狼と香辛料 (電撃文庫 は 8-1)

著者 :
  • メディアワークス
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840233026

作品紹介・あらすじ

行商人ロレンスは、麦の束に埋もれ馬車の荷台で眠る少女を見つける。少女は狼の耳と尻尾を有した美しい娘で、自らを豊作を司る神ホロと名乗った。「わっちは神と呼ばれていたがよ。わっちゃあホロ以外の何者でもない」老獪な話術を巧みに操るホロに翻弄されるロレンス。しかし彼女が本当に豊穣の狼神なのか半信半疑ながらも、ホロと共に旅をすることを了承した。そんな二人旅に思いがけない儲け話が舞い込んでくる。近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂。疑いながらもロレンスはその儲け話に乗るのだが-。第12回電撃小説大賞"銀賞"受賞作。

感想・レビュー・書評

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  •  萌えて面白いファンタジーでした。

     まず萌えた点は、文庫の表紙を飾っている狼の耳と尻尾を持った少女。彼女の名前ホロ。豊作を司る神を自称し、自らを賢狼(けんろう)と呼びます。

     見た目が可愛いのはいわずもがな、その言動が蠱惑的です。

     老獪な言葉遣いや、自分の魅力を分かっているかのような所作の数々で、主人公のロレンスを翻弄する様は、長年生きてきた大人の女性(?)らしさを感じさせます。

     そんなキャラを、違和感やイヤミっぽさを感じさせずに描いているのもすごいのですが、ギャップの描き方もまた秀逸!

     長年一人で生きてきたホロ。時折覗かせる彼女の寂しそうな表情は、前述した姿とのギャップも相まって愛おしく感じるほど。完全にホロのファンになりました(笑)

     このシリーズはストーリーも面白い、という評判は聞いていたのですが、なるほど、その言葉に偽りなし。

     ファンタジーといえば剣と魔法が王道ですが、その要素は薄く、あくまで商人としての、ロレンスたちの活躍をこの小説は描きます。

     作中の経済の話はもちろん、商会であったり教会であったり、国の関係性であったり、いずれの設定も良く練られています。

     個人的におーっと思ったのは、ロレンスが大きな商会から協力を取り付ける場面。ロレンスは一行商人に過ぎないため、商会からいつ梯子を外されるか分かりません。そこでホロの存在を武器に商会から協力を取り付けます。

     この世界では教会が大きな力を持ってるみたいです。そして教会は異端や悪魔を敵とします。狼の耳と尻尾をもったホロは、教会からは悪魔が憑いた存在と受け取られかねません。

     そこでロレンスは、自分たちを裏切ったらホロの存在を教会に知らせ、悪魔憑きと協力した商会として、自分もろとも商会を道連れにするというのです。いやーよくできてるなあ。

     ヒマを見つけてはシリーズを追いかけていこうと思います。でも巻数だいぶあるんだよなあ……。完結済みのシリーズとはいえ、追いつく日はくるのかなあ。

    第12回電撃小説大賞銀賞

  • 古本屋で4巻までのセットが230円だったので購入。
    ラノベにしては文章がしっかりしていてびっくりした。
    中世ヨーロッパのような世界観が行商人目線から描かれています。

    この作品は何よりも会話劇が見所。
    ホロとロレンスの会話に笑ったりしつつ、行商人同士の頭脳戦には素直に感心。

    ホロがただの萌え要員ではなく、何百年も生きた経験から商売のサポートをしてくれるのもいい。
    経済ってほどでもないけど読んでてそれなりに頭は使います。
    銀貨のくだりが出てきてから先が気になって一気に読んでしまった。

  • 絵が可愛い、ラノベである、萌えられる、ロリババア・・
    作品の魅力はいっぱいあるのだけれども、狼と香辛料の最大の魅力は面白いのに勉強になる。親に見せても安心。ここでしょうねw

    為替相場がでてくるラノベは初めてですよ。

    現代知識を中世に持ち込むっていうIFモノは好きだけど、中世商人のレベルでチート無しに活躍する・・
    ファンタジーの枠にとらわれない素敵な小説でした。

  • 商人の経済活動、駆け引き、街や村の経済側面を絡めた生態系など、シンプルかつ面白く描写されていて非常によかった。文化描写は守り人シリーズを彷彿させるくらいに(自分の中での最大級の褒め言葉)。特に主人公ロレンスとミローネ商会の駆け引きはプロフェッショナル同士のせめぎ合い感があってすごく好きだった。

