ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
4.06
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本棚登録 : 4418
感想 : 737
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840237154

感想・レビュー・書評

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  •  まさか、この本の感想書いてないとは思わなかった……
     まあ、諸事情あってすごく書きにくいんだけれども、ここは私の帝国なので、好きにします!

     物語は「ミミズク」と名乗る女の子のお話。
     ミミズクは、魔物の森に行き、その王に
    「私を食べて」
     とお願いしにきたのだった。

     けれど、魔物の王はミミズクを食べず、ミミズクがそばにくることを許した。

     そんな中、夜の森の魔王討伐の王国軍が現れて――

     というお話。
     ミミズクが夜の王に出会い、人になり、そして自分の道を選ぶ話……なのかな?

     今、もう一度読み返してみて、最初に読んだ時よりもずっと感慨深いものがあるなあ……と思いました。
     この作者さんの話は、基本的に「女の子」の話だと思っていて。
     描かれているのは「強い女の子」なんだと思っています。

     ミミズクは自分の道を選び、フクロウはそれを受け入れた。
     そんなお話でした。

     誰も悪くないけど、フクロウが一番損をしている気がして、すべてを許したの心広い……って読み直して思いました。

  • 祈りたくなる物語。
    何度も読みたくなる本。

    燃えていく時に心が苦しくなった。
    読みやすいファンタジーだと思います。

  • 魔物に食べてもらいたい少女と人間が嫌いな魔物の王のお話
    これは正統派な御伽噺として読むのがよい
    ありがちなファンタジー設定ではあるものの、細かい所にツッコミ入れたり疑問点など持たずに素直に登場人物の行動に着目すべき物語


    ミミズクと名乗る奴隷の少女が魔物に食べられるために魔物の棲む森にやってくる
    ミミズクは魔物の王である夜の王に自らを食べるように説得するが、人間は魂が醜いから嫌いと言いミミズクを捨て置く
    しかしそれは森への滞在を暗に許可するものだった
    過酷な生活をしてきた少女を何かと世話をする魔物のクロ、自らを食べてもらうように説得するために夜の王の元に通う少女、少女につれない態度を取るものの何も制限をしない夜の王

    レーベルが電撃文庫だし、少女の口調がなろう系にありがちだし、魔法やら何やら物語に都合のよいファンタジー設定があるのでラノベと言えばラノベなんだけど
    描かれてあるのは人の幸せとは何か?というテーマ

    解説で有川浩は、「白状します。泣きました。奇をてらわないこのまっすぐさに負けた。チクショー」と語っているのと同様に、私にとっても泣ける話だった チクショー
    設定が複雑な話でもないし、ストーリーや表現のテクニックが殊更優れているわけでもないけど
    作者の描きたかった人の心の動きようがそのまま伝わってくる
    人によっては安っぽいヒューマンドラマと切って捨てる人がいるだろうけど、あとがきで作者自身が「私安い話が書きたいのよ」と言っているのでその感想は作者の思いをそのまま受け取った結果


    幸せと言うのは自分の定義で決めていい
    世間一般でいかに悲惨な状態でも自分が幸せだと思えればそれでいい
    善意であれ他人からの強制を撥ね退ける強さがあったらいいなぁ

    自分の居場所は自分で決めたいよね

  • ・魔王に食べられたい少女ミミズク。
    ・心を開かない夜の森の魔王。
    ・「救出」までのミミズクのキャラが面白かった。それに惹かれて読み続けることになった。
    ・その後はちょっと普通になってしまったけどそれはそれでいいのかな。ある意味普通になるための物語だから。

