- Amazon.co.jp ・本 (111ページ)
- / ISBN・EAN: 9784841603231
作品紹介・あらすじ
ある日、シェルビーおじさんは、ライオンに会った。そのライオンは、床屋をさがしていて…。シェルビーおじさんの語るライオンのラフカディオのお話。アフリカからシカゴに連れてこられたライオンの運命は?絵本をはじめ、多岐にわたる活躍をしている奇才シェル・シルヴァスタインの処女作。
感想・レビュー・書評
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シェルおじさんは、街で床屋を探しているライオンに出会った。
彼の名はラフカディオ。凄腕のガンマンとなった彼は、サーカスの団長に連れられて、ジャングルからやってきたのだった。
寓話の様でもあり、風刺絵本のようでもある。読み手によって、色々な意味を読み取れる作品だろう。
絵本と言っても、カラフルな色彩はなく、オール白黒の線画。でもこの絵が何とも言えない味がある。ジャングルのいた頃のラフカディオ(まだこの名ではなかったけど)が、人間社会の生活をするようになって、どんどん人間っぽくなっていく。
好奇心旺盛だった彼は、全てを手に入れたように見えたが、その代わりに何者でもなくなってしまう。人間からもライオンからも離れ、一人去っていく彼がとても哀しく映った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シェル・シルベスタインの処女作ということで手に取る。
彼の作品は言葉にできない感情を揺り動かす。お話の筋を話すのは簡単だ。
人間の文明を知ったライオンが餌であった人間の誘いにのり、人間の文化に触れ自分がライオンである事を忘れてしまう。「人間らしく」「ライオンらしく」さて、「自分はどこだろう」「わたしはなにであればよいのか」。
アイデンティティとはそもそもなんなのか、という事を言葉でゆっくり考えさせてくれる作品。
児童書の風体をしているが、大人が読んでこそいまの自分を考えることができる良作。
お子さんによみきかせると、ラフカディオについていろいろと質問を受けるでしょう。ひとつづつ「さて、どうおもう?どうだろうね?」とお話ししてあげるとお子さんの考えの幅が広がり良いかもしれません。
歳を重ねる度に違う側面が見えてくるでしょう。