- Amazon.co.jp ・本 (147ページ)
- / ISBN・EAN: 9784842505114
感想・レビュー・書評
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【配置場所】工大選書フェア【請求記号】537.6||T【資料ID】91132547
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運転支援システムがどのような考え方に基づいて設計されているかについて簡潔にまとめてある。
様々なセンサを搭載することで周囲の状況を把握できるようになってきたが、それが必要な情報であるかどうか、それに基づいた介入を行うべきかどうかの判断についてはまだまだ課題が多い。例えば、障害物を検知しブレーキをかける機能を考えた場合、障害物を検知したからといってすぐにブレーキをかけるわけにはいかない。それが誤った操作によるものなのか、それが駐車する場合のような意図した操作なのかを判断する必要がある。さらにドライバの経験による介入のタイミングや強度といった課題もある。経験が浅いドライバであれば頻繁な介入も運転を助ける望ましいものとなるが、経験を積んだドライバにとっては運転を邪魔する以外のないものでもない。加えて運転支援の本質的な課題として、ドライバの注意意識低下や支援機能そのものが事故の原因となる可能性についても指摘している。これは自動ブレーキのような安全制御が支援機能に任せきりになってしまい安全意識が低下することによるものや、注意表示に気を取られ別の事故要因を見逃してしまう可能性である。
これらは人間が介在している自動車の運転だからこその課題である。人間と自動車のかかわり合い、あるいは人間そのものの研究でもあり、自動車の高機能化といった枠組みに収まらない研究となっている。