悪夢の超特急 リニア中央新幹線

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  • 旬報社
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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845113644

作品紹介・あらすじ

総事業費9兆円。この史上最大の鉄道事業は、その問題点をほとんど報道されることなく着工目前まで来た。東京・名古屋間の286キロのうち86%の246キロがトンネルになることで発生する水枯れの可能性、処分方法の決まらない膨大な建設残土、掘り当てるかもしれないウラン鉱床、1日に1700台ものダンプカーが12年も走る村、10年以上も続く騒音と振動と土ぼこり、喘息、生活と交通阻害、生態系の劣悪化、立ち退き等々。今からでも遅くはない。JR東海は関係者、特に住民を軽視せず、徹底議論を図るべきだ。

感想・レビュー・書評

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  • 新書「リニア新幹線 巨大プロジェクトの真実」がざっくりとした内容だったのに対し、こちらは地を這うようにして取材し、警鐘を鳴らしている。かなり煽ったタイトルではあるが内容は感情的ではない。ひたすら事実を積み重ねていくことで問題点を浮き彫りにしている。そしてその問題点が具体的なのが良い。リニア計画について知りたければ、前掲の新書とあわせて読むべし。

  • 以前、本書の著者である樫田氏の『リニア新幹線が不可能な7つの理由』を読んだことがあるのですが、『リニア新幹線が不可能な7つの理由』は、本書のダイジェスト版といえると思います。
    本書の方が、より詳しく、リニア中央新幹線の問題点を知ることができると思います。

    また、少し前に、『危ないリニア新幹線』という本を読んだのですが、そちらは、リニア中央新幹線の個々の問題に焦点を当てているのに対し、本書は、リニア中央新幹線の問題点全体の俯瞰に力点を置いているように思います。

    本書については、読み進めるにつれて、JR東海や沿線の自治体に対する怒りがこみ上げてきました。
    とくにJR東海の対応はひどいですね。
    リニア中央新幹線の問題の把握すらほとんど進んでいないにも関わらず(当然のことながら、問題の解決も進んでいない)、リニア中央新幹線の推進に向け、関係者との合意もないまま、ひたすら進んでいるように見えます。
    その推進体制については、「原発推進に似ている」という指摘が、いろんなところから出ているようです。

    個人的には、原発は必要悪かもしれない、と思っているのですが、リニア中央新幹線については、当初JR東海が考えていた目的が、現時点ではまったくの的外れであることが明らかになった以上、このまま推進することは、無駄以外の何物でもないと思っています。
    もし、推進するとしても、今、ではなく、目的の見直しから始めて、推進の妥当性が明らかになってから、とすべきかと。
    今の状態でリニア中央新幹線を推進すると、結果的に、JR東海も国も国民も、幸せになれないと思います。

    ちなみに、本書は、なぜか、第5章だけ、誤植がやけに多く、その事情も、本書の内容ほどではないですが、気になっています。

  • <b>徹底したJR東海の非説明姿勢に反対活動団体は体力負けの様相</b>

    ここ数年「リニア中央新幹線」のニュースを目にするようになりました。
    個人的には実現性、採算性に疑問を持っており、反対派の書籍を手に取りました。

    国との事前密約はあるのだろうが、JR東海の徹底した非説明姿勢に、反対活動団体は体力負けの様相だ。
    JR東海は不服なら「どうぞ行政訴訟を」という構えさえ感じさせる。
    反対活動は、いつしか重要な指摘項目(トンネル環境破壊、電磁波、経済性意義の希薄etc.)が深化できずに、空虚なスローガンに変質してしまっている。

    後半は、完全に成果のない反対活動に自画自賛、活動に酔っているかのような記述しか見当たらなくなっている。残念ながら大勢は決まってしまったかのようだ。

    例によって、自治体の風見鶏的なふるまいには辟易する。
    停車本数を水増しして数字を作って喜んでいる人間が、郷土の未来を考えているとは思えない。
    リニア計画自体も、長期収支を考えた場合に、健全な社会インフラであり続けられるのだろうか?
    それとも、マクロ経済的な見地で、この大工事を行うこと自体が目的なのか?

  • リニア周辺の現状を知るのに、多くの人に読んでほしい本

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