それは「情報」ではない。―無情報爆発時代を生き抜くためのコミュニケーション・デザイン

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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784844356097

作品紹介・あらすじ

情報をいかに正しく理解し、理解させるか-これがデジタル時代にビジネスを成功させるための鍵である。あらゆる管理者、戦略家、コンサルタント、そしてビジネスマンに捧げる情報ジャングル・サバイバルガイド。

感想・レビュー・書評

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  • ”2004年7月11日のブログ記事より。

    同書にある「事実」についての記述がずっと頭に残っている。
    ---
    私たちが事実を理解しようとすれば、まず観念が先に立つ。たとえば、15人の人にまったく同じ料理を出してどんなものを食べたかを文章にしてもらった場合に、2つとして同じ文章が出てこないのは、このためだ。ある者は味を中心に書くだろうし、ある者は香りや口当たりなどを書くだろう。人はみな、事実は主観だということを忘れがちだ。
    ---

    「事実」というと、唯一絶対の正しいこと、というように思いがちだけど、実際のところはその切り取り方でずいぶんと受け取る印象が変わる。

    ---
    理解するときの鍵は、どの記事も、いかに正確さと客観性に気をつけて書かれていようとも、主観に縛られているという事実を受け入れることにある。
    ---”

  • だいぶ前に著されているが、インターネット時代になって、情報過多な状況において、どう対処するかを検討した本。情報リテラシーに対処するための教育(サービス)を考える上で有用と思い、読む。

    とにかく、「現代は供給が過剰である」ことを前提に、人生においていろいろと選択をしなくてはならない。
    一方、人生はデザインするものであるという考えはわりあい支持を集めやすくなっているのではないか。
    一度建築設計といったことをやるとわかるが、デザインとは、要素ごとに選択肢をならべ、それらを評価し、選ぶことではあるが、最終的な選択は、総合的に行う必要がある。そこには、トレードオフというものがあり、何を実現したいかが最後の最後まで問われる。
    できて初めて、これが欲しかったということがわかるという事後的なものでもある。
    その意味では、未来の教育の重要な一側面として、情報リテラシーをどう高めるかという問題は、選択肢へのアクセスを確保すると同時に選択肢を制限するということで対処することになる。(当然、収穫逓減の法則が働く(イシュードリブン)の考え方もここに入ってくる)
    下記の目次に対して、それぞれ教育サービスとしてとれいれたらよいと思う部分をコメントする。

    Part 1 インターネット時代の情報不安症
    ・「も」=選択肢に対応する時代
    ・生産消費者
    ・単純化より明解化
    ・誰もが経験にアクセスできるようになること

    ・情報の不安定さについての分析

    Part 2 理解するというビジネス
    ・理解できないものごとに出会ったときに、わからないと認めること
    ・理解の外観
    ・理解への鍵は、あらゆる記述は主観に基づいていると知ること
    ・5つの究極の整理棚:LATCH
    ・情報の構造をその都度変える。ラッシーの分類
    ・ものとものとの間
    ・最初に終わりありき

    ・理解の外観のフレームワークは使える。データ→情報→知識→知恵、という流れの中で、情報は整理するもの(構造を見出すもの)(LATCH)である、という点と、知識の獲得には、経験がものをいう、という点。
    ・転換思考(逆転思考)というものが明確に定義される。地と図を反転させる、ということがそれである。


    Part 3 理解の戦場に埋もれた地雷
    ・「もっと」

    Part4 接続の時代:統合されたメッセージ
    ・今や、どこもかしこも広告媒体と化した
    ・ものごとに対する理解力を磨くには、それを知らないこととはどういうことかを知ることが必要
    ・学習とは、興味をもった事柄を記憶するための手段
    ・デジタル時代では、媒体、言葉、画像、音といった、すべてのデザイン要素のつながりに気をつけなければいけない
    ・情報の質は、正確さと明瞭さだけで決まるものではない。調べやすさや面白さも重要な要素となる
    ・媒体ごとに、それに適したデザインが必要だが、伝えるべき内容な一貫していなければならない

    Part5 会話の構造
    ・人々は知的な会話で情報を交換したいと願っている
    ・私たちは、何かの説明を行うとき、自分の情報伝達能力をテストして、自分がどれだけ本当にわかっているのかを計っている

    Part6 語ることは深きことなり
    ・相手が言ったことを記憶する能力は、雄弁に語る能力と同じくらい大切だ
    ・カスタマイズは思わぬ発見の楽しみを奪ってしまう

    Part7 そこには常に質問あり
    ・質問は自分は何を知り、何を知らないのかを確かめる手立て
    ・あなたが必要とする質問が自分から姿を現すように仕向ける

    ・5-7は、コミュニケーションの実践論
    ・会話より対話
    ・質問力を定義して、これを練習させるというアイデアは、相当いけるはず。

    Part 8 ものをみつけるということ
    ・あらゆるすべての事柄は、地図で表すことができる
    ・情報のタイプ:私たちの生命への密着度による働きの違い
    1. 内部情報:思考的メッセージ
    2. 会話情報:公的・私的な情報交換
    3. 参考情報:世界のシステムを動かす情報
    4. ニュース情報:現在のできごと
    5. 文化情報:歴史、哲学、芸術。1-4が作り変えられる。態度や信条、社会全体の性質を決定する

