漆芸の伝統技法

  • 理工学社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784844585329

感想・レビュー・書評

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  • 日本伝統工芸展というのがありまして、陶芸や染色といった日本の伝統工芸を保護・育成する目的で、毎年、全国から集まった諸部門の作品の審査が行われ、入選作の展示が各地で行われています。今年は61回目。
    NHKの日曜美術館でも毎年、紹介されているので、ご存じの方もいらっしゃるかもしれません。
    数年前、ごく淡い関係の知人の方が入選されたのをきっかけに、見に行くようになりまして、今年も見に行ってきました。
    部門は全部で7つ。陶芸、染色、漆芸、金工、木竹工、人形、諸工芸です。

    今年は、漆芸が一番印象に残りました。漆ってつやがあって美しいですねぇ。
    これって実際、どんな風にして作られているものなのかと探してみたのがこちらの本です。1986年刊、少し古い本です。著者は漆芸作家として活躍された方ですが、発刊時、すでに亡くなっています。
    漆の採取法から、漆芸の歴史、素地や塗りの技法あれこれ、漆以外のものを用いた加飾、変わり塗りや、生活の中で生きてきた日本各地の漆芸の紹介など、漆芸についての百科事典のような作りになっています。
    自分は素人なので、これを読んだだけで漆芸に手が出せるとは思えませんが、多分、実際にされていて、基本を知っているという人には参考書的にも使える本なのではないかと思います。
    塗りと加飾の技法にさかれているページ数が多く、細かいコツや、材料の詳細まで記されています。
    木の素地の研ぎに使うのは木賊(とくさ)が一番とか、一度調製した漆は長期間は取っておけないとか、埃を除け適度な湿度や温度を保つため、加工中には「風呂」と呼ばれる小部屋に保存するなど、経験と伝統に裏打ちされた知恵がいろいろです。
    下地をきれいに整え、下塗りをし、漆を塗り、乾かし、表面を研ぎ、また塗り、と工程が幾重にも分かれているのも印象的です。手間も時間も掛かり、その上、各工程にはかなりの注意や技量を要するようです。

    漆作品、下世話な話ですが、価格もお高い・・・(^^;)。しかし、これだけ手間が掛かるならまぁ高価なのも仕方ないのだろうなという印象です。

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