狼と香辛料 (3) (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
3.71
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本棚登録 : 1991
感想 : 108
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840235884

作品紹介・あらすじ

教会都市リュビンハイゲンを出立した行商人ロレンスと狼神ホロ。行商がてらホロの故郷ヨイツの情報を集めるため、冬の大市と祭りで賑わう町クメルスンにやってきた。そこで二人は、若い魚商人アマーティと出会う。どうやらアマーティはホロに一目惚れをしてしまったらしい。急速に彼女に近づき始めた。一方ロレンスとホロの間には微妙な気持ちのすれ違いが生じ、誤解が誤解を呼んでしまう。そしてそれがロレンスとアマーティそれぞれの商売をも巻き込んだ大騒動へと発展していく-。第12回電撃小説大賞"銀賞"受賞作第3弾。

感想・レビュー・書評

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  • 恥ずかしさのあまり死にたくなることの言い回しで「慙死に値する」という言葉があるけれど、この『狼と香辛料』の3巻の結末は、自分がロレンスの立場だったら、それだなあ、と思いました。慙死は固すぎるから『恥ずか死』の方が、近いかもしれないけれど。

    ホロとロレンスならではの、ベッタベッタなやり取りを繰り広げつつ、二人が次にやって来たのは年に一回のお祭りが開催される都市。ホロの故郷のことを調べるロレンスですが、その一方で二人に降りかかってくる、思わぬトラブル。さらに、ここまで崩れようの無いように見えたホロとロレンスの絆にも、暗雲が立ちこめる事態が起こり……

    どこまで正確か覚えてませんが、少年マンガと少女マンガの恋愛ものは、描く関係性が違うそう。色々フラフラしたりもしながら、最後に誰か一人を選んで付き合うまでがゴールなのが少年マンガ。
    一方で少女マンガの恋愛ものは、カップリングは決まっていて、その関係性の変化を描くのが目的のものが多い、的な話を聞いたことがあります。

    カップリングが決まっていたら、話作るの難しくならないのかなあ、と思ったものですが、ホロとロレンスの話を読んでいると「なるほど、そういうことか」と思えてきます。
    中心となる二人は不変でも、魅力的なキャラなら会話ややり取りで読ませるし、恋愛・ラブコメの要素を他の物語の要素と和えて描くことが出来るのです。そして『狼と香辛料』は、その最たるものの一つのように思えます。

    今回の商業・経済的な要素は「いかにして商品の価値を暴落させ、相手を儲けさせないか」
    商人としての知識や経済学的な市場、さらにはファンタジーの設定をかけ合わせた、コンゲーム的な要素も強く、そのあたりも今回は特に面白く読めました。

    ロレンスの思考も、いろんな意味で面白かった。ホロのことを思った上ではあるのだろうけど、それがどんどん暴走して、挙句に誰が敵なんだか、味方なんだか分からなくなってくるあたりなんかは「なんで、そうなんねん!」とツッコミを入れたくてウズウズしたけれど(笑)
    まあ、これも惚れた者の弱みなのかなあ。

    で、その弱みはある意味ホロにも向けられるような気がします。商人としては優秀なものの、ところどころで決めきれないロレンス。そこも含めて、あるいは越えてホロはロレンスを思っているのかもしれません。

    ともかく、次こそはロレンス決めてくれ、と思ってしまいます。前巻でも同じこと思ったけど(苦笑)

    • 沙都さん
      マリモさん、コメントありがとうございます。

      ロレンスのどったんばったんはもちろん、何よりつがいのくだりがラストに出てきた瞬間に「これは...
      マリモさん、コメントありがとうございます。

      ロレンスのどったんばったんはもちろん、何よりつがいのくだりがラストに出てきた瞬間に「これは『恥ずか死』だわ……」と思ったのを覚えています。

      話としては案外さらっと流れてしまっていますが、このくだりの意味を問い詰めていったら、ロレンス殺せるんじゃないか、と(笑)

      少女マンガの話、うろ覚えだったのですが、共感いただけたようで、自分の記憶力も捨てたもんじゃないな、と思っています。

      少年マンガやハーレムもののラノベのラブコメも、嫌いというわけではないのですが、どうしても、どこかのタイミングで「主人公なんでこんなに、いろんな女の子からモテるんや?」となってしまうんですよね(笑)

      だからホロとロレンスの二人だけの関係性は、いいなあ、と思ってしまうのかもしれないです。

      おっしゃるとおり、次巻以降の二人の関係性の変化が楽しみですね。
      2020/06/15
    • 沙都さん
      地球っこさん、コメントありがとうございます。

      「恥ずか死」良い言葉でしょ(笑)
      自分も初めてネットでこの言葉を見つけたときは「なるほ...
      地球っこさん、コメントありがとうございます。

      「恥ずか死」良い言葉でしょ(笑)
      自分も初めてネットでこの言葉を見つけたときは「なるほどなー」と可笑しくなりつつ、唸ってしまいました。

      『狼と香辛料』をチェックしてもらってありがとうございます。自分もいつかは地球っこさんのレビュー拝読したいです。

      マリモさんと地球っこさんの『わたしの幸せな結婚』のレビューも、どこかのタイミングで読ませてもらった記憶があります。

      お二人の黄色い声が文字から聞こえてくるようでしたね(笑)これだけ「好き」を叫べることって素敵なことだと思うのです。

      話がちょっと変わりますが、ちょうど今、積読中の少女マンガレーベルの作品あるんですよねえ……。地球っこさんとマリモさんのコメントから読まないとなあ、と思いつつもなかなか手が伸びず……