    ・地図の書き方というコースは、まんま面白いのでは。

    Part 9 個人を超えて
    ・情報は完成品ではない。むしろコミュニケーションが完成品となる
    ・指示は目的ではない。指示は仕事を完了させるための手段に過ぎない
    ・管理の神髄は、指示を通して、企業の将来の活動を示すことにある
    ・欲求不満は、指示を出す側と受ける側の準備不足から生じる

    Part 10 エンパワーメント:新世紀の言葉
    ・従業員に、自分と会社の業務に関し、発言する機会を与えることで、権利と責任を与えること
    ・行動を支援する管理職というアプローチ

    Part 11 指示(インストラクション):会話の運び屋
    ・よい指示とは、動的で独創的
    ・あらゆるコミュニケーションは指示の出し合い
    ・指示の基礎となる構造を知る
    ・あらゆる指示は過去、現在、未来のいずれかのタイプに分かれる
    ・指示=意図、目的、核心、時間、見込み、失敗

    - 行先はどちら
    - 何のために
    - どんな手順にしたがいましょうか
    - どのくらいかかるの
    - 途中にどんなことが起こるの
    - どうやって失敗を自覚する

    ・安心を与える要素をもりこむ

    Part 12 仕事の話:仕事の流れの中に指示を見出す
    ・管理職と従業員で重要と思うことにギャップがある
    ・不安によってコミュニケーションは一層困難になる
    ・異なる言語や視点に合わせて指示を作り変えていく必要がある

    9-11は、組織内コミュニケーション論。指示を通じて、いかに情報を提供していくか

    Part 13 教育とはツアーグループで冒険旅行をするようなもの
    ・情報処理の誤った方法を叩き込む教育によって、自由を削がれている
    ・読み書き計算に対して、私たちに必要なのは、見て、聞いて、表現する能力
    ・学ぶことを学ぶ

    ・記号論的には、対象となる、記号内容を、見聞きして、記号として表現する、という訓練。表現的思考
    ・教育論としての情報処理

    Part 14 学習とは、何に興味を持ったか覚えていること
    ・情報を獲得することが学習と思われてがちだが、獲得の前には必ず興味がある
    ・ACCESS GUIDES
    ・面白がることの大切さ

    ・興味喚起は、いかにも、受容的思考

    Part 15 自分で理解しているものに関連したものだけを学習できる
    ・どんなに小さな生徒でも、すでに教師の基盤でもあるべき数々の体験をしている。
    ・知識とは、テーマのバリエーションだ。転調鳴鐘
    ・ものごととものごとのつながりが見えれば、どちからを選ぶときに恐怖心を抱かずにすむ
    ・ナンバーズゲーム
    ・統計
    ・数字に強くなる
    ・パイを切り分ける

    ・14-15は、学習論
    ・興味をもたせること
    ・テーマのバリエーションとして学習すること=理解しているものからさらなる理解へといざなう=つながりを見出すこと

    Part 16 拍手喝采、大失敗、いまだ徘徊
    ・失敗から成功を生む
    ・限界点

    Part 17 人生をデザインする
    ・日々何をして過ごしたいかで、自分の人生を測る。これは、デザイン上の課題といえる。
    ・特に、これほど膨大な量の情報に囲まれ、その選択を迫られると自分が興味をもったものだけ見るようにとしかいえない。

    ・デザイン論。YSGの理想とつながる

  • 「無知の専門家」

  • 情報から自分に話しかけてくるよう仕向ける。有機的で深い。真の情報を得るためには会話というコミュニケーションを重視し、情報に対して興味と喜びを持つことが肝要。

  • 情報+デザインの話が主なんだけど、そして引っかかるところも何箇所かあるんだけど、全体に漂うビジネス書臭が鼻についてどうしても読みきれず。上司と部下の類型と対処とかねー。そこはいらなかった。昔、正剛さんが翻訳したのを読んでみようかな。

  • ワクワクして面白かった。
    インフォメーションデザインに関わる人に一読をお勧めします。

    インタラクションデザインp.89
    人と情報と技術のコミュニケーションp.95
    記入用紙のデザインp.145


    大垣さんからレンタル

  • 先の「情報選択の時代」(情報不安症)から
    10年経ってなんか進展あったのか?
    と自分を振り返る意味も含め、当時、購入したもの。

    前著とその前の「理解の秘密」を足して少し構成を
    いじっただけの内容だったので
    がっかりしたのを覚えている。

    ただ、何が情報であるか?は、いまでも色あせない観点であったことは確かである。

  • 最初に読んだときは面白かったが、いまはそうでもない。とはいえインフォメーション・アーキテクト史的に重要な本だ。

  • 2011/02/24 シゴタノ記事で知る。<br />原題"Information Anxiety 2"<br />前著"Information Anxiety"は松岡正剛訳の邦題『情報選択の時代』(1990年)。<br />2011/03/07 図書館で借りてきた。ボリューム満点でびっくり。本書は、過去の2作を統合増補したとか?とにかく盛りだくさんである。今は読みきれぬ。いずれ買って手元に置くことにする。

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