断章のグリム 灰かぶり (I) (電撃文庫)
- アスキー・メディアワークス (2006年4月10日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784840233880
作品紹介・あらすじ
人間の恐怖や狂気と混ざり合った悪夢の泡。それは時に負の『元型』の塊である『童話』の形をとり始め、新たな物語を紡ぎ出す。そして、悪夢の中で出会った蒼衣と雪乃の二人が辿る物語とは──。鬼才が贈る幻想奇譚、登場!
感想・レビュー・書評
-
2015/10/07読了
Missingまでは読んでいたけどこちら未読だったので。
すごい、これがラノベか…というくらいの設定(笑)
いやMissingも後半はだいぶ厨二病くささが満載だったけど、これはもうまさにといった感じ。
非日常。
んなアホなwって言いたくなるような←
Missingは確かに登場人物に凄く厨二病的なものは感じたけど、設定として日常がまだ近いものに感じられたからなのかもしれない。
これはもうファンタジーに近い。
確かに作者もあとがきでメルヘンと言っているのでそうなのかなぁ。
でも、象徴とかシンボル学なんかは好きなので、そういう意味では面白いかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
《読み終わってから時間が空いていますが感想書きます》
まず、個人的にはどんぴしゃりな作品でした。
というのは━━
1⃣ただただ凄惨な悲劇とそれに抗おうとする悲壮感(ようは鬱)
2️⃣ヒロインがゴスである
3⃣主要キャラクターには《断章》というトラウマがある
4⃣題名通り「グリム」。つまりは御伽噺のメルヘンさと残酷な内容のギャップ
……ですかね。僕は悲劇が好きなので、とてもそそる内容だったと思います。グロい描写が多かったのもそれを高めていると言えるでしょう。
1巻は確か灰かぶり、シンデレラの話だったかと。
早速凄絶さが極まってますよね。目に刃物が近づくシーンとか、割とガチで悪寒がしました(笑)
ぶっちゃけもう一度読む“勇気”はないかもですが、嬉しいことに続編があるので、読み進めていきたいと思います! -
怪異を解釈していく流れがいい。この人の作品で一番好きなシリーズかも。
-
「終わりと始まり」
プリントを届けに来たが。
明らかに普通ではなくとも、目の前に突然現れたら対応など出来ず呆然としてしまうだろうな。
「傷を負った騎士」
仲間の紹介だけのはずが。
どんな形であれ関わってしまった以上、簡単に逃げることなど出来ず闘わざるえないのかもな。
「灰かぶりの欠片」
皆が知る物語とは違う話。
些細なことですらトリガーになるのであれば、下手に室内で生活を送る事すら危険なのかもな。
「魔女と魔女の死」
何かを抱えて生きている。
能力の関係上仕方ないといえばそれまでであるが、トラウマを忘れられないのは辛いだろう。
「葬送そして葬送」
サクサクと聞こえる音は。
誰もが異形に飲まれて普通でなくなった時、正気を保ったまま居続けることは不可能だろうな。
「終わりの始まり」
灰被りが襲う人の関連性。
傍から見れば異常な状態で歩き回っていたというのに、誰一人とて気付くことはなかったのか。 -
このシリーズは
「童話が好き」
「童話を色々解釈していくのが好き」
「考えながら読むのが好き」
「凄惨なシーンに耐性あります!」
という人にオススメです。本当にグロ耐性ない&場面を想像しながら読んじゃう人は気をつけてくださいって感じです。マジで。 -
主人公の白野蒼衣(しらの・あおい)は、クラスメイトの杜塚眞衣子(もりづか・まいこ)の家を訪ねます。そこで彼は、目をえぐられた女性を目撃し、彼の日常生活は終わりを告げます。
その場に登場した時槻雪乃(ときつき・ゆきの)に救われた蒼衣は、骨董商「神狩屋」の鹿狩雅孝(かがり・まさたか)のもとに連れてこられて、これまで知らなかったこの世界の真実を教えられます。この世界は、「泡禍」と呼ばれる災厄に見舞われる人びとがおり、雪乃たちは泡禍を抑えるために活動している「騎士団」のメンバーでした。騎士団のメンバーたちもまた、泡禍を経て特殊な能力をそなえるようになり、蒼衣自身は記憶を封印していましたが、やはりそうした能力をもっているというのです。
その後、やはり神狩屋のもとに身を寄せている夏木夢見子(なつき・ゆみこ)の能力によって、シンデレラの物語にまつわる泡禍が近いことが明らかとなり、さらにその中心に眞衣子がいることがわかります。
童話をモティーフに取ったグロテスクな描写を含むストーリーと、ツン度高めのゴスロリ少女が登場するダーク・メルヘンです。ただし、主人公の蒼衣やヒロインの雪乃といった主要な登場人物は、ライトノベルの枠内に収まるようなキャラクター造形になっているので、本格的なホラーはあまり得意ではないわたくしにも、個人的には安心して読むことができました。 -
実質再読。いらなくなったからともらった本。
童話を元に起こる悪夢のような出来事。みんなそれぞれに痛みがあって、その痛みを抱えながら生きている。これ以上の痛みを増やさないために。
ユング、フロイト関係の心理学は専門ではなかったものの、多少はやっていたので、イメージや連想の解釈は前より楽しめた。話し出すと止まらないよね分かる。
眞衣子の境遇は難しい事案だと今になっても思う。それでも蒼衣の存在は大きかったかなー……。
少し先までは昔読んだことあるので、神狩屋の過去についての言及は少しどころじゃなくやべーだろと思ってる。 -
ライトノベル
-
変った設定で面白い。
この小説を読むと、自分の判っていることを、他者に説明することの難しさが良く判るような気がする。
実に特殊な設定なので、説明回だけの話では、全部を理解することが実に難しい。
主人公が読者立場の「何も判らない人」側に立って、説明を受けるタイプの話だが、最初と中盤の説明だけではとうてい全てを納得出来ない。
とにかく、まず読者に何を理解させるのか、から入る小説なのだろう。
設定が凝っている半面、文章がちょっと……失礼ながら、つたない感じがしないでもない。こう、途中で読み手の気持ちを切らしてしまうところがちらほら。
ま、集中力が足りないのだ、と言われるなら、実際にそうなので否定はしない。
ゲーム、ペルソナ2までが好きな人は、好きなタイプの小説だと思う。
テーマは、世に存在する怪異は、ごみ箱(集合無意識)に神様が捨てた、神様が見た悪夢である。