返らぬ日 (吉屋信子少女小説選 2)

著者 :
  • ゆまに書房
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本棚登録 : 89
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784843307380

感想・レビュー・書評

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  • 表題作は、いつも以上に演劇的な台詞回しと、それに反して淡白な感情描写に感情移入を妨げられた。エスとか友愛とかに誤魔化されない恋愛してますよという雰囲気はいいのだが。
    屋根裏の二処女とニコイチした様なのがあったら、吉屋作品の長編では一番好みの作品になるかも知れない。

  • 少女性の尊さ。儚くも切ない少女たちの友情。

  •  吉屋信子らしい、作品。彼女の作品に多い、少女の絆の物語です。

     最初は彌生さんが美しいと思ったのだけれど、最後は少しイライラする。一緒に逃げようと言ったあと、かつみさんが決心したにもかかわらずやっぱりダメと言うのは身勝手。駆け落ちドタキャンなら、マリみての栞さんの方がいい、と思うのは時代のせいでしょうか。


     

  • 『返らぬ日』、『七彩物語』、『裏切り者』、『日曜病』、『五月と桐の花』、『讃涙頌』、『同性を愛する幸い』の7篇を収録。表題作は上海生まれのかつみは、女学校の同級であり商家の妾腹の娘であり麗人の彌生と愛し合っている。彌生は在学中に結婚を周りから勧められ、かつみと一緒にいられないのならば逃げるか一緒に死のうとまで迫る。かつみには亡き母の託した女流作家になるという夢があり、この二つに相克される。全てを察した彌生は身を引き嫁入りする事になる。美文調で書かれた激しくお互いを愛する「エス」の世界を描いた物語。

  • 鎌倉ゆかりの文士というと、もう戦後の文壇の作家がほとんど多かれ無少なかれ縁をもっていて数えきれないのだが、吉屋信子は長谷在住で、大仏様のいる高徳院に眠る生粋の「鎌倉文士」の一人である。

    あまりにも美しい女性日本語の粋ここに極まれり!!!!
    少女の純潔なんて言葉は死語であるが、ここに描かれる女学生の痛々しいまでに甘く美しいことと言ったら・・・・・。
    こんなものを読んでしまったら、男を欲望する自分がなんだか堕落した存在のように一瞬思ってしまうほど。
    男性の欲望の対象であることから逃れ、ただ自分たちの浪漫と幻想の世界に殉ずる彼女たちは、清らかながら妖しく凛々しく勇ましい。

    田辺聖子フェチ必読。
    大正ロマン好き必読。
    漢字フェチ必読。
    ゲイ必読。

  • 美しくて哀しい少女達。

  • 吉屋信子さんはきれいな文章をお書きになる方です。本当に尊敬する人。

  • 「七彩物語」「裏切り者」「日曜日-サンデーシック-」「五月と桐の花」「讃涙頌」「同性を愛する幸い」が同時収録されています。単なる百合小説と言い切ってしまうにはどれも余りに美しく可憐な女同士の哀歓を描ききった吉屋信子の初期作品集。

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著者プロフィール

1896年、新潟市生まれ。52年「鬼火」で女流文学賞、67年菊池寛賞を受賞。『花物語』『安宅家の人々』『徳川の夫人たち』『女人平家』『自伝的女流文壇史』など、幅広いジャンルで活躍した。著書多数。73年逝去。

「2023年 『返らぬ日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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