- Amazon.co.jp ・本 (275ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840224383
作品紹介・あらすじ
MMF108‐41シルキーは、戦争により通信システムの崩壊した地域へ郵便物を配達する、少女の姿をした人型自律機械。手紙を、そしてそれに込められた想いを様々な人間に届けるうち、シルキーの中に、まるで人の心のような『バグ』が芽生えてゆく…。『電撃hp』誌上で大人気連載中の、一歩一歩『人間』に近づいてゆく機械の少女の姿を瑞々しく描いた短編連作集。書き下ろしを含む全五話収録。
感想・レビュー・書評
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6,7,8話と、結構重い話が続く2巻。
分かっていながら相手の心を傷つける行動をしてみたり(7話参照)、自身で「自分が思っていたよりも、やさしい機械じゃなかった」(p.124)と言ってみたりと、主人公の黒い面が多く垣間見られる。つまりシルキーに表出する人間らしさとして、1巻では戸惑いや躊躇いが見られていたが、2巻では怒りや憎しみが強調されているように感じられる。
郵便屋としては足枷になるかも知れないが、人間らしくあるためには必須の感情ですということだろうか。でも、そういった感情は当の人間にとっても邪魔な存在になることがままある。怒りたくても怒れない時とか、憎しみの連鎖を生むと分かっていても、人を憎んでしまう時とか。
私は、辛い時には自分の感情を一切殺して凌ぎ、何となく穏やかに生きていけたら良いなと思ってしまうことが多い。自分の感情を省みるのは、なんというか・・・疲れる。自身を見限っているのかも知れないし、あるいは自身から逃避してしまっているのかもしれない。そう考えた場合、絶えず自分の感情や行動の意味を何度も反芻する主人公の姿を見ると、いろいろ思うところがある。 -
借本。
1巻程の感動はなかったです。
後半から、何故か読むのが苦痛でしかなく… -
今回の巻の中では何と言っても「タンデム」が一番好きだ。泣いた。
亡き人間の『妻』をいつまでも思い続ける〈イシュタル〉のマフリー。けれど彼に魂があったとして、その魂が果たして救われる事があるのだろうか?
何故なら死んだ『妻』が逝った先には……。
とても不毛で、けれどとても純粋な思いだと感じた。
……所でマフリーが目指したのはやはり須磨だったんだろうか。