- Amazon.co.jp ・本 (482ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840228244
作品紹介・あらすじ
200X年、二度の航空機事故が人類を眠れる秘密と接触させた。「変な生き物ゆうたわね?そやね?」-秘密を拾った子供たち。「お前を事故空域に連れて行く。話は現場を見てからだ」-秘密を探す大人たち。秘密に関わるすべての人が集ったその場所で、最後に救われるのは誰か。"電撃"が切り開く新境地。第10回電撃小説大賞大賞受賞作家・有川浩待望の第2作。
感想・レビュー・書評
-
最後にある Fin.
Fin. という文字がしっくりくる、とても気持ちの良い読後感でした。
お話は...
「怪獣物と青春物足しっぱなして空自で和えてる」っていう有川浩さんご本人のあとがき談。
怪獣に、飛行機に、恋愛物に郷里の野山や水辺、基地祭。
好きなものがたくさん詰まっていますとも述べられている。
確かにてんこ盛りでしたw
てんこ盛りなんだけど、気持ちいいてんこ盛り、とても得した感です。
有川浩さんの物語に出てくる人は個性がある。キャラが立ってる。
作者の操り人形的に動いてる感がしない。
だから感情移入もできるし目がいく。
話に惹き込まれる。
「空の中」だと、瞬と佳江、高巳と光稀がいい。
でもやっぱり「宮じい」には敵わないです。
宮じいが発する言葉が染み入りました。
一番ぐっときたのは、宮じいの隣で佳江が
(瞬を助けてください。)と聞こえるような深く深く頭を下げるシーン。
ほんとぐっときた。感じ入った。
「助けてください」と伝えることって難しいことが多い。
大人は子どもが「助けてください」といつでも伝えることができるように向き合っていたいと感じた。
有川浩さんの小説って読後感がいつも気持ちいい。
『自衛隊三部作』の最後「海」も読もう。
有川浩さんのデビュー作からまだ読んでいない物語を順番に読んでいこう。
最後に。
読んだのは小説版。
な、なんと文庫版には書き下ろし短編『仁淀の神様』では佳江、宮じいと共に瞬のその後が描かれているらしい。
うー、文庫版読めばよかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
自衛隊三部作。そして自衛隊✕恋愛もの。
白鯨担当者と女性美人自衛官パイロット。
一見弱そうなタイプ、強気なタイプ。
「塩の街」「海の底」では逆だったけど、この組み合わせ作者の好みなのかな。。
SF、恋愛、成長、家族、愛
特に宮じいの話が染みた。
未知の生命体『白鯨』とは共存共栄。
この関係がずっと崩れないといいなと思う。 -
これは…映画化したいやつやw
ダブルヒロインでかえの方はオーディションやな
敵役もいるし
宮じいに重厚な役者さんを配して…
という想像が膨らむ一冊でした
でも映画化されてないのね
しかしデビュー2作目でこれかあ
すごいわ単純に -
空の中、高度二万メートルに浮かぶ楕円。それにぶつかる人類。はがれる楕円の一部。拾う少年。解明する大人。
白鯨のように、人類より高度な知能と破壊力を持つ者の存在を、人類は受け入れられない。高野和明著、「ジョノサイド」でもそうだった。
人は、自分が圧倒的に敵わないと判断したとたん、相手の意向を無視して突然攻撃を仕掛ける。野蛮極まりない。
でも、哀しいけれど、これが現実なんだろうな。
純粋なフェイクが、瞬のために自分の仲間を食べ、殺し、ついには自分自身も消えようとする。自己防衛本能にまみれた人類には、絶対に取れない行動だ。別種のために、自分の種を自分で滅ぼそうとするなんて。
間違いは認めるしかない。ごまかしは、いつか揺り戻しが来る。あったことは、なかったことにはできない。
宮じいの言葉の数々が印象的だ。
瞬も佳江も、高巳も光稀も、そして、真帆も。強がらず、かっこつけず、間違えたらごめんなさいといえる、本当の強さを持ち続けて欲しい。
フェイク、人間って、本当にバカでごめんなさい。あなたが瞬を思い、瞬に尽くそうとする気持ちに泣きました。
こんな思いをありがとう。 -
長いけどスラスラ読めた。揺るがない人に憧れます。
-
有川作品3作目。ハマりましたわ、この世界。
基本的に、未確認生物の話は好きではないけれど、高度二万m・・天空のかなたに、人間よりはるか昔から人間をはるかに超える知能を持った生物がいるのかもしれない・・・有川さんではないけれど、いて欲しいとさえ思えてくる。
凡人がなんとな~く、ぼんやりと考えていることを、端的にスパッと表現してくれる・・そんな爽快感を感じました。
そしてやっぱり、光稀と高巳の関係が素敵♪
「空飛ぶ広報室」で、なぜか著者は男の人だと認識。「三匹のおっさん」を読む途中で女性だと判明し、妙に納得したのはこの辺かな。
きっと、男性だったら、このある意味SFのストーリーに、こんな恋愛話は入れないと思うのです。それも、こんなに乙女心(・・・・いや、おばちゃん心か)をくすぐる感じで。
「怪獣物と青春物足しっぱなしで空自で和えてる」という有川さんの表現に座布団一枚!ってところです。
自衛隊三部作と言われている「塩の街」「海の底」・・早く読まなくちゃ。 -
「海の底」を先に読んでしまったのでストーリーのインパクトは半減してしまった。
そして私の乏しい想像力だとこのお話に登場するUMAのイメージが沸かず。結局頭を捻って「こんな奴だろうか」とイメージしたのが住友林業の“きこりん”でした。(cf.http://kikorin.jp/)
たぶん有川作品の中でもっとも奇抜なストーリー展開だと思う。ファンタジーな映像作品にしたら面白そうな世界観だなと思うけど、有川さんのライトな文体には合わなかったように思います。ライトな文体なのでUMAの存在もライトに感じてしまいました。もっとシリアスなSFだったら良かったかも。
しかも“きこりん”のキャラ立ちのおかげで今思いだそうとしてもまったく細かい人物設定やストーリー展開を思い出すことができません・・・でも「クジラの彼」に番外編載ってたんですね。他の方のレビュー見て知りました。「クジラの彼」は本当に面白い短篇集だったのでこれを機会に再読してみようかなぁ。 -
春名高巳と武田光稀。
宮じいと瞬、佳江、真帆。
白鯨とフェイク。