    ▼夜の森に関する簡単なメモ

    【アン・デューク・マクバーレン】レッドアークただ一人の聖騎士。マクバーレン家の末子だったが聖剣を鞘から抜けたので聖騎士となった。国王にタメ口。魔王退治をめんどくさいと断った。庶民からはアンディと呼ばれ親しまれている。酒場ではいつもハーブティを注文する。
    【王】優秀な王で国を立て直すことに成功した。魔王を討伐したい。本名はダンテスというが滅多に口にされることはない。
    【オリエッタ】アン・デュークの妻。元聖剣の乙女。魅力的なキャラクタ。
    【帰る】《帰りたかったのは、ここだよ?》p.260
    【傷】《傷が。あるとね。あったかいんだよね》p.5
    【鎖】ミミズクの手足をいましめている鎖。ジャラジャラ鳴る音は嫌いではないらしい。《あたしの持ってるもんてこれっきゃないからー》p.82
    【クロ】ミミズクが知り合った魔物。魔物の名は人には聞き取れず発音できないので「クロ」というのはミミズクがつけた。「夜の色」だということで気に入ったもよう。知識を求めているのでミミズクを観察している。
    【クローディアス】クローデイアス・ヴァイン・ヨールデルタ・レッドアーク。王子。手足を動かすことができない。城の西の塔にいる。ミミズクのことを「ミィ」と呼ぶ。ミミズクはクローデイアスのことを「ディア」と呼ぶ。
    【幸福】《一体誰が知るであろう。彼の御方の幸福が、一体どこにあろうかと》p.53
    【332】ミミズクの額に焼きごてで押された数字。フクロウが不思議な模様に変えてくれた。
    【自由】《どこにも行かないのも、自由の選択肢の中の一つではなくて?》p.218
    【ミミズク】主人公。両腕両足が鎖でいましめられている三白眼ぎみの目の赤毛の少女。額に332という番号が書かれているので奴隷だったかと思われる。夜の王に喰われたいと思い懇願する。「ミミズク」という名は自分でつけた。フクロウは「獣を称する娘」と呼ぶようになった。
    【夜の王】月の瞳を持つ夜の森の絶対支配者。人間嫌い。ミミズクは綺麗と思った。こいつがミミズクを食わなかったので森の魔物はミミズクを食ってくれようとはしなくなった。《人など喰らえば、反吐が出る》p.49。ミミズクは「フクロウ」と名づけた。
    【夜の王の館】許されればいられるし、許されなければ殺される。古いが埃はたまっていない。上の階のたぶんフクロウの部屋には夜の森の大きな絵が何枚もある。
    【夜の森】魔物の多い森。
    【リーベル】魔術師団の団長。王の命で魔王の魔力を奪おうとする。
    【理由】《理由が必要か。そうか人とはそういう生き物か》p.20
    【レッドアーク】王都。
    【煉花】森の奥にある血のような紅の花。赤色の顔料となるが魔物にとって強烈な毒となる。フクロウの描く絵でもっとも美しいのはその色を使ったもの。

  • 魔物がいる夜の森に入り込んだひとりの少女。彼女は夜の王に自分を食べてくれと懇願するのだった。

    主人公の少女ミミズクは手足に鎖で繋がれ、額には数字が刻印され、ガリガリにやせ細っている。村でひどい扱いを受け、痛いのは嫌だから汚くなるのは嫌だからと、きれいに食べられることを望んでいる。
    それに対して夜の王はミミズクのことを食べずに放っておく。それは夜の王がミミズクの存在を認め存在を許したということだった。

    これは愛の物語でしょう。奴隷扱いで人間としての愛も感情も知らぬまま育った少女は、魔物にはじめて自分を認めてもらう。物語中盤、人の世界に戻され記憶を封じられたミミズクは、人との交流により感情を得る。
    これは愛の物語でしょう。出てくる人物(魔物も)それぞれが持つ愛の物語。それぞれの愛はぶつかり、すれ違い、交わり合い、呼応する。
    極めて個人的な愛。あなたの愛と私の愛は別のものであることを知る。でも、あなたの愛と私の愛は結びつくことができる。
    全ての人たちの愛が、伝えたい相手に届く。そんな素敵な愛の物語でした。

  • ミミズクと夜の王 (電撃文庫 こ 10-1)

  • ライトノベル

  • ミミズクは一生分の辛さや悲しみを小さい頃に経験しただろうから、これからはずっとフクロウと幸せに過ごしてほしい!

  • 序盤の重苦しい空気から一転、ラストは童話や児童文学のようなメデタシメデタシで綺麗に終幕する。

  • いくつか読んだ紅玉いづきの中で、最初に読んだこの本がいちばん好き。映画になってほしい。薄闇と薄明かりの、悲惨さと暖かさと疎外と求心力と。

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著者プロフィール

1984年、石川県金沢市出身。金沢大学文学部卒業。『ミミズクと夜の王』で第13回電撃小説大賞・大賞を受賞し、デビュー。その後も、逆境を跳ね返し、我がものとしていく少女たちを描き、強固な支持を得ている。

「2022年 『雪蟷螂 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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