      まあ、そのうちマンガから呼ばれるだろう、と開き直って、他のことをやっている今日この頃です。

      『わたしの幸せな結婚』そして願わくば『狼と香辛料』の地球っこさんの叫びのレビューも楽しみにしていますね。
      2020/06/15
    • マリモさん
      とし長さん
      あはは、確かに「つがい」は爆弾発言でしたよね!
      二人ともテンパっていたのでわりとあっさりと流してしまっていましたが(というか...
      とし長さん
      あはは、確かに「つがい」は爆弾発言でしたよね!
      二人ともテンパっていたのでわりとあっさりと流してしまっていましたが(というか爆弾すぎて受け止めれなかったのか)、落ち着いた後に「……ん?そういえばあの言葉って?(´⊙ω⊙`)」と悶絶ものですし、このあとの重要な伏線にもなりそうですねー。
      まぁ、しばらくはまた2人してモダモダしているのかなーという気も(笑)
      それはそれで好きです。

      少女漫画も少年漫画も、「なんでこんなにモテるんや」とツッコミ入れたくなるときはありますね!
      自分が主人公に同化しちゃえれば気にならなくなるので(昔はなんで?とあまり考えていなかったのはそのせいだと)、頭から沼にハマってみると楽しめるかもです!

      あと、この狼と香辛料や、地球っこさんとキャーキャー言い合ってるわたしの幸せな結婚など、読んだあとに語り合える仲間がいるととても楽しくて(*^^*)
      一緒に読める存在がいてくれると盛り上がりますよね!
      そんなわけでとし長さんのまた続きのレビューも楽しみにしています♪
      2020/06/16
  • 記録

  • 4-8402-3588-0 c0193¥590E.


    電撃文庫 は-8-3.

    狼と香辛料 Ⅲ

    著者:支倉凍砂(はせくら いすな)

    イラスト:文倉十(あやくら じゅう)
    発行所:株式会社アスキー・メディアワークス
    発売元:株式会社角川グループパブリッシング

    2006年10月25日 初版発行
    2008年5月2日 17版発行

  • ライトノベルだということであまり言いたくは無かったが、一言。

    物語の山を一つに限定すると、分かりやすい反面、薄っぺらいものしか出来ない気がする。
    途中に崖があろうと無かろうと、意味が無い。

    このままの状態が続くならば・・・

    次巻に期待。

  • クメルスンの町に入ったロレンスとホロは、アマーティという若い魚商人に出会います。ホロに惚れた彼は、ロレンスからホロの身柄を引きとると申し出て、ロレンスの心は乱されます。

    その一方でロレンスは、錬金術師のディアナことディアン・ルーベンスという女性をたずねて、ホロの故郷であるヨイツについての情報を得ることになります。しかし、ディアナからの手紙をホロが読んでしまい、彼女は自分の故郷がなくなってしまったことを知ります。さらに、ロレンスがディアナからの情報を彼女にかくしていたこともあって、二人のあいだに隙間が生じていきます。

    ホロをめぐってロレンスとアマーティが争うというストーリーなのですが、両者が商人であることから、ビジネスの舞台で戦いがおこなわれることになります。ロレンスとホロの気持ちのすれちがいも含めてきれいな構成にしあがっているように感じました。

  • 冬の大市と祭りが行われる時期にクメルスンを訪れたロレンスとホロ。行商路の都合、本来であればクメルスンには夏しかやってこないロレンスが冬にこの町を訪れたのは、ホロの故郷を探して北上しているためであった。
    クメルスンで知り合った魚の仲買人アマーティーはすっかりホロに惚れ込んでしまい、ホロの借金を肩代わりする代わりに自由の身になったホロに結婚を申し込むと宣言。ロレンスはその契約を結んでしまう。
    借金がなくなったところでホロが自分から離れることなどあり得ない。そう強気でいたロレンスだが、ある夜ホロと大喧嘩をしてしまい……

    ホロを巡る男たちの勝負。
    もちろん商売の話もたくさんしているのだが、それ以上にロレンスとホロの関係性やアマーティーからホロへの愛など、恋愛に絡んだ人間ドラマ色が強めという印象。
    後半のハラハラっぷりと、すれ違いっぷりがすさまじい。
    行商人と町商人が抱えるものの違いなどが語られ、さらにこの世界が深まったような気がする。

  • ホロの出番が少なかったが、まぎれもなくホロが可愛い回。自分の過ちに気付いて水面下で必死に走り回る姿が想像できる。今後も幸せな旅を続けてください。

  • 引き続き面白い。そういえば今回はラブコメ度多めかつ印籠なしだったなあ。この辺
    色々バリエーションはつけられるか。

  • 余計な要素がなく1,2巻に比べて良い
    ただもう少し演出を控えめにした方が素直に驚けやすい
    恋愛はそういうものかも知れないが

  • 前巻までと比べて、命が危機になるような事態にはならないが、これはこれで面白かった。
    全編に渡って、ロレンスとホロのやり取りが読んでいてホンワカしてきた。
    [more]
    途中、ホロとの旅を続けるために身の破滅まで覚悟して行動するロレンスに対し、町商人のマルクが笑いながら「女に惚れて、変わったな」という所はなんか良かった。

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著者プロフィール

第12回電撃小説大賞《銀賞》を受賞し、電撃文庫『狼と香辛料』にて2006年にデビュー。

「2023年 『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙IX』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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