないですか

  •  今回は旅ではなく、街に住む話。
     旅をしていようが同居して住んでいようが二人(と一体)のテンションには一見違いはないですが、「普通の暮らし」をすることで、二人の間にある考えの違いが明確になってきます。考えの違いというよりは、理想と現実の溝を思い知らされて二人ともどうしたらいいか分からない、という感じかも。

     一つ所に留まって、親のように優しい人に出会い、アルバイトもして、心のどこかで「ずっとこのままでいたい」と思っているキーリ。
     そんなキーリを「普通の女の子」だと言って、なんとか「普通の暮らし」に帰してやりたいと思う反面、彼女への執着が抜けないハーヴェイ。
     お互いにその素直な気持ちを言えないものだから、今作ではすれちがいがちで、別行動がとかく多いです。

     今作は特に、ハーヴェイの「執着」を軸に読んでいくと、話全体が、もの・ひとに対する執着をテーマに書いているのだな、というのが浮かんできます。
     中でも、「ホーンテッド・スターシップ」のダニールと妹の関係に、自分とキーリを重ねるハーヴェイが印象的でした。

     そして、長期的な目的もない旅の話が、この巻から明確な目的意識を持って動き始めます。
     今作は、その意味では繋ぎという位置付けなのでしょう。

    "Let us go home"
     章タイトルであり、クライマックスで繰り返されるこの言葉を信じて、完結まで読んでいこうと思います。

  • 図書館で。
    壁井さんの文章に慣れてきたかも。読みやすかったです。
    ベアトリクス登場。
    時間も期待します。

  • キーリと不死人とラジオの憑依霊の旅第3作

    読了日:2007.08.17
    分 類:中編
    ページ:299P
    価 格:550円
    発行日:2003年8月発行
    出版社:電撃文庫
    評 定:★★★+


    ●作品データ●
    ----------------------------
    主人公 : キーリ
    語り口 : 3人称
    ジャンル: ライトノベル
    対 象 : ヤングアダルト向け
    雰囲気 : 異世界、暗め、退廃的
    結 末 : つづく
    イラスト:田上 俊介
    デザイン:Yoshihiko Kamabe
    ---------------------------

    ---【100字紹介】----------------------
    「砂の海を渡る船」を降りたキーリと<不死人>ハーヴェイ、
    そしてラジオの憑依霊・兵長は、炭鉱の街に住むことに。
    この街に留まる理由は知らないまま、
    キーリは初めてのアルバイト生活を楽しむが…シリーズ第3作。
    -----------------------------------------

    「キーリ」第3作です。って、書かなくても表題から明らかですが。

    舞台は異世界、というか異惑星。
    今回のプロローグで、謎だったこの惑星の位置づけがまた少し、分かりました。なるほど、それでこの副題なのですね。「惑星へ往く囚人たち」。そしてそれが後半に絡んでくるのは、うん、綺麗な構成ですね。

    前作で砂の海を渡り、新しい土地へやってきたキーリ、<不死人>ハーヴェイ、ラジオに憑依する戦死兵の霊・兵長。第1巻・列車旅、第2巻・船旅ときて、第3巻は何で旅するかと思ったら…、しばらく定住!でした。こういう旅ものファンタジーでは珍しくて、予期せぬ展開でしたよ、菜の花としては。

    ちょっと平和、でも安穏とまではいえない、というところがまた、彼ららしいです。

    構成としては、今までの章ごとの独立性というか、連作短編的な部分が少し緩和されて、長編風の趣が出てきました。

    そして、キャラですよ、新キャラ登場ですよー。多分、超重要キャラとも言うべきお方登場です。このキャラの登場によって、キーリの思わぬ一面に遭遇した気分です。キーリも意外に、世俗的というか、普通の感覚があったんだなあって。ちょっと浮世離れした雰囲気と、年齢以上に幼く無邪気で、なのに暗く押し殺したような性格かと…ってそれはどんな性格なのか。

    ところで本作を読んでいる途中に、このシリーズで菜の花をひきつけてやまないところを幾つか発見しました。そうか、こういうところがよかったのか、って。

    ひとつはイラスト!
    当初、そんなに気に入っているというほどでもなかったのですが、本作の表紙や巻頭の折込カラーを見ていて、はっとしてみた菜の花でした。手。手のカラーイラストが綺麗なのです。眠っているキーリの手。何気なくおろされた手。あと、ハーヴェイの背中のラインとか、いいなあ…。って、だんだんあやしい人っぽくなってきたのでやめよう。とにかく気付いたらイラストの田上俊介氏のファンになっていたのかも。

    それから、話し方。話し言葉が好きです。何というか、型にはまった「女の子らしい」とか「青年らしい」とか、そういう話し方から外れるときが巧いなあと。特にハーヴェイが、そう思うのですよね。

    あとは全体のことばのテンポ。
    地の文は基本的に3人称ですが時折、キャラ視点になります。そういうところの切り替えが巧いし、そういうときの、キャラの特徴と、音律を生かしたことばの並びがとても好き。


    …と、本作特有の何か、というわけでもないのですが好きなところを語ってしまった!まあ、そんなこんなで、結構好きです、このシリーズ。
    と無理矢理まとめて終わり。


    ---------------------------------
    文章・描写 :★★★★
    展開・結末 :★★★+
    キャラクタ :★★★
    独 自 性 :★★★+
    読 後 感 :★★★
    ---------------------------------


    菜の花の一押しキャラ…スーズィー

    「あー、あそこまでやる泥棒がいたらむしろすがすがしいと俺は言ってやりたい」
                   (ハーヴェイ)

  • 街に住むことになっているとは思わず、初め読んでて少し驚きました。
    旅の時とは違い、日常的な風景描かれてて少し心が温かくなるような。でも少しずつ何か不安な影が出てきたり・・・。

    キーリが住んでいる上の階の方たちとのやり取りでは
    ちょっとしんみりとしてしまうお話で個人的にお気に入りです。

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著者プロフィール

第9回電撃小説大賞〈大賞〉を受賞し、2003年『キーリ 死者たちは荒野に眠る』でデビュー。その他の著書に、『鳥籠荘の今日も眠たい住人たち』(電撃文庫)、『エンドロールまであと、』(小学館)など多数。

「2009年 『NO CALL NO LIFE』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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