レジンキャストミルク8 (電撃文庫 ふ 7-14)

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  • Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784840239769

作品紹介・あらすじ

大きな犠牲の果て、森町芹菜と敷戸良司への接触に成功する晶たち。しかし、変わり果ててしまった芹菜を前に、晶はひとつの決断を迫られる。一方、自分たちの望む世界を作ろうとする樹と鏡、そして"無限回廊"もまた、行動を起こし始めていた。目前に迫る、最後の戦い。もう一度日常へ戻ってこようと誓う者、もう二度と戻らない覚悟を決める者、一抹の不安を抱えたままそれでも笑って過ごす者。それぞれが決意を胸に秘めたまま、その時は訪れ-"実軸"と"虚軸"たちの殺し合いが、始まる。大人気シリーズ、堂々の完結編。

感想・レビュー・書評

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  • 十数年ぶりに再読&1巻〜れじみる。Junkまで通読。「欠落」を代償に力を得て、「非日常」に抵抗するほのぼの×ダークな学園異能もの。

    1巻から容赦なく色々な意味で人が死んでいくのだけど、いくつもの欠落と喪失を経ての結末、晶と硝子が犠牲と引き換えに得たものと世界が苦くて辛い。

    ラストで“機械でない”硝子と自身の罪と共に生きていくと決めた晶と、欠落した彼を知ってしまった芹菜の最後の台詞がもうなんとも。こんなラストだったっけ……。記憶が残った蜜とネア、日常側を象徴するひめひめ・きみちゃん・八重が生きてるのがまだ救いか。

    サブキャラクターのバックグラウンドや機微がしっかり描かれている作品は本当に良い。無限回廊から本当に取り戻した姫と硝子の再会や、理緒と晶の別れは泣けるし、蜜ときみちゃんの過去〜現在のエピソードは蜜→きみちゃんへの想い、蜜が虚軸によってきみちゃんを遠ざけ遠くで見守るしかなくなったいきさつが本当に切ない。

    ジャンル的にはいわゆる「暗黒ラノベ」「鬱ラノベ」だが、日常パートや短編集はキャラクターの掛け合いが楽しいし、学園異能にはお決まりの(良い意味で)中二病的造語や呪文詠唱あり、「仮想観測」という設定がやはり面白いなあと再読して思った。
    “電撃の黒い太陽”の二つ名がある作者だけあって他の作品もだいたい鬱なので鬱展開×バトルを堪能したい人にはおすすめしたい。

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    ★れじみる。Junkはわりと重要な後日談も入っているのと、シリーズ読後感が変わるので読んでおいたほうが良い。192p〜の漫画と第4話「ありがと、ばいばい。」が切ないなあ。

    ★作中ではっきり言及されなかった設定として、理緒には性別についてはっきりした描写がない(著者Twitter、2019/12/11 https://twitter.com/fujiwarayu/status/6539102293)。
    虚軸の出自を考えれば納得だし、実際に注意して読んでみると姓or名か「あんた・お前」のような代名詞でしか表現されていなくて、当時は確かに気づかなかったー、という感想。ネコミミもナースも似合うからどちらでもOKです(?)。

    ★ 本編でネアについては詳しくは描かれてはないのだけど、過去写真の黒髪美人から何故あそこまでの残念美人になったのかがめちゃくちゃ気になる(虚軸喪失後もヤベーあたり、樹に植え付けられた虚軸のせいだけでなかったのでは……)。それも含めていざという時は格好良い味方側の大人キャラは良い。

  •  これにて本編完結。
     最終決戦は、味方側の多彩な虚軸を総動員しながらも、圧倒的な戦力差と、無限回廊のトリッキーな虚軸攻撃によって激しい消耗戦、いつ負けてもおかしくない死闘です。
     その結末は……、ドローといった感じで正直不服ですが。

     なにより不服なのは、勝敗の結果のその先!
     最大の敵を倒し、戦う理由を作り出していた無限回廊もいなくなり、すわこれにて大団円、と思いきや、日常を取り戻すためにはまたまた生贄の儀式が必要だというので。
     でも、「彼女」にとって、仲間を失い、戦う理由を失うということは、本人も言う通り死ぬよりも辛いことなんだろう。だから、あの結末にのうのうと収まることはできるはずもなくて、みずからその道を断つことを当たり前に選択できてしまえたんだな、と。
     親友として、誰よりも盲目的に主人公を信じ続けてきた彼女だからこそ。
     だからって! もう少しスマートな終わらせ方だってあったでしょう! あんな酷いことしなくなって!

     なにはともあれ、これにて本編完結。
     細かい部分ではいろいろと齟齬のような違和感のようなものはありましたが、終始話の軸がぶれることなく、着地も安定感のある物語でした。
     ラノベにありがちな、とりあえずキャラクター動かしとけ! 必然性はいらない! みたいなキャラクター本位な書き方ではなく、しっかりと話の軸があって、それに肉付けするに足る知識量があって、安心して、楽しく読めるシリーズでした。
     そして、イラストレーターの枠を超えてレジミルの世界に寄与した、レジミルのもう一人の生みの親、椋本さん。
     ルナムンのころからの椋本さんのイラストがなければ、たぶんわたしは一生この作品に出会うことはなかったでしょう。

     レジミルは、わたしの基礎を形成した多くの作品の中でも、「影響を受けた本は?」と訊かれれば、いくつかの作品といっしょに間違いなく名前が上がる、それくらい、わたしにとっては思い入れのある名作です。
     今改めて読んで、当時は感じなかったことをいろいろ感じました。でもなにより、不器用だけどひたむきな彼女たちにもう一度出会えて良かった。

  • ギャグありほのぼのありシリアスありのレジミルが好きでした。
    藤原先生と椋本先生のタッグがたまらんかったです。

  • 面白かった。内容は言わずもながだけど、一巻カバーの硝子との表情の違いが彼らが得たもの失ったものを表しているのかな?と、

  • 9784840239769 351p 2007・9・25 初版

  • 8巻です。

  • 未読です。
    最終巻ということは把握。

  • 本編は此方で最終巻。
    漸く読破できました。

    御話は、犠牲が多すぎて泣きそうなのですが…。
    もう全巻の時点でショックでしたのに、
    更にショックが重なりました。
    最後の晶と芹菜のやりとり、切なかったですね。
    彼女には晶の全ては受け止められなかったという事でしょう。
    その上で、「酷い人…」と云うのはあんまりな気もしますが。
    何はともあれ最後まで読めて良かったです。

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著者プロフィール

電撃文庫『ルナティック・ムーン』にてデビュー。他著書に『レジンキャストミルク』『鮮血のエルフ』など。独特の文体とハードでシリアスな作風でコアなファンを持つ。

「2017年 『ファイナルファンタジーXIV きみの傷とぼくらの絆 ~ON(THE NOVEL)LINE~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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