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- / ISBN・EAN: 9784844137948
作品紹介・あらすじ
理にかなったものは美しい
25個の生活道具とそこに隠されたブツリをひも解く、
風変わりで、やさしい、物理学の入門書。
身の回りのものはすべて自然の原理や法則のもと成り立っています。
役に立たないと思われがちな中学・高校で習うブツリが、
実はさまざまな道具がもつ「用の美」の基礎になっているのです。
本書は、誰もが一度は使ったことのある生活道具を
「ながす道具」「さす道具」「きる道具」「たもつ道具」「はこぶ道具」の5つの章に分け、
物理を専門とする教師ふたりが、ああでもない、こうでもないと呟きながら、
道具とブツリの面白い関係について語ります。難しい公式や計算はいっさい出てきません。
点で突き刺すフォーク、慣性の法則で水を切るざる、
無限の刃渡りをもつピザカッター、空中の支点でてこを動かすハサミ…etc.
紀元前に生まれたスプーンや車輪など、
今なお変わらない道具の形やしくみにもう一度目を向けることで、
長い年月を経ても廃れない道具のデザインや機能が見えてくることでしょう。
開くと正方形になる縦長の判型、開きのよいコデックス装。
そして色やテクスチャを版画のように重ねた、
独特な風合いのある大塚文香さんの挿絵にもご注目!
【物理学に関する発見とエピソードも満載!】
・16頭の馬で引っ張り合ったマグデブルクの半球実験
・コルクを観察し「cell(細胞)」を見つけたロバート・フック
・アモントン、クーロンが提唱した「凹凸説」デザギュリエが提唱した「凝着説」
・デュワーが発明した-196°の液体窒素を運ぶ実験道具
・「熱素(カロリック)説」を唱えたラボアジェ …etc.
感想・レビュー・書評
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身近な道具は、上手く物理の法則を利用していることを、その歴史やなんかも織り混ぜて説明。
どちらかといえば、文系の方向けかな。
次のようななるほど!も。
渦
水を吐き出すことで、水圧や大気圧の力が弱まる。一方水と壁面が接するところでは摩擦の影響が増すため、徐々に中心と縁との間で流れる速度に差が生まれる。こうして、ねじれた流れが生まれ渦が起こる。
水の粘度は温度が高いほど小さい。20度の水の粘度を1とすると、35度:0.7、55度:0.57、100度:0.3。薬を飲むときには冷水ではなく、ぬるま湯の方が飲みやすい。
その他、ダイソンの扇風機の機構の説明や、ワイングラスのボルドー型とブルゴーニュ型の使い分けについても。
何気に披露すると、物知りに思ってもらえるかも。
目次
ながす道具
シャワー/扇風機/スプーン/漏斗/ワイングラス
さす道具
フォーク/注射器/ワインオープナー/ホチキス/端子
きる道具
包丁/ピザカッター/ハサミ/紙やすり/ざる
たもつ道具
ゼムクリップ/線ファスナー/吸盤/コルク栓/魔法瓶
はこぶ道具
車輪/杖/箸/おぼん/ピペット -
「理にかなったものは美しい」という簡素で力強いメッセージのわりには本書の文章がところどころ引っかかるものがあった。
例えば、表面張力の説明に「水分子がスクラムを組んで」いると表現している。読者が「スクラム」がラグビー用語であることをを知っていれば通じるが、そうでなければ逆に分かりにくい。もう一つ同じように、水分が摩擦にもたらす影響について説明している文章に、「お風呂で遊ぶブロックは水に濡らすと壁面にくっ付きますが、雨の日に濡れた階段の上を靴ふらがつるっと滑ったりします」とある。子どもがいない大人の私にはこのブロックが一体どいうものなのかわからないし、子ども時代にそんな知育玩具で遊んだこともない。私と共有しないことを物理の説明に使われると困る。このように、作者が想定する読者層がいかに狭義なものなのかが、いちいち目につく文章が多いのである。
読者層関係なく、分かりにくい文章もよくある。例えば、静電気の活用法として「ぬいぐるみやカーペット、自動車の塗装など、均一にものをくっつけたい場合には静電気の助けを借りています」とある。この文を読んだとき、ぬいぐるみが自動車の塗装のように均一にくっつけたものと理解するのにしばらく時間がかかった。物理学に疎いばかな私のためにも、「ぬいぐるみの生地やカーペットの毛」と言葉を補ってほしい。
最後に、「weightとmassの違い」という章について触れたい。作者がアメリカから来た留学性に二つの概念の違いを英語で聞いたら、「weightの大小を表すのはheavyとlightだが、massの形容詞は denseだ」という答えが返ってきて感銘したという話だ学問としての物理は外来文化だ、という点には同意する。だからと言って、欧米人が言語を通して物理の概念を直感的に捉えているとは言い難い。実際にアメリカの中学校の化学の授業ではweight とmassの違いについて先生が頑張ってクラスに説明してたし、テスト問題にも出る。もちろん答案に本書の生徒のように、使う形容詞が違う、と書いても点数はもらえない。英語の授業ではないのだから。作者が異国文化の人間と触れて貴重な体験するのはどうでもいいが、物理の説明と混同するのはどうだろう。 -
スプーン、フォーク、ザル、シャワー・・・普段よく使っている生活の道具を通して、物理の法則を分かりやすく解説。理数は苦手、まして物理は意味が分からないと敬遠している学生さんに、まずは親しんでもらえることを祈っておすすめしたい。
本の形状も少し変わっていて、20×10cmの縦長で開きも大きく、持ちやすくて読みやすい(私的にですが)ところもいい。 -
なんと言っても装丁が目を引く。
縦長の不思議な形にコデックス装。
これだけで期待が高まるというものだ。
「理にかなう」ということを追っていて出会った本なんだけど、まさにぴったりだった。 -
背ラベル:420-タ
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さまざまな道具を物理の眼で見ると、実によくできていることがわかる
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おしゃれな造りの本で目を引く。
イラストやインクの色だけではない。
判型が特殊。
縦20センチ、横10センチ。
造本はミシン綴じというのだろうか。
絵本のように、ページがぱかっと開く。
(最初自分が本を壊してしまったのかとひやりとした。)
内容は生活の中の様々な道具に潜む物理を解き明かしたもの。
てこの原理を利用したはさみ。
作用反作用の力を使ったファスナー。
ダイソンの羽なし扇風機がどうやって風を起こすか。
包丁がものを切るとき、何が起こっているのか。
身近な道具が、どんなしくみなのか、どんな力を使っているのかが解説されていく。
親しみやすい本だけれど、子ども向けというわけではなさそう。
生活経験がある人を対象にして記述されているのかも。 -
420-T
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