内部被曝からいのちを守る なぜいま内部被曝問題研究会を結成したのか

制作 : 市民と科学者の内部被曝問題研究会 
  • 旬報社 (2012年1月26日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845112555

内部被曝からいのちを守る なぜいま内部被曝問題研究会を結成したのかの感想・レビュー・書評

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  •  内部被曝とは、放射性物質を体内に取り込むことにより、体内で被曝すること。放射線が遺伝子を傷つけるので人体への影響は大きい。
     福島原発事故後、内部被曝についてはタブー視されている感があります。
     実は、広島・長崎での原爆でも、内部被曝については隠蔽されたといいます。
         
    「背景には、『核兵器は破壊力はあるが、放射線で長期にわたり苦しめるものではない』としたい米の核戦略があった」  
         
    「アメリカは「核兵器は通常兵器と同じ。放射線で長期にわたり命を脅かすことは無い」という核兵器の虚像を描くために、内部被曝を隠ぺいする
    (被爆地から放射性の埃が無いことにし、内部被曝を「生じようがないもの」にしました)
    という核戦略が強行されました。」
         
     そのため、広島では、床上1メートルの大洪水の後に、長崎では1300ミリの豪雨の後に放射線測定をして
    「放射性の埃はこれだけしかなかった」
    ということにされました。
         
     本書を読めば、広島・長崎原爆での放射線被曝線量の公式研究は、支離滅裂でいい加減なものだと分かります。
     このように、公正である医学データ・研究も大きな権力によって捻じ曲げられることがあるのです。
     そしてそれは今現在まで続いており、現在進行形であり、今後も続いていくのでしょう。
         
    「ECRRは、チェルノブイリの影響を世界中で疫学調査をした結果、平均値として「内部被曝の実効線量は外部被曝の600倍」としています。内部被曝の特性を考慮すると妥当な大きさです」
         
    「内部被曝を切り捨てる政府を支える学者ICRP論者が外部被曝の3%等と言っているのはとんでもない過小評価です」
         
     内部被曝の怖さが分かる事件としてラジウムガール事件というのがあります。
     夜光時計の文字盤にラジウムを塗る時、筆先をなめて整えていたら、口の周りが内部被曝でひどいことになったという。
         
     なお、医療被曝と発がんの関係についての研究では、広島・長崎での原爆被爆から計算して推測する、ということが行われます。
     しかし上で見たように、広島・長崎での観測がそもそも当てにならないものです。
     本書では、澤田昭二先生の以下の記述があります。
         
    「内部被曝の障害の仕組みが外部被曝と異なるのでX線やCTスキャンによる被曝と比較することは適当でない。さらに、X線やCTスキャンは病気の危険を減ずることの兼ね合いで覚悟して浴びるもので、こうしたことを無視した比較は二重に不適当である。」
         
     さて、本書は“市民と科学者の内部被曝問題研究会(内部被曝問題研)”のメンバーが分担して執筆しています。
     錚々たるメンバーが大集合です。
     しかし、内部被曝問題研のその後は活動が失速し、本書の出版が最大の成果でありピークだったのではないでしょうか。
     そういう事実を見ていると、財力も権力もない科学者や市民がまとまって活動していくことの難しさを実感します。
     やはり、財力も権力もある原子力ムラなりカルト宗教団体なりがスポンサーとなって世論を誘導・操作していく方式が効率良いのです。だからこの世の現実は、財力も権力もある原子力ムラなりカルト宗教団体なりのやりたい放題の天下となっているのです。
     民主主義とはいっても、やはり財力や権力を持つ者が有利なのです。
     科学的研究とはいっても、スポンサーの意向によって捻じ曲げられることもあるのです。
     そういう風潮に一矢報いるためにも、我々一般市民は勉強していかなければなりません。
     知は力です。御用学者に騙されない知識と思考力が必要です。
         
    「信頼できる放射線の専門家がほとんど前に出てこないうちに、政府の「放射能は怖くないキャンペーン」が高まっていく」
         
    「原発は安全だと騙された国民・住民が、今度は放射線は大して危険ではないと騙されようとしている。この状態を覆したいと、肥田舜太郎さんをはじめ、内部被曝の脅威を解き明かしてこられた方と出会い、歩んできました今こそ市民の手に科学を取り戻して自立すべきときです。そのためにともに尽力し、明るい未来を切り拓きましょう!」(守田敏也・ジャーナリスト)
       http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20160126/p1

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