    ただ一点。クライマックスが惜しかった。本作を通して浮上していた銀貨為替取引の謎が解け、相手方の企みに対し万全の対策を施す。ここまではよかった。が、この後少し長めの息抜きシーンが入ってしまったのが、非常に残念だった。読み手に冷静に考えられる隙を与えてしまった。「これで一件落着なわけがない。この後絶対何か起こるでしょ。」、と。そのあとは少し冷めた目で、倍速くらいの速読で読み終えてしまった。

    やはりクライマックスは息つく間も無く(正確には一瞬だけ息をつかせて)畳み掛けるのが良いと改めて思った。

  • 「やはり儲け話を持ってくる人達というのはちょっと違いますな」(P.270)


    舞台は中世ヨーロッパ。

    行商人・ロレンスは旅の途中で,豊作を司る賢狼・ホロと出会う。
    狼の耳と尻尾を持った,美しい少女のホロ。
    そんな彼女に翻弄される道中で,ロレンスはある儲け話を持ちかけられる。
    しかし,事はそう簡単には進まない。

    「商売に予想外のできごとはつきものですから」(P.318)


    これはただの,商人と少女の日常物語ではない。

    行商を初めて7年,歳にして25になる若者ロレンスと,
    数百年も生き続け,賢狼と呼ばれる狼少女ホロたちの旅物語である。


    商売の方法・知恵・心構えなど,時代の違いはあれど,
    現代のビジネスにも応用が効く至言が散りばめられている。

    「だまされた時に怒っているようじゃ話になりんせん。
     そんな方法もあるのかと感心してこそ一人前じゃ」(P.134)

    外見は少女にしか見えないホロに諭され,言葉に詰まるロレンス。


    ある商人がロレンスに言った。

    「また商人に戻ろうかなと思いましたよ。今の貴方達を見ててね」(P.270)

    それに対してロレンスはこう返す。

    「やめたほうがいい」
    「あいつみたいなのを拾う羽目になる」(P.271)

    しかし,ロレンスは気づいていない。狼はすこぶる耳がいいのだ。
    ホロがロレンスに言った。

    「わっちもぬしに拾われて飛んだ羽目じゃ」(P.271)

    これにはロレンスも返す言葉が見つからない。

  • おもしろすぎる‼
    その辺のラノベとは、一味も二味も違います‼

    まず第一に、商売というテーマ
    テーマが商売となっている小説はなかなかありません
    商人同士のかけ引きや心理戦
    頭使って読み進めないと、混乱します

    第二に、高尚な会話
    ただダラダラ話されるのではなく、
    巧みな比喩がつかわれたり、
    上手く意味が掛けられていたり…

    第三に、緻密な心理描写
    神という重さ
    孤独という寒さ
    二人という強さ
    それらが、精巧な文章から伝わってきます

    むっちゃ綺麗でした

    アニメも見ましたが、
    やっぱ原作ですね

  • 経済小説としての側面も持っている。旅の伴侶としてのやり取りに商人らしく、そして人間らしい駆け引きを感じ取れる。友達はただ思いやり合うだけではないように思った。

  • 最初は題名に惹かれて購入、あれよあれよと言う間に、続巻を読み続けてきました。実は、この本を読んだ後にライトノベルと言うジャンルがあることを知りました。この本がなかったら、私の本棚は今とは別物だったでしょう。そんな記念の1冊。

  • アニメをAbemaで観て、ラノベなのに商人・経済系だったのに衝撃を受け、書籍に手を出してみました。

    既刊24巻なんですね。先が長い…。

    ラノベのジャンルに置いておくのが勿体無いな、とも思いますが、ヤングアダルトコーナーにあれば、中高生の経済の仕組み入門になるのでは、と思いました。

  • 4-8402-3302-0 c0193¥590E

    電撃文庫 は-8-1.

    狼と香辛料

    著者:支倉凍砂(はせくら いすな)
    イラスト:文倉十(あやくら じゅう)
    発行所:株式会社アスキー・メディアワークス
    発売元:株式会社角川グループパブリッシング


    2006年2月25日 初版発行
    2008年7月25日 20版発行

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著者プロフィール

第12回電撃小説大賞《銀賞》を受賞し、電撃文庫『狼と香辛料』にて2006年にデビュー。

「2023年 『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙IX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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