ゲームと犯罪と子どもたち ――ハーバード大学医学部の大規模調査より

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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784844327080

作品紹介・あらすじ

米国政府から150万ドルの予算措置を受け、多くの分野からハーバード大学医学部精神科に集められた研究者たちが、ゲームが子どもに及ぼす影響を2年にわたって詳細に検証。歪められたゲーム批判から、問題の本質を発掘する。「子どもの味方」をアピールしたい政治家、めざましい成果を発表して世論に迎合したい研究者、ドラマチックな見出しを求めるマスコミへの、実証的で痛烈な反論の書。

感想・レビュー・書評

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  • 原題:Grand theft childhood
    テーマ:よく議論される「暴力的なてれびゲームは子供に悪影響を与えるか」という問題に答えようとするもの。
     しかし、暴力ゲーム有害論にまつわる「議論」の重要性を説く一方で、本書自体が恣意的な分析をしているのでは……
     もちろん「短絡的な意見を排除する」ことは大事。非専門的なものでは最も数が多いタイプ。

    【目次】
    第1章 科学的には根拠のないゲーム批判-子どもたちはゲームと現実を混同しているのか
    第2章 新しいメディアはいつの時代も非難の的-印刷術の発明から最新技術のゲームまで
    第3章 過去の研究データの正しい読み方-曲解やトリックがつくりだす歪んだ常識
    第4章 1254人の子どもと500人の保護者を調査する-「普通の子ども」と「普通ではない子ども」の境界線
    第5章 子どもがゲームをするほんとうの理由-子どもたちのことは子どもたちに聞いてみる
    第6章 たしかに存在する"悪い"ゲーム-ゲームを作る大人の側の思惑
    第7章 年齢による審査制度を再考する-親は何を基準にゲームを選べばいいのか
    第8章 ゲーム批判で見のがす問題の本質-子どもの味方を標榜する政治家たち
    第9章 保護者が子どもたちにできること-衝突するのではなく対話しながら導く

  •  残酷なゲームは子どもの問題行動を引き起こす一因なのか? ハーバード大学医学部で大規模な聞き取り調査を行い、その実態を考察する。

     グラフィックの向上により残虐な指定を受けるゲームはこの10年確実に増えている。18禁のゲームがミリオンヒットし、実は子ども達も大半がやっている。しかし凶悪事件は減っている。この本ではメディアの偏った取り上げ方を批判する。
     実際に面接をしたり座談会風に意見交換をしてもらう大規模な聞き取り調査による子ども達や親達の生の声はとても面白い。
     そこから導き出される結論はさらに興味深い。GTAに代表される大ヒット残虐ゲームについては、男子だとやっている子どもの方がやっていない子ども達より問題性が低いのだ。子ども達の中で流行り物をやっている子の方が孤立していない可能性が高いからだと考察される。よってそういったゲームをやる風潮がない女子では少し状況は変わる。
     一方で、正規のメーカー以外から出される人種差別や過度の残虐性のあるゲームの危険性についても取り上げている。
     大事なのは残虐なゲームをやっているかどうかではなく、子どもがどんなゲームをどんなことを感じながらやっているかを親子の対話を通して把握することなのだろう。

     大規模な調査によって、いいかげんなメディアの意見を封殺する良書。子どもとゲームの関係を考える上で必読。

  • いわゆる「ゲーム脳」とか信じてらっしゃる方におすすめしたいですね。相関関係と因果関係は違う、と再認識。

  • ゼミプレゼンの参考文献。マスコミってどこの国も同じなのね。(2009.12.12)

  • 因果関係と相互関係を混同することがどれほど愚かしいことなのか、自分自身にも注意が必要。
    読後やや物足りない気持ちになるのは全体に散漫な印象がしてしまうからでしょうか。
    しかしそれだけこの問題が広範で、そして多くの人が関心を持つテーマであるにもかかわらずこれまでまじめに研究されてこなかった事実の裏返しであるとも言えます。
    そうであるなら、少々肩すかしを食う部分があるとはいうもののこの本の果たす問題提起としての役割は非常に大きく、ゲームや子ども、少年犯罪というキーワードにこだわらず、それらに興味のない人も是非読まれるべきだと思います。あらゆる問題に応用可能ですから。

  • 「暴力的なゲーム」はほんとうに子どもたちに悪影響を与えているのか? ハーバード大学医学部が1257名の子どもたちを科学的な手法で徹底調査し、犯罪の原因をゲームに求めることで見のがしてしまう多くの根源的な問題を浮き彫りにする。
     暴力的なゲームをしていても問題を起こさない子どものほうがはるかに多く、子どもたちはゲームのなかの仮想世界と現実世界を混同してはいませんし、むしろ怒りを発散し、現実世界での争いを回避する手段としてゲームを活用しているようです。
     暴力的な子供も暴力の犠牲になる子供も、暴力的で虐待的な環境で育っている場合が多い。安易なゲーム批判に集中していると本当の問題を見逃してしまう。
     子供たちを守るには、偏見と感情論に基づいた安易な規制ではなく、判断力とメディアリテラシーを身につける手伝いをすることです。

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